リーランド・イー
リーランド・イン・イー(Leland Yin Yee、余胤良、1948年11月20日 - )は、アメリカ合衆国の政治家。民主党所属の元カリフォルニア州議会議員。
チャイナタウンのマフィアらと共謀し銃器密売や恐喝、贈賄を行なったとして2014年に逮捕された。
来歴
[編集]中華民国台山市の生まれであり、3歳でカリフォルニア州のサンフランシスコに移民してきた。カリフォルニア大学バークレー校などで児童心理学を学び哲学博士となり児童精神科医として働きながら、2006年に州議員として当選する。
熱心な銃規制論者であり、2012年にはケビン・デ・レオン議員(のちの上院議長)と共にAR-15のような自動小銃に、マガジンを容易に脱着できないようにする"Bullet button"と呼ばれる部品の着用などを義務づける「SB 249」を制定した[1]。
また、暴力的なゲームの規制論者でもあり、2005年に登場人物を殺害したり、性的暴力を加えたりする場面を含むゲームを18歳未満の未成年者に販売したり、貸し出したりする業者に1件あたり最大1000ドルの罰金を科す「California Assembly Bills 1792 & 1793」を提出し可決された。その後ゲーム業界の訴えにより、この法律は2011年に合衆国憲法修正第1条に違反すると判断された[2]。
スキャンダル
[編集]2014年、イーはフィリピンの武装勢力(モロ・イスラム解放戦線)の関係者と人脈があることを活かし、武装勢力が保有する全自動射撃可能な突撃銃や榴弾発射砲といった銃器を中国系マフィア向けに密輸するという計画を主導したという件で逮捕された[3]。
イーは選挙資金による多額の借金の返済に追い込まれ、中国系マフィアの構成員(正体は潜入していた連邦捜査局の捜査官)に接触し取引を行おうとしていた。これによりイーを含めた29人が逮捕され、逮捕された人物の中には、捜査官の潜入対象であった中国系マフィア「Ghee Kong Tong」のボス、レイモンド・チョウも含まれていた[4]。
2016年、イーには武器密売と汚職事件により懲役5年の有罪判決が下り、妻の介護を理由に恩赦を求めるが却下された[5]。フォートワース連邦刑務所(FCI Ft Worth)に収容され[6]、2020年に釈放された[7]。
脚注
[編集]- ^ “YEE INTRODUCES BILL TO CLOSE LOOPHOLE IN ASSAULT WEAPON LAW” (May 21, 2012). May 24, 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月16日閲覧。
- ^ 日本経済新聞 米最高裁、暴力ゲームの規制は違憲 表現の自由尊重 2011年6月28日
- ^ 米議員が銃密輸を計画? FBIおとり捜査が驚きの展開に
- ^ “Report: Sen. Leland Yee arrested on bribery, corruption charges”. krca.com. March 26, 2014閲覧。
- ^ Gamespot - Anti-Game Senator Gets 5 Years in Prison for Political Corruption and Gun-Running 2016年2月26日
- ^ “Photo by schp98ls1b4c”. June 19, 2016閲覧。
- ^ Anna Bauman (June 30, 2020). “Leland Yee, convicted in 2015 corruption scandal, released from federal prison”. San Francisco Chronicle. August 11, 2020閲覧。