リズムボックス
リズムボックスは、ディーアンドエムホールディングスの日本における登録商標(商標登録第2659654号)であり[1]、同社の前身のひとつである日本コロムビアがかつて発売していたリズムマシンの製品名である。日本においては、他に同種の製品を表す単語として「リズムマシン」、「ドラムマシン」などがあるが区別は曖昧であり、「リズムボックス」という語がこれらの機器一般を指して用いられることもある。
商標としての「リズムボックス」
[編集]商標権は、商品などにその商標を付すことなどを独占的に行うことができる権利なので、新聞・雑誌や日常生活において「リズムマシン」や「ドラムマシン」のことを「リズムボックス」と記述することは、商標権の侵害には当たらない[2]。
しかしながら、「リズムボックス」の商標登録は取り消されることなく有効なままであり[1]、普通名称化したとの裁判例もないため、「リズムボックス」を商標として使用した場合(商標法第37条各号に規定される行為を行った場合。日本の商標制度#商標権の効力参照)には、商標権の侵害に当たり、商標権者から民事上の損害賠償を請求されたり、刑事罰(商標法第78条)を受ける可能性も残っている[3]。
歴史
[編集]最初の国産のリズムボックスは1963年に京王技術研究所(現コルグ)から発売されたドンカマチックである。演奏者のガイドとして便利だったため、高価であるにもかかわらず一時期は大変多くのレコーディングスタジオに備品として導入されていた。
その後各社から続々と製品が発売され、PCM音源などの普及に伴ってより実在する楽器に似た音が出せるようになったことや、プログラミング部分の進化で多くの音色や演奏パターンの切り替えが可能になったこと、さらに低価格化などにより、デモ録音やスケッチなどの用途でもプロ・アマチュアを問わず広く用いられるようになった。
また、電子楽器特有の音色を逆手に取って、本番用の楽器としてテクノなどのジャンルで使われるようにもなった。
それ以降、DJが曲をスムーズにつなぐために使用したりするなどの使い方もされるようになる。近年は、打楽器的な音だけでなくはっきりした音程を持てる(旋律を演奏できる)音源やサンプラーも搭載している機種が増えており、制御部の高機能化もあって、音源内蔵シーケンサーとの区別が曖昧になってきている。
構造
[編集]大きく分けると、音源部分と、それらが音を出したり止めたりするのを制御する部分に分かれる。
音源はアナログ音源やサンプリング音源など製品によってさまざまである。
制御する部分の設定方法もさまざまで、どの拍でどの音をどのように出すかをひとつひとつ設定していく方法(ステップレコーディング)や、あらかじめ音に対して割り当ててあるボタンを押すタイミングを記録していく方法(リアルタイムレコーディング)、あらかじめ決められたリズムパターンを選択するだけの方法などがある。また、MIDIや機種ごとの専用ケーブルで他の機器と情報をやり取りして互いに制御できるようになっている製品も多い。
脚注
[編集]- ^ a b 独立行政法人工業所有権情報・研修館の特許電子図書館(IPDL)での調査による。
- ^ 不使用取消審判における「商標の使用」(前編)〜近年の審決,判決を通して〜 (PDF) 『パテント』 Vol.65 No.7
- ^ 商標法 - e-Gov法令検索