コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ヴィットリオ・カマルデーゼ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴィットリオ・カマルデーゼ
Vittorio Camardese
生誕 1929年7月6日
出身地 イタリアの旗 イタリア ポテンツァ
死没 2010年7月2日
ジャンル ジャズ
職業 ギタリスト
医師
担当楽器 ギター
活動期間 1956年 - 2010年

ヴィットリオ・カマルデーゼ(Vittorio Camardese、1929年7月6日 - 2010年7月2日)は、ポテンツァに生まれ、没した、イタリアギタリスト医師。後年のエディ・ヴァン・ヘイレンらに先んじて、ギタータッピング奏法を用いていた人物として知られる。

経歴

[編集]

ポテンツァにある、ホラティウスの名を冠した古典語学校イタリア語版であるクィントゥス・ホラティウス・フラックス古典語学校イタリア語版に学び、大学進学のためにローマへ移った。放射線医学を専門として医学部を卒業し、サンフィリッポネリ病院イタリア語版で医師として働き、その後ウンベルト1世総合病院に勤務した[1][2]

カマルデーゼは独学で音楽を修めたアマチュアであった。1956年テレビ番組Primo applauso』に初めてテレビ出演し、番組内のコンテストで1等賞をとった。1965年にはアーノルド・フォアイタリア語版のテレビ番組『Chitarra amore mio』に、1970年にはレンツォ・アルボレイタリア語版のテレビ番組『Speciale per voi』にそれぞれ出演した[3][4][5]

カマルデーゼは、ローマのおもだった2か所のジャズ色の強いクラブ、ミュージック・インイタリア語版フォークスタジオイタリア語版に出演していた。当時は、チェット・ベイカートニー・スコットジョー・ヴェヌーティイタリア語版レリオ ルタツィイタリア語版ロマーノ・ムッソリーニイリオ・デ・パウライタリア語版など、多くのミュージシャンたちと共演した[1][2][4]

1978年、彼は以降18年間愛し続けるパートナーと出会った。彼女には、当時3歳の息子(後にシンガーソングライターとなったロベルト・アンジェリーニイタリア語版)がおり、その存在はカマルデーゼの才能を高める助けとなった。同年、彼は再びアルボレの番組に出演したが、これが最後のテレビ出演となった。もともと恥ずかしがり屋で控えめな性格だったカマルデーゼは、あまりにも大きなプレッシャーを理由に、以降の出演依頼を拒むようになった[2][5]

カマルデーゼの芸術的活動は十分に記録されておらず、1965年にイタリア放送協会 (RAI) によって放送された『Chitarra amore mio』への出演で、もっぱら知られている。しかし、残された映像記録は、彼が自力で開発したギターの画期的な演奏技法によって、重要な意味を持つものとなった。右手の指を使って、指板上で弦を叩いて音を出す技法は、注目に値する[1][4]

今ではタッピング奏法と呼ばれているこの技法は、1930年代アメリカ合衆国ロイ・スメック英語版をはじめ、既に他の楽器では用いられていた[6]。しかし、カマルデーゼのが編み出した奏法は、10年後にポップロックフュージョンなどの分野で、重要になるいくつもの要素を、いち早く先取りしたものであった。その超絶技巧の中には、凄まじい速度感だけでなく、概ねジャズ的な調性の中で、ベース、サイドギター、パーカッションからなる伴奏のアンサンブルを思わせる感覚を、聴覚的に再現してみせる能力も含まれていた[1][4]

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d La storia di Vittorio Camardese, il chitarrista-radiologo che ha inventato il tapping” (イタリア語). Rockit.it. 2018年12月21日閲覧。
  2. ^ a b c Seppino Di Trana. “Vittorio Camardese, il medico jazzista che inventò il tapping” (イタリア語). L'indiependente. 2018年12月21日閲覧。
  3. ^ POTENZA ED IL JAZZ: UN LUNGO SODALIZIO - Potentia Review”. www.potentiareview.it. 2019年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年12月21日閲覧。
  4. ^ a b c d Prima di Eddie Van Halen, c'era l'italiano Vittorio Camardese”. www.artistsandbands.org. 2018年12月21日閲覧。
  5. ^ a b potentiareview. “QUEL POTENTINO SCHIVO CHE NON VOLLE DIVENTARE UNA STELLA DEL JAZZ”. Potentia Review. 2019年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月28日閲覧。
  6. ^ スメックはウクレレでこの奏法を用いることがあった。:Roy Smeck - YouTube - 1分30秒前後でタッピング奏法が見られる。

外部リンク

[編集]