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レラティビティ・スペース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レラティビティ・スペース
Relativity Space Inc.
種類 非公開会社
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州ロングビーチ
設立 2015年[1]
業種 輸送用機器
事業内容 ロケット打ち上げ
代表者 ティム・エリス英語版 (CEO)
ジョーダン・ヌーン英語版 (共同創業者、エグゼクティブアドバイザー)
従業員数 1,000+ (2024[2])
外部リンク relativityspace.com
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レラティビティ・スペース (Relativity Space Inc.) は、アメリカカリフォルニア州ロングビーチに本社を置く航空宇宙企業である[3]。レラティビティ・スペースは商業打ち上げサービスのためのロケットロケットエンジンを開発しており[4]、特に開発中のテラン1英語版テランRロケットにおいて、3Dプリントを広く活用していることで知られている。2024年現在、テランRは開発中の状態で、2026年の初打ち上げを目指している[5]

主要製品

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ロケット

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テラン1

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テラン1英語版は小型の二段式の使い捨て型ロケットである。1段目には9基のイーオン1エンジンを、2段目には1基の真空バージョンのイーオン1エンジンを使用する。打ち上げ能力は高度185 kmの低軌道 (LEO) に1,250 kg、高度500 kmの太陽同期軌道 (SSO) に900 kg、高度1,200 kmでは700 kgとなるよう設計されていた。打ち上げコストは、2020年の段階で1ミッション当たり1200万ドルが予定されていた[6]

レラティビティ・スペースは、3度の打ち上げ延期の後、2023年3月23日にテラン1の初打ち上げを行った[7]。しかし打ち上げ後に2段目のエンジンで問題が発生、ロケットは軌道に到達することなく、打ち上げ4分後に海面に落下した[8]。打ち上げの後レラティビティ・スペースは、テラン1の開発を中止して、より大型のテランRの開発に注力することを発表した[9]

テランR

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テランRは大型の二段式ロケットであり、部分的に再使用可能なロケットとなるべく、2024年現在開発が進められている。テラン1と同様に3Dプリントが活用されるが、打ち上げ能力が低軌道に33,500 kgと大幅に増強されている。1段目には13基のイーオンRエンジンが、2段目には改良された真空バージョンのイーオンエンジンが使用される。この設計により、レラティビティ・スペースは業界首位のスペースXファルコン9ロケットを打ち上げ能力で大幅に上回ることを目指している。初打ち上げは2026年以降に行われる見通し[10]

ロケットエンジン

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イーオン1

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イーオン1 (Aeon 1) は、海面推力100 kN真空推力113 kNのロケットエンジンである。推進剤として液化天然ガス (LNG) と液体酸素 (LOX) を使用する。このエンジンは独自の3Dプリント合金 (GRCop[11]) で製造されている。粉末焼結積層造形法 (SLS) で3Dプリントされ、僅か100個にも満たないパーツから組み立てられる[12]2022年2月までに、レラティビティ・スペースはNASAステニス宇宙センターのE-3試験棟を用いて、イーオン1エンジンの燃焼試験を500回以上実施した[13][14]

真空バージョンのイーオン1エンジンは、AeonVacとも知られており、レラティビティ・スペースのロケットの2段目で用いられる[15][16]

イーオンR

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イーオンR (Aeon R) は2024年現在開発中のロケットエンジンであり、高圧ガス発生器サイクルでLOXとサブクール英語版メタンを推進剤として使用する[17]。海面推力が1,150 kN、真空推力は1,240 kNを目標に設計されている。テランRロケットでは、13基のイーオンRエンジンを搭載することで、打ち上げ時に14,950 kNの推力を生み出す[18]

スターゲイト

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スターゲイト (Stargate) は、レラティビティ・スペースが構築した3Dプリンターシステムである。これはロケットの燃料タンクや機体といった大型の部品を3Dプリントするために作成されたもので、同社は金属用の3Dプリンターとして世界最大のものであると主張している[19][20]。スターゲイトは既存の溶接技術を使用して、金属線を層ごとに融かし、最小限の接合部と部品で正確で複雑な構造物を作成する[21]。レラティビティ・スペースは2023年のテラン1では機体の85%が3Dプリント製だが、将来のロケットではさらに95%まで3Dプリントの割合を高めたいとしている[22]。レラティビティ・スペースでは、3Dプリントによりロケットの製造が60日で完了するようになることを計画している[23][14]

脚注

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  1. ^ Accelerating the future of space, faster”. Relativity Space. 18 April 2021時点のオリジナルよりアーカイブ2019年6月9日閲覧。
  2. ^ The Relativity Team”. Relativity Space. 2024年5月12日閲覧。 “...Relativity has grown to a team of over 1,000 employees across multiple locations.”
  3. ^ Eric Berger (March 21, 2018). “Relativity Space reveals its ambitions with big NASA deal”. Ars Technica. 20 December 2020時点のオリジナルよりアーカイブMarch 25, 2018閲覧。
  4. ^ Shieber, Jonathan (September 11, 2019). “Relativity Space signs the satellite transportation company Momentus as a new customer”. Tech Crunch. オリジナルの28 October 2020時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20201028235800/https://techcrunch.com/2019/09/11/relativity-space-signs-its-the-satellite-transportation-company-momentus-as-its-first-customer/ August 19, 2020閲覧。 
  5. ^ Erwin, Sandra (2024年4月10日). “Relativity Space delays NSSL bid, focuses on 2026 Terran R debut” (英語). SpaceNews. 2024年4月27日閲覧。
  6. ^ Relativity books up to six launches for Iridium, reveals plans for Vandenberg pad”. Spaceflight Now (24 June 2020). 25 June 2020時点のオリジナルよりアーカイブ24 June 2020閲覧。
  7. ^ 3-D printed rocket Terran 1: New launch date set” (英語). WESH (17 March 2023). 2023年3月19日閲覧。
  8. ^ Whang, Oliver (2023年3月23日). “The First 3-D Printed Rocket Fails Shortly After Launch” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2023/03/23/science/relativity-space-launch-terran.html 2023年3月23日閲覧。 
  9. ^ Sheetz, Michael (12 April 2023). “Relativity goes 'all in' on larger reusable rocket, shifting 3D-printing approach after first launch” (英語). CNBC. 2023年4月13日閲覧。
  10. ^ Berger, Eric (12 April 2023). “Relativity Space is moving on from the Terran 1 rocket to something much bigger”. Ars Technica. 12 April 2023閲覧。
  11. ^ Innovative NASA alloy used for 3D printed rocket”. Space Daily. 2024年5月25日閲覧。
  12. ^ TMRO:Space - Relativity: How to print a rocket on Earth and Mars - Orbit 11.19 - YouTube
  13. ^ Relativity Space” (英語). Relativity Space. 2021年7月19日閲覧。
  14. ^ a b Sheetz, Michael (2020年11月23日). “Relativity Space adds $500 million to 'war chest' for scaling production of 3D-printed rockets” (英語). CNBC. 8 March 2021時点のオリジナルよりアーカイブ2020年12月31日閲覧。
  15. ^ Sheetz, Michael (25 February 2021). “Relativity Space unveils a reusable, 3D-printed rocket to compete with SpaceX's Falcon 9”. CNBC. オリジナルの25 February 2021時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20210225201826/https://www.cnbc.com/2021/02/25/relativitys-reusable-terran-rocket-competitor-to-spacexs-falcon-9.html 4 July 2021閲覧。 
  16. ^ Rockets” (英語). Relativity Space. 11 June 2021時点のオリジナルよりアーカイブ11 June 2021閲覧。
  17. ^ Relativity Space - Terran R”. Relativity Space. 2024年5月25日閲覧。
  18. ^ "Relativity Space Shares Updated Go-to-Market Approach for Terran R, Taking Aim at Medium to Heavy Payload Category with Next-Generation Rocket". Relativity Space (Press release). 12 April 2023. 2023年4月12日閲覧
  19. ^ Foust, Jeff (December 5, 2017). “Relativity Space aims to 3D print entire launch vehicles”. SpaceNews. March 25, 2018閲覧。
  20. ^ Mosher, Dave (2018年10月22日). “Defectors from SpaceX, Blue Origin, and Tesla are developing a remarkable technology called 'Stargate' to help colonize other planets”. Business Insider. 23 October 2018時点のオリジナルよりアーカイブ2019年6月9日閲覧。
  21. ^ Salmi, Bryce (2019年8月25日). “The World's Largest 3D Metal Printer Is Churning Out Rockets”. IEEE Spectrum. 28 December 2020時点のオリジナルよりアーカイブ2021年1月16日閲覧。
  22. ^ Last-minute aborts thwart launch of world's first 3D-printed rocket” (英語). NBC News (2023年3月11日). 2023年11月8日閲覧。
  23. ^ Johnson, Jennifer (2018年5月16日). “Rocket Plan: How 3-D Printing Is Unlocking A New Space Race”. Forbes. 23 October 2018時点のオリジナルよりアーカイブ2019年6月9日閲覧。

外部リンク

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