ヴェブレン階層
ヴェブレン階層(ヴェブレンかいそう)とは、ヴェブレン関数の値からなる超限次元の行列であり、フェファーマン・シュッテの順序数 (Γ0) より小さい順序数を表現する一般的な方法である。 任意の Γ0 より小さい順序数は、0 と和とヴェブレン関数の組み合わせによって、有限に記述される。 オズワルド・ヴェブレンが1908年の論文にて紹介した[1]。
ヴェブレン階層とヴェブレン関数
[編集]ヴェブレン関数 φ は、可算な順序数の上に定義される二変数関数で、最小の非可算な順序数を Ω で表すとき、ヴェブレン関数の値からなる Ω × Ω の超限次元の行列を特にヴェブレン階層と呼ぶ。 ヴェブレン階層の α 行目、β 列目の値を φα(β) と書く。 ここでは、概略的な説明にとどめる。
まず、ヴェブレン階層の 0 行目に additive principal な順序数を小さいものから順番に置く。 (すなわち、 φ0(α) = ωα) 次に、1 行目には、 φ0(α) = α をみたすような α を小さいものから順番に置く。 これらの順序数 φ1(α) を、特に εα と書く。 例えば、 ε0 は、 となる最小の順序数 で、直感的には の値である。 ただし、ε0ω = ε0 ではないことに注意せねばならない。 従来の羃の表記よりは、右上から左下にかけて小さく書かれている方が、意味的には正しい。 ε1 は、ε0 より大きく ωα = α であるような最小の数 α で、 の極限として与えられる。 一般に、後続順序数 α + 1 に対して、ヴェブレン階層の α+1 列目は φα(β) = β となるような β が順番に置かれ、極限順序数 λ に対しては、それより上のすべての行に現れる順序数が順番に置かれる。
このように構成されたヴェブレン階層の値は、次のように比較することができる: 次のいずれかが成り立つ場合、 φα(β) < φγ(δ)。
- α = γ かつ β < δ
- α < γ かつ β < φγ(δ)
- α > γ かつ φα(β) < δ
フェファーマン・シュッテの順序数
[編集]フェファーマン・シュッテの順序数とは、Γ0 と書かれ、φα(0) = α をみたすような最小の順序数 α のことである。任意の Γ0 より小さい順序数は、0 と和とヴェブレン関数の組み合わせによって、有限に記述される。
脚注
[編集]- ^ Veblen, Oswald (1908), “Continuous Increasing Functions of Finite and Transfinite Ordinals”, Transactions of the American Mathematical Society 9 (3): 280–292, doi:10.2307/1988605, JSTOR 1988605
関連項目
[編集]- 順序数
- 極限順序数
- 超限順序数
- 最小の超限順序数 ω
- エプシロン・ノート ε0
- ζ0
- フェファーマン・シュッテの順序数(Feferman–Schütte ordinal)Γ0
- 多変数ヴェブレン階層
- (有限)多変数に拡張されたヴェブレン階層
- 超限変数に拡張されたヴェブレン階層
- アッカーマン順序数(Ackermann ordinal)θ(Ω2)
- 小ヴェブレン順序数(small Veblen ordinal)θ(Ωω)
- 大ヴェブレン順序数(large Veblen ordinal)θ(ΩΩ)
- 順序数崩壊関数(ordinal collapsing function)
- 最小の非可算順序数 Ω
- バッハマン・ハワード順序数
- ブーフホルツのψ関数 (ブーフホルツのプサイ関数)