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ロシアオリンピック委員会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロシアオリンピック委員会
国/地域  ロシア
コード RUS
設立 1911年
承認
  • 1911年(1度目)
  • 1992年(2度目)
本部 ロシアの旗 ロシアモスクワ市
会長 スタニスラフ・ポズドニャコフ英語版
事務総長 アナスタシア・ダビドワ
ウェブサイト www.olympic.ru
モスクワのROC本部

ロシアオリンピック委員会(ロシアオリンピックいいんかい、: Олимпийский комитет России: Russian Olympic Committee)は、ロシア国内オリンピック委員会である。正式名称は、全ロシア公共団体連合“ロシアオリンピック委員会”(: Общероссийский союз общественных объединений «Олимпийский комитет России»: All-Russian united social union "Olympic Committee of Russia")。略称は、ROC

歴史

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ロシアオリンピック委員会は、ロシア帝国時代の1911年サンクトペテルブルクにあるロシア帝国水難救助協会(サドーヴァヤ通り50番地)の敷地内で行われた会議において、ロシアのスポーツ協会の代表者らによって設立された。その場で規約が採択され、委員が選出された。初代会長には、ヴャチェスラフ・スレズネフスキーロシア語版[1]が就任し、1918年まで活動した。

1917年11月のロシア革命およびロシア内戦1917年1922年)を経て成立したソビエト連邦は、当初、思想的根拠から国際競技大会に参加しなかった[2]。しかし、第二次世界大戦1939年1945年)後、ソ連の政府高官や指導者たちは、オリンピックで活躍することは共産主義の推進に有効であると考えるようになり[3]1951年4月21日ソビエトオリンピック委員会が設立され、1951年5月7日の第45回国際オリンピック委員会(IOC)総会で承認された。同年、ソビエト代表としてコンスタンティン・アンドリアノフ英語版がIOC委員となり、ソビエト連邦は正式に近代オリンピックに参加した。

1989年11月9日ベルリンの壁が崩壊し、共産主義体制の崩壊が進むと、1989年12月1日の憲法制定会議による決定で「全ロシアオリンピック委員会」が独立公的機関として設立された[4]。その後、1991年ソビエト連邦が崩壊すると、1992年8月13日に正式に「ロシアオリンピック委員会」(ROC)と命名され、1992年9月の第101回IOC総会において、ソビエトオリンピック委員会の法的後継団体としてIOCから承認された[5]

2017年から現在

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2017年12月5日、ロシアオリンピック委員会は、ロシアによる国家ぐるみの組織的なドーピングへの関与が認定され、IOCから資格停止処分を受けた[6][7]2018年2月9日から2月25日まで開催された平昌オリンピックには、潔白を証明した選手のみ個人資格での出場が認められ、ロシア選手団としてではなく「ロシアからのオリンピック選手(OAR)」として出場した[7][8]

2018年2月28日2018年平昌オリンピックに参加したOAR選手のドーピング検査が終了し、ドーピング違反で失格となった2選手以外の検査結果が陰性であったと認められたため、IOCは、ロシアオリンピック委員会の資格停止処分を解除した[9][8]

2019年12月9日世界反ドーピング機関(WADA)は、ロシア反ドーピング機関から提供されたデータがロシア選手の禁止薬物使用を隠蔽する目的でロシア当局によって改竄された疑いがあることから、ロシアに対し、オリンピックを含む全ての国際競技大会への参加を4年間禁止する決定を下した[10][11]。その後、ロシアは、スポーツ仲裁裁判所に対し、WADAの処分を不服とする申し立てを行った[12][13]2020年12月17日、スポーツ仲裁裁判所は、ロシアによるWADAの処分に関する申し立てを検討し、WADAが下した処分を軽減する裁定を下した。裁定では、ロシアの競技大会からの追放を撤回し、ロシア選手のオリンピックやその他の国際大会への参加を認めたが、ロシアの国名、国旗、国歌の使用を2年間禁じ、ドーピングとは無関係であると証明した上で「中立選手(Neutral Athlete)」または「中立チーム(Neutral Team)」として臨む場合のみ出場可能とした[14][15]。また、チームユニフォームに「ロシア」と表記することや、ユニフォームのデザインにロシア国旗の色を使用することは認められたが、「ロシア」と表記する場合は「中立選手・チーム」を同程度に併記しなければならないとした[15][16]

2021年2月19日、ロシアは、ロシアオリンピック委員会の略称である「ROC」として、2020年東京オリンピック2022年北京オリンピックの競技に参加することが発表された[17]。また、ロシア国旗の代わりにロシアオリンピック委員会のロゴの入った旗を使用し、「ROC」と記載したチームユニフォームを使用することが定められた[18][17]。ユニフォームに「ロシアオリンピック委員会」とフルで表記することは禁止され、「ロシア」と表記する場合は「中立選手」を併記することが求められた[17]。この名称は、「中華民国(Republic of China)」の略称として同じく「ROC」を使用する台湾[19]で物議を醸した[20]

2021年4月15日、ロシア国旗の色を使用したROC選手のユニフォームが公開された[21][22][23]2021年4月22日、ロシア国歌の代替曲がIOCによって承認された。当初、ロシア民謡「カチューシャ」の使用が要請されたが却下され、ピョートル・チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」の一節が使用されることとなった[24][25][26][27]

歴代会長

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会長 在任期間
ヴャチェスラフ・スレズネフスキーロシア語版 1911年 – 1918年
ヴィタリー・スミルノフ英語版 1992年 – 2001年
レオニード・チャガチェフ英語版 2001年 – 2010年
アレクサンドル・ジューコフ 2010年 – 2018年
スタニスラフ・ポズドニャコフ英語版 2018年 – 現在

IOC委員

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委員 在任期間
ヴィタリー・スミルノフ英語版 1992年 – 2015年
アレクサンドル・ポポフ 2000年 – 2016年
アレクサンドル・ジューコフ 2013年 – 2018年
シャミル・タルピシェフ英語版 1994年 – 現在
エレーナ・イシンバエワ 2016年 – 現在

加盟団体

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ロシアの国内競技連盟は、各スポーツについてあらゆる側面で調整する組織であり、各スポーツの強化、競技、発展に責任を負う。現在、ロシア国内には37の夏季オリンピック競技連盟、12の冬季オリンピック競技連盟が存在し、全団体がモスクワに本部を置いている。

国内競技連盟 夏季/冬季
ロシアアルペンスキー・スノーボード連盟 冬季
ロシアアーチェリー連盟 夏季
全ロシア陸上連盟英語版 夏季
ロシアバドミントン連盟英語版 夏季
ロシア野球連盟 夏季
ロシアバスケットボール連盟英語版 夏季
ロシアバイアスロン連合 冬季
ロシアボブスレー連盟 冬季
ロシアボクシング連盟英語版 夏季
ロシアカヌー連盟 夏季
ロシアクライミング連盟 夏季
ロシアクロスカントリースキー連盟 冬季
ロシアカーリング連盟 冬季
ロシアサイクリング連盟英語版 夏季
ロシア飛込連盟 夏季
ロシア馬術連盟 夏季
ロシアフェンシング連盟英語版 夏季
ロシアフィールドホッケー連盟英語版 夏季
ロシアフィギュアスケート連盟英語版 冬季
ロシアサッカー連合 夏季
ロシアフリースタイル連盟 冬季
ロシア体操連盟英語版 夏季
ロシア新体操連盟英語版 夏季
ロシアゴルフ協会 夏季
ロシアハンドボール連盟英語版 夏季
ロシアアイスホッケー連盟英語版 冬季
ロシア柔道連盟 夏季
ロシア空手連盟 夏季
ロシアリュージュ連盟 冬季
ロシア近代五種連盟 夏季
ロシアボート連盟 夏季
ロシアラグビー連合英語版 夏季
ロシア射撃連合英語版 夏季
ロシアスケート連合 冬季
ロシアスキー協会英語版 冬季
ロシアスキージャンプ・ノルディック合同連盟 冬季
ロシアソフトボール連盟 夏季
ロシア水泳連盟 夏季
ロシア卓球連盟 夏季
ロシアテコンドー連盟英語版 夏季
ロシアテニス連盟英語版 夏季
ロシアトランポリン連盟 夏季
ロシアトライアスロン連盟英語版 夏季
全ロシアバレーボール連盟 夏季
ロシア水球連盟 夏季
ロシアウェイトリフティング連盟 夏季
ロシアホワイトウォータースラローム連盟 夏季
ロシアレスリング連盟 夏季
ロシアヨット連盟英語版 夏季

関連項目

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脚注

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  1. ^ イスマイル・スレズネフスキー英語版の息子。
  2. ^ Keys, Barbara J. (2006), Globalizing Sport: National Rivalry and International Community in the 1930s, Harvard University Press, Cambridge, Massachusetts, ISBN 0-674-02326-9 (p. 159)
  3. ^ O'Mahony, Mike (2006), Sport in the USSR: Physical Culture—Visual Culture, Reaktion Books Ltd, London, ISBN 1-86189-267-5 (p. 19)
  4. ^ Owen, David (2019年11月10日). “How the collapse of the Berlin Wall changed Olympic sport”. https://www.insidethegames.biz/articles/1086882/berlin-wall-collapse-olympic-sport 2022年2月18日閲覧。 
  5. ^ 東京オリンピック2020への出場、なぜロシアではなくROC?”. Russia Beyond (2021年7月27日). 2022年2月18日閲覧。
  6. ^ “IOC suspends Russian NOC and creates a path for clean individual athletes to compete in PyeongChang 2018 under the Olympic Flag” (英語). International Olympic Committee. (2017年12月5日). https://www.olympic.org/news/ioc-suspends-russian-noc-and-creates-a-path-for-clean-individual-athletes-to-compete-in-pyeongchang-2018-under-the-olympic-flag 2017年12月10日閲覧。 
  7. ^ a b “平昌五輪 IOC「露選手団の参加認めず」”. 日テレNEWS. (2017年12月6日). https://news.ntv.co.jp/category/international/379731 2022年2月15日閲覧。 
  8. ^ a b “ロシア五輪委の資格停止解除 ドーピング問題”. 日本経済新聞. (2018年2月28日). https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK30979_Y8A220C1000000/ 2022年2月15日閲覧。 
  9. ^ “IOC statement” (英語). https://www.olympic.org/news/ioc-statement-2018-02-28 2018年2月28日閲覧。 
  10. ^ “ロシア、東京五輪含め国際大会への4年間参加禁止-ドーピング問題で”. Bloomberg. (2019年12月9日). https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-09/Q28RY9T0G1KW01 2022年2月15日閲覧。 
  11. ^ “ロシア選手団、ドーピングで主要大会4年間除外 東京五輪も”. BBC News. (2019年12月10日). https://www.bbc.com/japanese/50723553 2022年2月16日閲覧。 
  12. ^ “Russia Confirms It Will Appeal 4-Year Olympic Ban”. Time. (2019-12-27). オリジナルの2019-12-27時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191227213853/https://time.com/5756077/russia-olympic-ban-appeal/. 
  13. ^ “ロシア、五輪除外処分に不服伝達 WADAに書簡”. 日本経済新聞. (2019年12月27日). https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK50811_X21C19A2000000/ 2022年2月15日閲覧。 
  14. ^ “ロシア、ドーピングで出場禁止2年 処分短縮に批判「破滅的」”. AFP News. (2020年12月18日). https://www.afpbb.com/articles/-/3321998 2022年2月15日閲覧。 
  15. ^ a b Dunbar, Graham (2020年12月17日). “Russia can't use its name and flag at the next 2 Olympics”. Associated Press. 2020年12月17日閲覧。
  16. ^ “今回は「ROC」、「ロシア」と名乗れない選手たちの事情”. 毎日新聞. (2022年2月4日). https://mainichi.jp/articles/20220204/k00/00m/050/064000c 2022年2月15日閲覧。 
  17. ^ a b c “ロシア勢略称は「ROC」 IOC、東京五輪適用の処分決定”. 日本経済新聞. (2021年2月20日). https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK60017_Q1A220C2000000/ 2022年2月15日閲覧。 
  18. ^ “Olympics: Russia to compete under ROC acronym in Tokyo as part of doping sanctions” (英語). Reuters. Reuters. (2021年2月19日). https://www.reuters.com/article/us-olympics-2020-russia/olympics-russia-to-compete-under-roc-acronym-in-tokyo-as-part-of-doping-sanctions-idUSKBN2AJ1UZ 2021年2月20日閲覧。 
  19. ^ オリンピックでは「チャイニーズタイペイ(TPE)」として参加。
  20. ^ 【中/EN】蔡英文推特#ROC旁呈俄奧會會旗,蔡政府應表達關切 Russian Olympic Committee Flag Appearing Next to President Tsai's #ROC Tweet, Tsai Administration Should Convey its Concern - 中國國民黨全球資訊網 KMT Official Website” (2021年8月3日). 2022年2月15日閲覧。
  21. ^ No flag allowed, but Russian colours plastered on uniforms for Tokyo Olympics | CBC Sports” (2021年4月14日). 2022年2月15日閲覧。
  22. ^ Uniforms for "neutral" Russian team at Tokyo 2020 Olympic Games unveiled”. www.insidethegames.biz. 2021年5月24日閲覧。
  23. ^ 東京五輪のロシアのユニフォームが発表”. RUSSIA BEYOND (2021年4月16日). 2022年2月15日閲覧。
  24. ^ Tchaikovsky Selection To Replace Banned Russian Anthem At Tokyo 2020 and Beijing 2022 Olympics” (英語). RadioFreeEurope/RadioLiberty. 2021年5月24日閲覧。
  25. ^ Tchaikovsky music approved as replacement for banned Russian national anthem”. www.insidethegames.biz. 2021年5月24日閲覧。
  26. ^ “東京五輪でロシア民謡使用却下 カチューシャめぐり、スポーツ仲裁裁”. 産経新聞. (2021年3月13日). https://www.sankei.com/article/20210313-FZIBREDYONOEXEMEXKFFGZXYRA/?outputType=theme_tokyo2020 2022年2月15日閲覧。 
  27. ^ ロシア、五輪表彰式でチャイコフスキー使用へ 違反で国歌禁止”. ロイター通信 (2021年4月23日). 2021年5月24日閲覧。

外部リンク

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