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ルハーンシク (コルベット)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
MPK-231
U203 「ルハーンシク」
艦歴
MPK-231
МПК-231
起工 1989年 フェオドーシヤ造船会社「モーレ」
所属 ソビエト連邦の海軍旗 ソ連海軍黒海艦隊
転属 1992年8月
所属 黒海艦隊の海軍旗 ウクライナ海軍ロシア海軍黒海艦隊
退役 1994年11月21日
U203 「ルハーンシク」
U203 «Луганськ»
移籍 1994年7月28日
所属 ウクライナ海軍の旗 ウクライナ海軍
要目
正式分類 小型対潜艦
小型対潜艦
コルベット
形態 小型対潜艦、対潜コルベット
設計 11451 「ソーキル-2」設計[1][注 1]
工場番号 503[* 1]
船体
排水量 基準排水量 364.0 t
通常排水量 417.0 t
満載排水量 470.0 t
船体長 全長 49.97 m
水線 44.80 m
全幅 船体最大幅 9.89 m
水線長 9.2 m
限界寸法 21.13 m
喫水 基準排水量平均喫水 1.82 m
通常排水量平均喫水 1.99 m
満載排水量平均喫水 2.16 m
通常排水量限界寸法 7.2 m
動力装置
巡航・加速同調式ガスタービン主要動力装置
主機 加速用ガスタービン機関 M-10D 2 基
出力 40000 馬力
加速用ガスタービン機関 M-16.1[* 2][注 2] 1 基
出力 10000 馬力[* 2][注 3]
プロペラシャフト 3 軸[* 2]
タンデム式推進用スクリュープロペラ 6 基[* 2]
発電機 ディーゼル発電機 DHR-2A-200/1500[* 2][注 4] 2 基
発電 400 kW
燃料 満載 105 t
最大積載 123.2 t
満載 1.0 t
最大積載 3.12 t
飲料水 満載 7 日分
航行性能
速力 最大 61.8 kn
全エンジン稼動、水中翼航行 60.5 kn
加速用エンジンのみ稼動、水中翼航行 50 kn[* 3]
経済速度 巡航用エンジンのみ稼動、喫水航行 12.2 kn
航続距離 燃料満載時 621 nmi/60.5 kn
752 nmi/50.2 kn
1230 nmi/12.2 kn
1600 /8.0 kn
独立行動期間 7 日間
乗員
士官 5 名[* 2]
水兵 34 名[* 2]
武装
携行式高角ミサイル複合 9K34 「ストリラ-3」[注 5][注 6] 8 連装発射装置 1 基[* 4]
高角誘導ミサイル 9M36 8 発
59 口径 76.2 mm 汎用艦砲 AK-176 1 基
76.2 mm 砲弾 152 発
30 mm 6 連装高角砲複合 AK-630M 1 基
30 mm 砲弾数 3000 発[* 4]
400 mm 4 連装魚雷装置 TR-224 2 基
対潜自動誘導電気魚雷 SET-72 または SET-40[* 2] 8 本
レーダー
水上・対空捜索レーダー MR-220 「レーイド」[注 7] 1 基
航法レーダードン-2 1 基
ソナー
下垂式水中音響複合 MG-369 「ズヴェズダー-M1-01」
水中音響ブイ信号受信水中音響装置 MHS-407K[注 8]
電子戦手段
電子情報収集複合「ヴィーンペル-R2」
電子戦複合 PK-16
PK-16 16 連装発射装置 KL-101[* 4] 2 基
欺瞞物質 AZ-TST-60[注 9][* 4]
射撃管制装置
射撃管制レーダー MR-123/176 「ヴィーンペル-A」[2] 1 基
複合自動制御射撃管制装置 MBU-226-1
航法通信装置
航法複合「ベイスル-451」
水路指示器 HKU-1[注 10]
測程器 IEL-1
衛星航法ドップラー艦船装置 ADK-3
自動計算機器 ASCh
磁気コンパス KM-69-2
音響測深機 NEL-M3B
無線方位測定儀 ARP-58SV
位相受信表示器 KPF-5
誇張座標変換機 PKH-2[注 11]
電子光学機器 「フミーリ-III」[注 12]
無線通信設備「ブラーン-7」[* 5]
無線光学技術アンテナ「ゲラーニ」 1 基
敵味方識別装置 6330-01 「ニフローム-M」送受信機アンテナ装置 6730-5 1 基
45 cm 探照燈 2 基
要目の出典
上記以外は、 Дмитриев, Г. С.; Костриченко, В. В.; Леонов, В. В.; Машенский, С. Н. (2008), с. 43 - 59 による。

U203 「ルハーンシク」ウクライナ語: U203 «Луга́нськ»[注 13] )は、ソビエト連邦(以下、ソ連)で設計されたウクライナ海軍水中翼船対潜コルベットである。ウクライナ海軍での正式分類は、コルベット( корвет )である。艦名は、ウクライナ東部ウクライナ語版の都市ルハーンシクに因んだもの。

なお、同型艦の U201 「リヴィウ」と名称が逆になっている場合がある[3]。ここでは、工場番号 503 号艦を「ルハーンシク」、工場番号 504 号艦を「リヴィウ」として解説する[4]

概要

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「ルハーンシク」は、元はソビエト連邦海軍(以下、ソ連海軍)向けに建造された 11451 「ソーコル-2」設計小型対潜艦[1][注 1]の 3 番艦、 MPK-231ロシア語: МПК-231 )であった[注 14]。「MPK」は「小型対潜艦」( малый противолодочный корабль )の略号なので、「第 231 号小型対潜艦」といった意味になる。

MPK-231 は、1989年に、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国フェオドーシヤフェオドーシヤ造船会社「モーレ」ロシア語版にて起工した。工場番号は、 503 とされた[5]

ソビエト連邦の崩壊後はロシア連邦政府によって建造が続けられたが、1994年7月28日付けで財源の枯渇を理由に建造は停止された[5]。この時点で、艦はほとんど完成していた[5]。同年11月21日付けでロシア連邦海軍を退役し、ウクライナ政府へ引き渡された[5]。ウクライナ海軍へ編入され、艦名を U203 「ルハーンシク」と改められた[4][5]。ウクライナ海軍は、「ルハーンシク」の乗員を編成した[6]

しかし、それ以降、艦は船台の上で保管され続けている。完成度は 98 % と、未完成のまま保管されているウクライナ艦船の中でも特に高い[7]。同型艦を保有するロシア連邦政府に払い下げられる可能性や[8]ハリウッドに売却される可能性[9]が取り沙汰されていたこともあった。また、「モーレ」は事実上余剰と化した「ルハーンシク」と「リヴィウ」を小型ミサイル艦に改装し外国へ売却する「ファルコン-500」計画を作成したが、水中翼艦艇購入を検討していたクウェートアラブ首長国連邦1993年から1994年のあいだに視察に訪れた際、別の水中翼艦 PSKR-105 が資材不足が原因で水中翼航行を披露できなかったことがイメージダウンを招き、交渉はまとまらず売却は実現しなかった[10]

2002年には、 L・D・クチマ大統領が「テルノーピリ」、「ザポリージャ」と並んで「ルハーンシク」の完成工事を指示しており[11]2003年2月6日にはウクライナ軍参謀本部長 O・I・ザティナイコ大将も「ルハーンシク」と「リヴィウ」の完成について言及しているが[12]、結局完成していない[13]。「ルハーンシク」と「リヴィウ」は改装もされないまま保管され続けており、今後の予定は未定である[14][15]

舷側番号

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その就役期間において、艦には以下のような舷側番号ロシア語版が記された。

ウクライナ海軍の旗 ウクライナ海軍

脚注

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  1. ^ a b ピリオドを入れて1145.1 設計とも表記される。設計暗号はロシア語名で「ソーコル-2」、ウクライナではウクライナ語へ翻訳した「ソーキル-2」を用いている。「ソーコル」とも呼ばれる。
  2. ^ または M-16 。
  3. ^ または 8500 馬力。
  4. ^ ロシア語では DGR-2A-200/1500 。
  5. ^ ロシア語では「ストレラ-3」。
  6. ^ 9K38 「ホールカ」とも。ロシア語では「イグラ」。
  7. ^ ロシア語では「レーイト」。
  8. ^ ロシア語では MGS-407K 。
  9. ^ 1991年から AZ-TSP-60UM 、 1994年から AZ-TSTM-60U を使用。
  10. ^ ロシア語では GKU-1 。
  11. ^ ロシア語では PKG-2 。
  12. ^ ロシア語では「フメーリ-III」。
  13. ^ [luˈɦɑnsʲk ルハーンスィク]
  14. ^ 艦名は、「MPK-231」( «МПК-231» )と表記される場合がある。ここでは簡略な括弧なしの表記を用いる。

出典

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  1. ^ a b Костриченко, В. В. (2005), с. 142
  2. ^ または MR-123-01 「ヴィーンペル-A」とも。
  3. ^ Дмитриев, Г. С.; Костриченко, В. В.; Леонов, В. В.; Машенский, С. Н. (2008). など。
  4. ^ a b c Заблоцький, В. П.; Костриченко, В. В. (1998), с. 16 などによる。
  5. ^ a b c d e f Апальков, Ю. В. (2005), с. 41
  6. ^ Мамчак, М. А. (2005)
  7. ^ “Что ждет 'Луганск' корвет?” (ロシア語). (2007年3月12日11:49). http://bestlugansk.narod.ru/121149.shtml.htm 2010年11月25日閲覧。 
  8. ^ Апальков, Ю. В. (2005), с.41
  9. ^ Макогон, Наталка МАКОГОН (2006年2月15日17:04:02). “Что ждет 'Луганск' корвет?” (ウクライナ語). http://gazeta.ua/index.php?id=104155 2010年11月25日閲覧。 
  10. ^ Дмитриев, Г. С.; Костриченко, В. В.; Леонов, В. В.; Машенский, С. Н. (2008), с. 67, 165
  11. ^ Українські Новини (2002年8月1日10:22). “Кучма требует увеличить финансирование армии и поднять престиж военной службы” (ロシア語). http://korrespondent.net/ukraine/politics/52018-kuchma-trebuet-uvelichit-finansirovanie-armii-i-podnyat-prestizh-voennoj-sluzhby 2010年11月26日閲覧。 
  12. ^ "Підсумки виконання заходів Державної програми реформування та розвитку Збройних Сил України у 2002 році та перспективи їх подальшого розвитку" (Press release) (ウクライナ語). Міністерство оборони України. 6 February 2003. 2010年11月26日閲覧
  13. ^ Олийнык, Владимир (2005年7月30日). “Украинский военный флот: непраздничные путешествия в прошлое и современность.” (ロシア語). http://www.zn.ua/3000/3150/50721/ 2010年11月26日閲覧。 
  14. ^ Чуприн, Константин (2010年8月4日19:36). “Советское наследство украинского флота” (ロシア語). http://www.newsland.ru/News/Detail/id/541423/cat/94/ 2010年11月26日閲覧。 
  15. ^ Чуприн, Константин (2010年9月22日20:28). “Рожки да ножки… Советское наследство украинского флота” (ロシア語). Аргументы Неделіロシア語版. http://www.argumenti.ru/vpk/n256/77634/ 2010年11月26日閲覧。 

参考文献

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外部リンク

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