リンクルリッジ
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リンクルリッジ(英語: wrinkle ridge)とは、月の海に普遍的に見られる地形の一種である。背の低い曲がりくねった尾根で、長さは数百キロメートルに及ぶこともある。リンクルリッジはテクトニックな地形であり、玄武岩質の溶岩が冷却して収縮することで形成される。
リンクルリッジはクレーターの近くに見られ、しばしば月の海の下に隠れたリング構造を縁取ったり、円形をした月の海の輪郭に沿って発達したり、月面から突き出た孤峰を横切ったりしている。リンクルリッジはveinと呼ばれることもあるが、これは肌に浮き出た静脈 (vein) にその姿が似ているためである。
リンクルリッジのラテン語名にはドルスム (dorsum) の名前が使われる。複数形ではドルサ (dorsa) と呼ばれる。国際天文学連合の標準的な命名規則では、月面のリンクルリッジには人名を用いるとしている。例えばドルサ・バーネットはトーマス・バーネットに由来し、ドルスム・オーウェンは George Owen of Henllys に由来する。
リンクルリッジは火星にも存在し、クリュセ平原にその例を見ることができる。また、探査機が訪れた小惑星、水星、木星と土星の衛星にも見つかっている。
参考文献
[編集]- Golombek, M. P., F. S. Anderson, and M. T. Zuber (2001), Martian wrinkle ridge topography: Evidence for subsurface faults from MOLA, J. Geophys. Res., 106, 23,811–23,821, doi:10.1029/2000JE001308.
- Montési, L. G. J., and M. T. Zuber (2003), Clues to the lithospheric structure of Mars from wrinkle ridge sets and localization instability, J. Geophys. Res., 108(E6), 5048, doi:10.1029/2002JE001974.
- Watters, T. R. (1988), Wrinkle Ridge Assemblages on the Terrestrial Planets, J. Geophys. Res., 93(B9), 10,236–10,254, doi:10.1029/JB093iB09p10236.
- Watters, et al., Evidence of Recent Thrust Faulting on the Moon Revealed by the Lunar Reconnaissance Orbiter Camera. Science 20 August 2010: 936-940. DOI:10.1126/science.1189590