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ラートシカムイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ラートシカムイの伝わる北海道石狩湾

ラートシカムイは、アイヌ民話に伝わる巨大なである[1][注釈 1]日本海の海中に住んでいたとされる[3]更科源蔵 (1971)『アイヌ伝説集』に見える[1]

ラートシカムイは「がたくさんある神」の意である[1]。海で一番強い神であるとされ、陸で一番強い神であるフリカムイと争っていたとされる[1]

伝承

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アイヌ民話において、アイヌの人々は巨鳥フリカムイ[注釈 2]の棲み処に近づかず、穏やかな暮らしをしていた[3]。しかしあるとき、ひとりの女性が道に迷ってフリカムイの水飲み場を汚し、怒らせてしまった[3]。フリカムイが怒り狂って空や海上を飛び回った際、海底で眠っていたラートシカムイがあまりの騒音に目を覚まし[3]、怒って海面に出てフリカムイと戦った[4]。フリカムイはラートシカムイの腕を嘴で掴んで陸に引きずり上げようとする一方、ラートシカムイはフリカムイに墨を吐きかけたり、8本ので海に引きずり込んだりした[1][4]。力は両者とも互角で、決着がつくことはなかったという[4]

フリカムイが海中に引き込まれた際、尾羽アイヌ語でイシ)を左右に動かして(アイヌ語でカリ)ふんばったため、その付近の海を石狩(いしかり)と呼ぶようになったともいう[4][1]

脚注

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注釈

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  1. ^ アイヌ語でタコはアトイナウと呼ばれる[2]
  2. ^ 松谷 (1995) では「フリーカムイ」、朝里 (2021) では「フリー」と表記される。

出典

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  1. ^ a b c d e f 朝里 2021, p. 72.
  2. ^ 奥田統己「福島琴蔵(編)『アイヌ語の訳解』」『国立歴史民俗博物館研究報告』第236巻、2022年10月31日、71–86頁。 
  3. ^ a b c d 松谷 1995, p. 501.
  4. ^ a b c d 松谷 1995, p. 502.

参考文献

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  • 朝里樹『日本怪異妖怪事典 北海道』笠間書院、2021年6月25日。ISBN 978-4305709417
  • 松谷みよ子「巨鳥退治」『松谷みよ子の本 第9巻 伝説・神話』講談社、1995年10月25日、500–506頁。ISBN 978-4-06-251209-1
  • 更科源蔵『アイヌ伝説集』北書房、1971年。ASIN B000J94POY

関連項目

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