コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

リシア電気石

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リチア電気石から転送)
リシア電気石 elbaite
リシア電気石
リシア電気石の結晶
分類 ケイ酸塩鉱物
化学式 Na(LiAl)3Al6Si6O18(BO3)3(OH)4
結晶系 三方晶系
へき開 {1120}及び{1011}に不良又は不明瞭[1]
断口 準貝殻状
モース硬度 7
光沢 ガラス光沢
緑色赤色桃色青色橙赤色黄色無色、多彩色
条痕 白色
比重 3.0~3.3[2]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
テンプレートを表示
ウォーターメロン

リシア電気石(リシアでんきせき)またはエルバアイト(elbaite)は、ナトリウムリチウムアルミニウムホウ化ケイ素 を含む鉱物ケイ酸塩鉱物)の一種であり、電気石(トルマリン)グループに属する。リチア電気石とも表記する。

構成元素の違いにより苦土電気石(ドラバイト、dravite)、フッ素リディコート電気石(フルオロリディコータイト、Fluor-liddicoatite)、鉄電気石(ショール、schorl)の3種に連続的に変化する。そのため、他の電気石同様に理想的な組成式を有する結晶天然には発見されていない。

マダガスカル産のリシア電気石とされていたものはカルシウムがナトリウムに卓越していたため、1977年に「リディコート電気石」(Liddicoatite)として新種記載された[3]が、タイプ標本の組成においてフッ素が記載論文で定義された水酸基より卓越していると判明したため2011年に「フッ素リディコート電気石」と再定義され[4]、水酸基卓越の「リディコート電気石」は未承認扱いとなっている[5]

諸性質

[編集]
  • プリズム[6]:直進
  • 屈折[6]:nω = 1.635 - 1.650、nε = 1.615 - 1.632
  • 副屈折[6]:δ = 0.020
  • 密度[6] : 2.9 - 3.2
  • 透明度[6] :透明~半透明
  • 苦土電気石との間に連続固溶体を作らない[2]
  • 圧電性が著しい[2]

用途

[編集]

リシア電気石は色の深さや結晶の品質の多様性に富むことから、理想的なトルマリン宝石である。特に緑色のものは「ブラジルエメラルド」として知られる[2]

宝石としての種類

[編集]
  • アクロアイト (achroite) : 無色。
  • インディゴライト (indicolite) : 青色。別名「ブルートルマリン」。
  • ルベライト (rubellite): 赤色から桃色。
  • ヴェルデライト (verdelite) : 緑色。

主な産地

[編集]

最初に発見されたのは、イタリアエルバ島であり、1913年のことであった。 それ以来、世界各地で発見されている。主産地は1994年に発見されたカナダユーコン準州のO'Grady Lakesである。

日本国内では茨城県岩手県福岡県の3か所で発見されている[7]

生成環境

[編集]

リシア電気石は火成岩変成岩の鉱脈で、花崗岩ペグマタイトの中に紅雲母(リチア雲母)・微斜カリ長石リシア輝石とともに副成分鉱物として[2]産する。特に大規模な熱水交代鉱床における、モリブデン鉱錫石と共に片岩中に紅柱石黒雲母がある状態で産する。

脚注

[編集]
  1. ^ 文献によっては「なし」と書かれている。
  2. ^ a b c d e 森本ほか、1975
  3. ^ 堀秀道「楽しい鉱物図鑑②」P.163
  4. ^ Fluor-liddicoatite, mindat.org
  5. ^ Liddicoatite, mindat.org
  6. ^ a b c d e リシア電気石英語版
  7. ^ 鉱物図鑑-リシア電気石を参照。

参考文献

[編集]
  • 森本信男砂川一郎都城秋穂『鉱物学』岩波書店、1975年、521-522頁。 
  • 松原聰『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年、188頁。ISBN 4-05-402013-5 
  • 松原聰、宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会国立科学博物館叢書〉、2006年、35頁。ISBN 978-4-486-03157-4 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]