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リサ地すべり

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リサ地すべり
発生位置の位置(ノルウェー内)
発生位置
発生位置
発生位置 (ノルウェー)
地図
現地名 Rissaraset
英語名the Rissa landslide
日付1978年4月29日 (1978-04-29)
時刻午後2時10分(現地時間)
場所 ノルウェー リサ
座標北緯63度33分22.2秒 東経9度56分39.2秒 / 北緯63.556167度 東経9.944222度 / 63.556167; 9.944222座標: 北緯63度33分22.2秒 東経9度56分39.2秒 / 北緯63.556167度 東経9.944222度 / 63.556167; 9.944222
種別地すべり
原因盛土工事
死者1

リサ地すべり(リサじすべり、ノルウェー語: Rissaraset, : the Rissa landslide)は、ノルウェーソール・トロンデラーグ県(現在のトロンデラーグ県)のリサ英語版1978年4月29日に発生した地すべりである[1][2][3][4]

概要

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リサの地盤は、クイック・クレイと呼ばれる軟弱な粘土からなっている[5]。リサ地すべりは、20世紀にノルウェーで発生したクイック・クレイ地すべりの中では最大のものとされる[6][7][2][8]。地すべり面積は、およそ33万平方メートルであり、崩壊した土砂の量は500万 - 600万立方メートルとされている[2][8]。230 - 240人が避難した[9]

地すべりは、ボトネン湖 (en:Botn (Trøndelag)) の南西端付近で発生した[10]。地すべりによる土砂は、ボトネン湖の岸にすべり落ちた[11]。地元のアマチュア写真家が偶然持っていた8ミリビデオカメラでこの地すべりの様子を撮影しており、これは世界で最初のクイック・クレイ地すべりのビデオ撮影となった[12][5]

農場の建物を増築するための土地の掘削工事で発生した残土が、地すべり発生直前にボトネン湖の湖畔に盛土されており、これによって地盤にかかった負荷が原因で地すべりが発生したものと考えられている[2][9][13][5]。盛土の規模は、わずか数立方メートル程度のものであった[2]

経過

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4月29日の午後2時10分(現地時間)、最初の地すべりが発生する[11]。4分後、新たな地すべりが発生する[11]。30分後、別の大規模な地すべりが発生する[11]。午後2時55分に最後の地すべりが発生する[11][9]

被害

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5戸の家屋と7つの農場が被害を受けた[8]。当時32歳であった女性1人が死亡したとされる[6][12][7](ただし、2人以上が死亡した可能性もあるとする文献もある[11])。農場で飼育されていた家畜を含め、数百の動物が死亡した[13][14]。ボトネン湖の地すべり発生箇所とは反対側にある村、Leira は、地すべりに伴って発生した高さおよそ3メートルの津波による被害を受けている[13]

脚注

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  1. ^ Steinar Brandslet (2019年7月25日). “New research could predict landslide threats”. Norwegian SciTech News. https://norwegianscitechnews.com/2019/07/new-research-could-predict-landslide-threats/ 2021年1月9日閲覧。 
  2. ^ a b c d e 岡本隆「ノルウェーにおける土砂災害 フィヨルドの岩盤すべりとクイッククレイ地すべり」『砂防学会誌』第59巻第1号、公益社団法人 砂防学会、2006年5月15日、56-60頁。 
  3. ^ A History of the Natural Disaster Regime Anniversary booklet”. Landbruksdirektoratet. 2021年1月9日閲覧。
  4. ^ Amanuel Petros Wolebo (2016年6月10日). “Advanced Probabilistic Slope Stability Analysis on Rissa Slope”. ノルウェー科学技術大学. 2021年1月9日閲覧。
  5. ^ a b c The Rissa Landsilde - Quick Clay in Norway – の要約”. 東京工業大学. 2021年1月9日閲覧。
  6. ^ a b Quick clay slides in Norway”. ノルウェー地質工学研究所. 2021年1月9日閲覧。
  7. ^ a b RISSARASET - Grenda som forsvant”. Audhild Brødreskift. 2021年1月9日閲覧。
  8. ^ a b c 岡本隆ほか「クイッククレイ堆積域における地すべりの動態観測」『地すべり』第36巻第2号、社団法人日本地すべり学会、1999年9月15日、39-47頁。 
  9. ^ a b c Ingvild Tillerbakk (2011年5月16日). “Kvikkleire og samfunnssikkerhet i Trondheimsregionen”. Norwegian University of Life Sciences. 2021年1月9日閲覧。
  10. ^ Jean-Sebastien L’Heureux (2012年9月). “The 1978 Quick Clay Landslide at Rissa, Mid Norway: Subaqueous Morphology and Tsunami Simulations”. Springer. 2021年1月9日閲覧。
  11. ^ a b c d e f RISSARASET - 25 ÅR ETTER”. ノルウェー地質調査所 (2010年3月18日). 2021年1月9日閲覧。
  12. ^ a b Anders Fjellberg, Siri Gedde-Dahl (2020年2月1日). “Dødsraset”. Dagbladet. https://www.dagbladet.no/magasinet/dodsraset/72078084 2021年1月9日閲覧。 
  13. ^ a b c Sigrun Hofstad (2013年4月29日). “35 år siden Rissaraset”. NRK.no. https://www.nrk.no/trondelag/35-ar-siden-rissaraset-1.11005095 2021年1月9日閲覧。 
  14. ^ Rissaskredet”. Store norske leksikon. 2021年1月9日閲覧。

外部リンク

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