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ヴォジャノーイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴォドニークから転送)
ヴォジャノーイ(イヴァン・ビリビン画、1934年)

ヴォジャノーイ[1]ヴォヂャノーイ[2]ヴォジャノイ[3]とも。ロシア語: водяной ラテン文字表記例 Vodyanoy, Vodianoi, Vodjanoj[4]ウクライナ語: водяник)は、東欧に伝わる男性の水の精で、魚の支配者である[5]。その名前は、水を意味する単語「ヴォダー[6] (voda[4])」に由来し、「水の精[4]」を意味する。

同様の水の精が、チェコスロヴァキアでも信じられている。ヴォドニークという[5]。 ヴォドニークの語源も「水(ヴォダ)」である[5]。また、スロヴェニアポヴォドニ・モシュ(あるいはヴォデニ・モシュ)、セルビアヴォデニ・チョヴェク(あるいはヴォデニャク)に相当するとされる[5][注 1]

ポーランドには、トピェレツ英語版(「溺殺者」[7])と呼ばれる水の精がいる。この語源は「溺死させる」という動詞「トピチ」である[5]

概要

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男性の水の精である[4]

ロシアではヴォジャノーイ[6]ヴォジャニク[10]等と呼ばれる。

ロシアの伝承では、普段は太鼓腹で、おたふく顔な全裸な老人であるが[11]、禿げている、いや緑の髪や髭をもつ、葦・藺の帽子・帯をまとう、いや緑苔に覆われるのだ、など描写が交錯しており、他にも鱗の生えた怪物のような描写もある。変身能力があるので、異なる外見もそのせいだとかたづけている説明もみられる。怒ると堰や水車小屋を破壊し、また、人間や動物を捕らえて溺死させるともいわれる。よって漁師、粉ひき小屋の主人、などは、生贄などを供物に捧げてこれを鎮めるという。

人間を嫌い、これを襲って水中に引き込み[12]、あるいは水泳や沐浴者を捕まえて溺死させたりする面がある一方[13][14]、嵐の時には漁師や水夫を助けることがあり、また、豊漁をもたらすとも言われているため、人々は彼らに供物を捧げていた[4]

ロシア

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ヴォジャノーイ[6](異表記:ヴァディヤノイ[7])や、あるいはディエドゥシューカ・ヴァディヤノイДѣдушка-водяной[注 2][15]děduška vodyanoy[注 3]、"水祖父さん")、またはヴォジャニク[10](異表記:ヴァディヤニク[7]водяникъ[15]vodyanik)と呼ばれる[16]

生息地

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ロシアでは、渦巻く淵(омут)、構造盆地ロシア語版/窪地(の水たまり)や川・沼・湖の渦潮ロシア語版に棲み、特に水車小屋(の水車水門[18])のそばを好む[15][19]。沼沢地に棲むものはボロトニャニクロシア語版Болотняник)とも呼ばれる[15][6]。ひとつの水車の羽根の下に、複数のヴォジャノーイが潜伏していることもあるという[17][6]

宮殿・石室・家畜

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昼間は宮殿に潜んでおり、夕方になると宮殿を出て活動を始め、脚で水を叩いて遊ぶ、ともいわれる。彼らの宮殿は水晶で出来ており、さらに沈没船から調達した金銀および魔法の石で装飾されているという[20]。別の描写では、淵の底、葦や菅を分け入るなかに巨大な石室を建設している、といわれる。そして水中に家畜を飼っており、牛・馬・豚・羊の群れを地上で放牧する[21]

外見

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「ヴォジャノーイ」
―V・マルィシェフ(画)、1910年

ヴォジャノーイは、通常は太鼓腹でふくれた顔の裸の老人の姿をしている、とされる[11]。あるいは、まるっきり裸ではなく緑苔まみれで、緑のでできた高帽子と帯(ベルト)をしている、という説明もみえる[24][26][27]

緑の髪と(長い[13])緑色の髪[29][12]を持つ老人の姿、ともいわれる[12]。この髭は、月が欠けると白くなるのだという[17][12]。ヴォジャノーイは不死でかつ、月相に合わせて老いたり若返ったりするとされており[12]満月の日にその力は最高潮に達し、非常に危険な存在となるという[要出典]。月明かりの夜であれば、その掌(ладонь、あるいは獣の前足[17])で水を叩いている音が、水辺にそって響き渡るのだという[30]

また、全身をに覆われた巨漢ともされる[12]

あるいは、漆黒で巨大な赤い目をしており、鼻は長い(漁夫のブーツほど)ともいわれる[17][12]。または[17]。あるいは、人面だが、足指が巨大で、手でなく獣の前足を、長い角と尻尾をもち、目は赤熱した炭のごとく、だったともされる[17][12][32]

ヴォジャノーイは様々な姿に変身できる[16][13]。様々にことなる外観の描写が寄せられているのは、この変身のゆえとの考えもある[31]。ある伝承では、夜になるとはい出てきて水辺で髪を梳かしているところを目撃される、というが[30][33]、異文では裸の女性の姿で髪を梳かすのを目撃されるのだという[17][12]

あるいは、苔で覆われた大魚[17][12]ボルゾイ海老[要出典]や、丸太[13]、さらには小さな翼で水面すれすれに飛行する木の幹など、様々な姿で目撃される[12]。また村にいれば人間の姿になりすますが[34]、湿った衣服で正体はばれるという( § 供物と恩恵の市場の穀物価格を参照)[35][16]

供物と恩恵

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水車小屋の水車や引水をいじって妨害するので、水車の持ち主(粉ひき屋)は、この水霊との関係をうまく保たないと経営できない。人間が水の流れを制御することを嫌い、水門(の土手)を壊そうとすることもある[17][20]。小屋を壊された例も報告される(イリメニ湖等)[22]。水車小屋を持つとき、豚・牛・羊・人間を対象として、生贄に捧げると約束するだけでよい;するとやがてその犠牲者を回収しにやってきて溺死させるのだという[22]。異聞では、黒い雌豚を捧げたり[16]馬や鶏を屠って水中に投じるか[13]、黒い雄鶏を埋めて供物とし[5]、水車小屋を守る。また往時の頃までは、ヴォジャノーイへの御追従のため、遅い時刻に道行く人を水路に突き落とす粉ひき屋もじっさいにいたということだ[17][36]

ヴォジャノーイは、結婚( § 家族を参照)の宴で酩酊すると、水位を上昇させて、堤防や橋や粉ひき小屋を破壊するという[16][37]。また、初春の頃、氷を割り水を波立たせるので、供物をささげねばならない。波浪や咆哮は空腹のためで、食べ物の催促だという。これには季節的に、蜂蜜を塗りたくった馬を生贄にせねばならない[16][38][注 4]

漁師もヴォジャノーイに取り入れば恩恵(豊漁)を期待できる[40]。漁師は、最初にとれた魚や煙草を捧げたり[5]、祝福の飲み物、特に年長者が溶かしたバターか油[42]を水域に注いでヴォジャノーイに捧げた[43]。漁師が網でとらえてしまったヴォジャノーイの子を返還すると、約束の褒美通り網一杯に魚がかかるようになった、という逸話がある[44][13]

また、その行動で豊作か凶作かを予見できるという。村の市場に人間に扮してあらわれるが、上衣(балахон)の脇から水分が染み出ているのが目立って丸わかりだという。これを観察して、もし穀物を高値で買いにくれば、その年は高値続きでつまり凶作が示唆される。もし安く買いにくれば、パンの値段も安くおさまるという[35][16]

乗物

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ヴォジャノーイは魚の支配者で[5][注 5]、その力によって魚(豊漁)の恩恵も授けられるという。そして特に大ナマズсом; Silurus glanis)にまたがって水中を移動する[45][16][5]。しかし、ときおりには、牡牛、牝牛、馬に(が水に入るとこれを捕まえ)を載せ、"沼地に乗りつぶす"[16][7]。農家はその家畜に水を渡らせるとき、そのような難に合わないように、十字を切ってペルーン神の武器の印)渡るという[45]

人間襲撃

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ヴォジャノーイはまた、人間を嫌い、隙をついて水中へ引きずり込むこともある[12]。日没後に水浴する男女を捕まえるともいう[17][36]。民間信仰では、水泳や沐浴のさいには、十字を切るとその魔除けになるといわれる[13]。一説によれば、溺死者が深層の宮殿(上述)にたどりつくと、やつらの奴隷になってしまう[17][12]。ある逸話では、猟師が(水面に撃ち落とした)カモを取りにいこうとして襲われ、首に指跡が残ったという[45]。ウクライナでは子供が水浴びにいくとき、ある小唄を歌うようにしつけられる[注 6][14]

オロネツ地方のある湖に生息していたヴォジャノーイは、人間を食料にするために水中で待ち構えていたが、この地方の人間達が皆用心深く、水浴びや水汲みに湖に現れる[16]ことが殆どなかったため、住居を移そうと決め別の湖へ移動していった。その際に、脚に小さな島が引っかかり、河の中に落ちた。その島は今でも人の肉眼で目視できると言われている[36]

家族構成

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妻を持つと言われ、"女の水精(「水の乙女」)や溺れて死んだ[り父母に呪われた不幸な]人間の娘たちを娶って妻にする"が、「水の乙女」とはまたルサールカなどと呼ばれる[46][16][37][注 7]。マーハルによれば、111人の娘らを設けており、彼女らは溺れた人をさいなませるという[16]

チェコおよびスロヴァキア

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ヴォドニークの典型的描画(チェコおよびスロヴァキア伝承)

ロシアのヴォジャノーイに相当するのが、チェコ伝承英語版やスロヴァキア伝承のヴォドニークである[5][16]。ドイツ語の資料では"Wassermann" (「水男」)を充てる[48]

この西スラヴ語系の水の精も、東スラヴ語系(ロシア、ウクライナ)のそれとのさまざまな相似点や共通点がみられる。ヴォドニークの特徴としては、リボンを使って人間をおびき寄せて捕らえる点である[50]

チェコやスロヴァキアのヴォドニークも、普通の人間の姿になりすますこともしばしばだが、衣服が濡れそぼって水が滴りその正体の見極めがつけてしまうという[53]。商人のふりをしてもリボンなどを売っていたりするが、リボンは水辺の草にくくり付けたりなどさまざまである[54]。体が緑色との描写も見えるが[55]、スロバキア版ではさらに長髪、髭生えともいわれる[56]。チェコには、水魔はふだん人間の姿をしているがカエルに変身するとする独特の伝承があるが[57] 、水魔自身ではなく水魔の妻がカエルの姿をしているというモチーフのほうがチェコやそれよりもスロバキアに[60]一般的である[61]

ヴォドニークもまた、恩恵ももたらすが、脅威にもなりうる存在である。ヴォドニークは、捕らえた溺死者の魂を[注 8]に閉じ込め[63][52]、水中の館に収集しているが、これらを解き放つと昇天することがかなえられ、または息を吹き返すこともある、と説話に語られる[64][65]

チェコ

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ヴォドニーク

チェコのボヘミア地方の「水男」は、ヴォドニーク(vodníkやドイツ語外来語のハストルマンHastermann等)と呼ばれている。しかし古い文献から古来の名称はたどれていない[66]。どの大河、小川、池にも一匹は住んでいるとされる。おなじ流水や湖水に複数いることもあるが、仲が悪いので距離をとって住んでいる[67]。ヴォドニークは人間の女性と恋愛関係になることもあり、築いた家族は一緒に棲んでいる(が、独身者は一人ぼっちである)[63]。沼沢にいるのは野生種で、葦のあいまなどに棲んでいるが、河川のものは、水底の広い世界のなかの水晶の館に棲んでいるという。館には捕えた溺死者の魂を壺に入れたコレクションが収納される[68]

チェコの水男も、水車小屋(粉ひき小屋)の近くに住んでいると伝わる例がみられる[69][70]

外観

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網を打つヴォドニークというものの描写では( § 人狩りを参照)緑色の男とされ、溺死者を狩らない定休金曜日には、水中からはい出て緑色の髪を梳いているのがみられるという[63]。しかし、多くの口碑では、普通の人間の姿をして現れる( § カエル形態のそれも、最初は人間)、または池のはたの行商人の姿をして、濡れそぼつのコートを着ている(プジェシュティツェ英語版町の北の池の伝)[51]。また、市場に現れて町人に「緑の男」と呼ばれるとされているが、これは人間の姿で、緑色のコートを着ているからで、ただしコートの右の先っぽ(šos)がいつも濡れており、左の親指が欠けているのが特徴だという。市場の店は、この者に買ってもらうと繁盛すると信じている[49]

人狩り

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チェコの「水男」は、人間をおびき寄せて水に沈め溺死させるが、特に夕刻の水浴は危険である。しかし溺死する運命のもの以外は狩ることはできないのだという[63] 。漁師は、溺れかけている人間の救出をためらうといわれ、ヴォドニークの邪魔をすると験も悪くなり、やがて自分も溺れる羽目になると信じている[71][72]

ある例では、「水男」は、みえない細糸の網を川の端から端に張っており、人間を捕まえるとされる。しかし金曜日は休日で、その日は網の修理や、髪の手入れで過ごし、人狩りにはでない[63]

行商人の「水男」は、一説では水辺で棚のようなものを出して出店し、その棚に色々な雑具を掛けならべるのだという[51]。行商人(kramář)のヴォドニークが人間を「釣る」ための売り物は、色とりどりのリボンであると語られる(チェコ語: stuha、複数形 stuhy;または pentle指小辞 pentlička[73][注 9]であると多例で語られる[75][76]。プラハ市のポドスカリー (プラハ)チェコ語版地区では、ヴォドニークが夜分、vor処格複数形 vorách)に載っていると語り草になっており、赤リボンを水面の上に垂らして子供をおびき寄せ溺れさせるので、用心せよと触れ回られた[78]。また、赤毛の若者の姿のヴォドニークは、緑の衣装だったが、村の老婆が緑のリボンを買っても、家に帰宅して取り出すと草になっていたという[80]

「水男」は、捕獲した魂を水中の城館にたくわえているとされる。例えばモルダウタイン(現今のティーン・ナト・ヴルタヴォウ英語版)の話例では、土器/陶器(ドイツ語: irdenen)の壺に水漬けとなった魂たちだった。貧しい日雇い女性一家の出身の長女が、ハストルマンの女中になるが、掃いたそばから金粒が出るので富を蓄える。いちど、禁じられていた壺を開けてしまい、弟の魂をみつけるが、赦しがでる。しかしやがて故郷が恋しくなり、逃げ出すと決意、すべての魂を解き放つ。ハストルマンが追ってくるが、兄弟のまだ住む家に無事に帰りつく[59][注 10]

カエル形態

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ある話型のボヘミア地方例では[注 11]プジェドムニェジツェ英語版から来る男が実は「水男」でトゥジツェ英語版の肉屋の常連だったが、いつも注文の肉を指さす癖が癇に障った肉屋はある日、その客の指を斬りおとしてしまった。二日後、肉屋がイゼラ川英語版沿いの道を歩いていると、巨大なカエルに遭遇し、つられてついていくと、傷つけた客に変身し、水に引きずり込んだ[83]

マテイ・ミシチェクチェコ語版[仮カナ表記]が編纂した『モラヴィア話集』所収「ヴォドニークの妻」(ただし、ボヘミア方言より、と記される)では、身重のヴォドニークの妻(vodníkova žena) が、家政婦のリドゥシュカ(Liduška)のところへやってきて、産まれる子の名付け母になれ、とせまる[65][58]。多少の設定の違いがあれども、これは広く伝搬したスロバキアの民間伝承としてポリヴカ英語版が解説している話型[84]とおおむね粗筋がおなじである。こちらのチェコ版では、留守にしていなかったヴォドニークが結末で帰ってくるが、赤いリボン(červené mašle[注 12]の姿にかたちを変えていた。リドゥシュカはこれを察知して、ヴォドニークが赤リボンのふりをして、川辺で干し草を掻き集める少女たちを襲うことを思い出した[65][58]

ユングブンツラウ(ムラダー・ボレスラフ)の逸話/伝説では、「水男」はイゼラ川に二つの館を居にかまえていたという。粉ひき小屋(水車小屋)近くでは、ヴォドニーク本人が目撃され、全身緑色で、繊維状の緑藻で覆われていた[注 13]。その妻はレンガ小屋のそばで目撃され、半女半魚の姿だったという[85]

スロバキア

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スロバキアではヴォドニークは、「水男」を意味するヴォドニー・フラプ(vodní chlap)とも呼ばれる[77]。あるいはモレク(molek。異綴り:モロク molok[88])という「水の精霊」の名が相当するともされる[72]

ヴォドニークたちが妻を奪い合い死闘を繰り広げた逸話が、スロバキアのオラヴァ地方英語版ドルニー・クビーン郡英語版の森の湖を舞台に伝わる。その森で農夫が苔むした[注 14]男に遭遇し、クリヴァン (村)英語版の湖からきたというその「水男」が追っている、自分の妻を寝取ったヴォドニー・フラプがいる湖へ案内する。農夫は、潜っていくのを見守る。水中でなにが起こるかは、浮上する泡でしかわからないが、白泡のうちはよいが赤い泡は危険と教わっていたので、農夫は逃げた[89][56]

スロバキアの民間伝承でも、魂が捕えられているヴォドニークの壺(vodníkove hrnce)について語られており例えば旧トレンチェーン城県英語版(現・トレンチーン県)に採集例がある。また、北東部のBoky村(現 Budča 村に編入)では渓流にヴォドニー(vodný、「水の(者)」)が住んでおり、魂とじこめ用の壺を、クロイツァー貨幣で[注 15] 支払って買っていたという伝聞がある[52]

出現例

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また、Boky 村の伝承として、ヴォドニークは長い髭を蓄えており、裸かと思ったら、側面から水がしたたるブラウスhalena)を着ている、という[90]。衣服が例えばコート(kabát)なら、その左側がかならずびしょぬれに水を滴らせているので、正体を看破できるともいわれる[91]。異聞によっては、たなびくような長い髪をもち[92]、あるいは皿(tanier)のように大きならんらんと輝く眼をしている[93]。また、小川のなかから「小さな緑色少年」が現れたという目撃例があったという[94]

ヴァーフ川のある船乗りが見たというヴォドニークは、人間の体に黒い雄羊のような頭をしていたという。また別の者は緑の髪と緑の衣服のヴォドニークをみたのだとしている[95]

スロバキアのヴォドニークもまた、リボンを用いて人間を狩ろうとする。そうした伝承例は西部のブラチスラヴァ首都圏内や、ニトラ市にみつかる[96][97]

カエル妻

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スロバキアのヴォドニークの妻(vodníkova žena)は、カエルの姿をしていると伝わる。一例では、カエルに変身してでてきて、農耕夫[注 16]に食事をふるまわれ、返礼に自分の棲み家で男をもてなす[98]。より複雑な粗筋を持つが、広く伝搬している話型として、カエルのような女性が妊娠した腹でフロン川を這いあがってきて、川で洗濯する女性に、産まれてくる子の名付け親を引き受けさせる。しばらくすると下男(溺死者が務める)がやってきて、子が生まれたと告げ、女性を導き、魔法の杖で川中の岩を割り、現れた階段の下の館に連れて行く。ヴォドニークの妻は、掃き掃除を命じるが、掃いた塵芥は集めて持って帰るようにとのことだった(のちに金銀だったと判明する)。ただし注意事項として、蓋した壺[注 17] に触れてはならなかった。女性は言いつけに背き、中に魂が閉じ込められると知った。そして、二重の壺のなかには、自分が溺死で失った二人の子供の魂がこめられていた。子供らは、閉じ込められて昇天できないと訴える。女性は脱走を決め、子供らを容器に入れて持ち去った。ほどなく川から子供らの水死体が挙がり、子らが命を吹き返した[99]

この話型はATU分類では、ATU 476* "カエルの家のなか[仮訳] In the Frog House "型に分類される[注 18]。この「カエルの家のなか」はハンガリーの類話を指す[要検証]。他にもスロバキアやチェコはもちろん、ブルガリアやポーランドの類話が存在し、比較参考の話例もスロベニアなどにみられる[100][101]

ドイツ

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ドイツ東部のスラヴ系ヴェンド人の伝承によれば、彼らの信じる「水男」(ドイツ名:ヴァッサーマン)は、ときおり市場に現れて穀物を買っていくが、高く買えば高値(不作)の予兆であり、安く買えば、その年のパン代は安定する[102][35][16][注 19]

文化への影響

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ヴォジャノーイを取り上げた芸術作品

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文学作品

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出典

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  1. ^ アレグザンスキー (1993)『ロシアの神話』で確認した表記。
  2. ^ 中堀 (2013) 『神の文化史事典』で確認した表記。
  3. ^ 森安 (1986)『スラヴ民族と東欧ロシア』で確認した表記。
  4. ^ a b c d e 中堀 (2013), p. 113.
  5. ^ a b c d e f g h i j k 森安 (1986), p. 351.
  6. ^ a b c d e アレグザンスキー (1993), p. 44.
  7. ^ a b c d e f g 石田英一郎河童駒引考: 比較民族学的研究』岩波書店〈岩波文庫 青193-1〉、2017年、140頁。ISBN 9784003319314https://books.google.com/books?id=1-6xAAAAIAAJ&q=topielec 
  8. ^ Ishida, Eiichirô; Yoshida, Ken'ichi (1950). “The Kappa Legend: A Comparative Ethnological Study on the Japanese Water-Spirit"Kappa" and Its Habit of Trying to Lure Horses into the Water”. Folklore Studies 9: 73. JSTOR 1177401. https://dl.ndl.go.jp/pid/10208282. 
  9. ^ “スラヴ神話(1)”. Slavistika : 東京大学大学院人文社会系研究科スラヴ語スラヴ文学研究室年報 13: 291–311. (1998-03-31). doi:10.15083/00038315. https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/38324/files/KJ00004390681.pdf. 
  10. ^ a b アレクサンデル・ブリュクネル英語版(著)、長谷見一雄他(訳)『スラヴ神話(1)』では「ヴォージャノイ」(305頁)、ヴォジャニク(309頁)[9]
  11. ^ a b アレクサンドル・アファナーシェフ『スラヴ人の詩的自然観』第2巻(1858年)に遡及でき、そこにはロシア語で"голымъ старикомъ, съ большимъ одутловатымъ брюхомъ и опухшимъ лицомъ 「全裸な老人で、大きめな膨れ腹と、膨張した顔」"とあり、『Современник 同時代人』誌、1856年第XI号16頁を典拠としているので[22]、ロシアの伝承とみなす。マーハルは" fat belly and puffy cheeks 太鼓腹とぷっくり頬"としておりそこの表現がわずか微妙な違いにすぎない[16]
  12. ^ a b c d e f g h i j k l m アレグザンスキー (1993), p. 46.
  13. ^ a b c d e f g Dixon-Kennedy, Mike (1998). "Vodianoi (~nik) Russia". Encyclopedia of Russian and Slavic Myth and Legend. Santa Barbara, California: ABC-CLIO. pp. 304–305. ISBN 9781576070635
  14. ^ a b Afanasyev (1868), 2: 241–242.
  15. ^ a b c d Afanasyev (1868), 2: 236.
  16. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w ウィキソース出典 Máchal, Jan Hanuš (2018), Chapter IX. Water-Spirits” (英語), The Mythology of All Races (vol. 3, Slavic), Boston: Marshall Jones, pp. 270–271, https://en.wikisource.org/wiki/The_Mythology_of_All_Races/Volume_3/Slavic/Part_1/Chapter_9 
  17. ^ a b c d e f g h i j k l m Guirand, Félix (1986) [1959]. New Larousse encyclopedia of mythology. In collaboration with Grigory Aleksinsky. Translated by Aldington, Richard; Ames, Delano Translated by Aldington, Richard; Ames, Delano. New York: Crescent Books. p. 292.
  18. ^ "His favourite haunt was in the neighbourhood of mill-dams. Under the great mill-wheel many Vodyanoi would sometimes forgather."[17]
  19. ^ アレグザンスキー (1993), pp. 44, 46–47.
  20. ^ a b アレグザンスキー (1993), pp. 46–47.
  21. ^ Afanasyev (1868), 2: 238–239.
  22. ^ a b c d Afanasyev (1868), 2: 237.
  23. ^ Afanasyev (1868), 2: 243–244、典拠は:Иллюстрация (1845—1849)|Иллюстрация, 1845, p. 298
  24. ^ アファナシエフは、全裸だが「ぬめり/苔垢」(тина)に覆われており、緑の「茅」(куга、カヤツリグサ科とくにアブラガヤ属の総称なので「茅」充てる)でできた高いボヤール帽ロシア語版と、同じ「草」でできた緑のベルト(пояс)と記述する[23]
  25. ^ Perkowski, Jan Louis (1976). Vampires of the Slavs. Bloomington, Indiana: Slavica Publishers. p. 52. https://books.google.com/books?id=CAvkAAAAMAAJ&Vodyanoy 
  26. ^ マーハルは頭が禿ているとし、石田や米国のポーランド系学者ヤン・ペルコウスキー英語版もこれを踏襲する[7][16][25]
  27. ^ マーハルの英訳版では帽子は"reed"(イネ科のアシ)、ベルトは"bulrush"(イグサ科のイグサかアブラガヤ属の一名)でこしらえられるとしている[16]
  28. ^ Afanasyev (1868), 2: 244.
  29. ^ アファナシエフは(自己の考察として[?])緑の髪と緑のあごひげを(озеленыхъ волосахъ и бородѣ)を述べている[28]。マーハルは、夜に出てきて水辺で髪を梳かすとアファナシエフが述べたところを、「緑の髪」と追加している[16]
  30. ^ a b Afanasyev (1868), 2: 242–243、出典:О. З. 1848, IV, смѣсь, 145-6; Ѵ, 24 and other sources.
  31. ^ a b Kmietowicz, Frank A. (1982). Slavic Mythical Beliefs. Windsor, Ontario: F. Kmietowicz. p. 205. https://books.google.com/books?id=uBkRAQAAIAAJ&q=vodyanik 
  32. ^ Kmietowitz は"fish's tail 魚の尾"と脚色[31]
  33. ^ マーハルは既述したように「緑の髪」を統合[16]
  34. ^ 清水 (1995), p. 48.
  35. ^ a b c Afanasyev (1868), 2: 238.
  36. ^ a b c アレグザンスキー (1993), p. 47.
  37. ^ a b 石田 (2017), p. 145.
  38. ^ a b 石田 (2017), p. 141.
  39. ^ Afanasyev (1868), 2: 240.
  40. ^ Máchal:" When in good humour, he drives the fish into the fisherman's net";[16] Asfasyanef: "счастливый улов(幸なる漁獲)".[39]
  41. ^ Kravchenko (1987), p. 51, n205.
  42. ^ ロシア文では масло だが[22]、マハールの訳したようにバターとも[16]、油ともとれる[41]
  43. ^ Afanasyev (1868), 2: 237。このとき「爺さん(дѣдушка[注 2]、引っ越し祝いの贈り物(гостинец на новоселье)だよ...」等ととなえたという。
  44. ^ Afanasyev (1868), 2: 240、注 3) によれば出典は"О. З." すなわち『Отечественныя записки(Otechestvennye Zapiski)』、『祖国雑記』) 1848, IV 145
  45. ^ a b c Afanasyev (1868), 2: 241.
  46. ^ a b Afanasyev (1868), 2: 239.
  47. ^ Holmberg, Uno (1927) The Mythology of All Races 4: 193
  48. ^ Grohmann (1863)等。
  49. ^ a b c Erben et al. (1874), pp. 4–6、末尾の筆者署名は K. J. Erben だが、冒頭に遺稿とある。
  50. ^ 森安 (1986), p. 351:典型例(チェコ)では、ヴォドニークが川面に赤いリボンを突き出している。子供たちがリボンに触れると水中に引きずり込む[5]エルベン遺稿)[49]
  51. ^ a b c 提供者:J. Gruber aus Merklin (メルクリーン英語版)、Grohmann (1863), p. 150。メルクリーン村からプジェシュティツェ市町への道のり途中とあるので、市町の北となる
  52. ^ a b c Polívka (1931), p. 171.
  53. ^ Grohmann[51] および Polívka[52]。§チェコ以下の § 外観、§スロバキア以下の § 出現例を参照。
  54. ^ Polívka (1921), pp. 312–313、§チェコ以下の § 人攫い、§スロバキア以下 § 外観を参照。
  55. ^ Grohmann (1863), pp. 156–157の2話:「Der Wassermann als Saft 甘露としての水男」、「甘い汁」(力、財力)を子持ちの女性がもらった、という話、および「Der Wassermann und seine Frau 水男とその妻」、この挿話では、夫と妻が、二つの館で別々に目撃された(後述)。
  56. ^ a b Polívka (1922a), p. 119.
  57. ^ Grohmann (1863), p. 151、§チェコ以下 § カエル形態を参照。
  58. ^ a b c d e ウィキソース出典  (1874), Lidushka and the Water Demon's Wife (from the Bohemian)” (英語), Slavonic Fairy Tales, Translated by John Theophilus Naaké, Henry S. King, ISBN 9788074627590, https://en.wikisource.org/wiki/Slavonic_Fairy_Tales/Lidushka_and_the_Water_Demon%27s_Wife 
  59. ^ a b "Die Wohnung des Hastermanns", Grohmann (1863), pp. 160–162。出典は Vernaleken, Mythen und Bräuche, p. 178.
  60. ^ 名付け親のち家政婦訳に雇われる「リドゥシュカ」説話がチェコの例だが[58]、「カエル妻」でなく水男本人のみのチェコの類話や[59]、「カエル妻」のままのスロバキアの例(フロン川英語版)がある。
  61. ^ Polívka (1922a), p. 121、§スロバキア以下 § カエル妻を参照。
  62. ^ まきあつこ『ヴォドニークの水の館』降矢なな(画)、BL出版、2021年3月。 
  63. ^ a b c d e Grohmann (1863), p. 149.
  64. ^ Polívka (1922a), p. 121.
  65. ^ a b c d (2014). “Vodníkova Žena”. Moravské národní pohádky. Jota. p. 205. ISBN 9788074627590. https://books.google.com/books?id=diq2DwAAQBAJ&pg=PT32 
  66. ^ Grohmann (1863), p. 148.
  67. ^ Grohmann (1863), pp. 148–149.
  68. ^ Grohmann (1863), p. 149 and "Die Wohnung des Hastermanns",Grohmann (1863), pp. 160–162
  69. ^ "Der Hastermann in der Mühle" & Grohmann (1863), pp. 158–160
  70. ^ ユングブンツラウ(ムラダー・ボレスラフ)の伝説/巷説 Grohmann (1863), pp. 156–157
  71. ^ Grohmann (1863), pp. 155–156、ユングブンツラウ(ムラダー・ボレスラフ)の伝説/巷説。
  72. ^ a b Košťál (1892), p. 52.
  73. ^ Polívka (1921), pp. 312–313.
  74. ^ a b Polívka (1931), p. 171、原典は:Časopise Muzeálnej slovenskej spoločnosti [J. Slovak Museum Society] VII, 92。旧ハンガリー領ニトラ[要リンク修正] Ašakert(現今のスロバキア・ニトラ郡英語版ノヴェー・サディ英語版)の話。Polívka (1922a), p. 120でも言及。
  75. ^ Polívka (1921), pp. 312–313には多例が列挙されるが、スロバキアが2例ほどで、チェコ例が多い:ナサヴルキ英語版の町や、ザーホジー (モラヴィアチェコ語版(「Záhorská kronika」誌)等。また、モラヴィアの水男(ハストルマン)が装飾リボン(pentličky)を見世に出している例もある。
  76. ^ Polívkaの列挙には Grohmann 著に所収の説話(Grohmann (1863), p. 154)も含まれるが、これはボヘミアのヴェルトルシ英語版のダムを舞台としており、その界隈のハストルマン(hastermann)は赤や黄色のリボン(ドイツ語:Maschen)を緑の梢に刺して展示していた
  77. ^ a b Polívka (1921), p. 312.
  78. ^ Erben遺稿(1874)[49]、"Slavia I, seš. 3, str. 4"としても引用[77]
  79. ^ Erben et al. (1874), p. 8、末尾の筆者署名は Julius Woldrziski
  80. ^ 話中の老婆は、バルダ (チェコ)チェコ語版村出身、ポリチカチェコ語版町の近く。Slavia 3: 8,[79]Košťál (1892), pp. 53–54にも転記。
  81. ^ ウィキソース出典 Brüder Grimm, ed. (1816), 52. Der Wassermann und der Bauer” (ドイツ語), Deutsche Sagen (1st ed.), Nicolai, pp. 67–68, https://de.wikisource.org/wiki/Der_Wassermann_und_der_Bauer 
  82. ^ Thirlwall, Connop, Bishop (1859). “X. On Some Traditions Relating to the Submersion of Ancient Cities”. Transactions of the Royal Society of Literature of the United Kingdom. second series 6: 406. https://books.google.com/books?id=NUFOAAAAcAAJ&pg=PA406. 
  83. ^ 話の提供者: J. Kraus aus Luschteniß (ルシュチェニツェ英語版出身のJ・クラウス)、 Grohmann (1863), p. 151。
  84. ^ §スロバキア以下 § カエル妻を参照。
  85. ^ Grohmann (1863), pp. 156–157 "Der Wassermann und seine Frau".提供者:Ad. Bloch aus Jungbunzlau
  86. ^ Kálal, Karel [in スロバキア語]; Kálal, Miroslav, eds. (1923). "molok". Slovenský slovník z literatúry aj nárečí (スロバキア語). Banská Bystrica: K. Kálal. p. 340.
  87. ^ Valentsova, Marina M. (2019). “Slovak mythological vocabulary on the Common Slavic background: Ethno-linguistic aspect”. In Lajoye, Patrice. New Researches on the religion and mythology of the Pagan Slavs. Lisieux: Lingva. p. 115. https://www.academia.edu/39784546/Slovak_mythological_vocabulary_on_the_Common_Slavic_background_Ethno_linguistic_aspect 
  88. ^ Kálal 辞書[86]、ヴァレンツォヴァ Valentsova が引用[87]。語源についてはヴァレンツォヴァ が考察:<ドイツ語Molch "サンショウウオ"。
  89. ^ "a) Zápas jedného Vodníka s druhým [あるヴォドニークと別のとの闘争]", Polívka (1931), pp. 169–170
  90. ^ Polívka (1931), p. 171; Polívka (1922a), p. 119、原典はホルビスロバキア語版(J. Ľ. Holby)手稿、p. 39、 Geľka による話例とある。
  91. ^ Polívka (1931), p. 171; Polívka (1922a), p. 120、原典は Procházka, p. 66 、トレンチェーン城県(現・トレンチーン県)の伝とする。
  92. ^ Polívka (1931), p. 171; Polívka (1922a), p. 119、原典はホルビ Holuby 手稿、p. 119、「ドリエトマスロバキア語版のヴォドニーク」の件
  93. ^ Polívka (1931), p. 171; Polívka (1922a), p. 119、原典はホルビ Holuby 手稿、p. 84
  94. ^ Polívka (1931), p. 171; Polívka (1922a), p. 119、原典はホルビ Holuby 手稿、p. 134. 目撃者はコパニツェ地方スロバキア語版の乞食 Drdoš とされる。
  95. ^ Polívka (1931), pp. 172–173; Polívka (1922a), p. 120–121、典拠は Tovaryšstvo, III, p. 277
  96. ^ Polívka (1921), p. 313.
  97. ^ Polívka (1922a), p. 120.
  98. ^ Polívka (1931), p. 173; Polívka (1922a), p. 121、典拠は Procházka, pp. 65–66
  99. ^ Polívka (1931), p. 173; Polívka (1922a), p. 121、典拠は『Sborník Muzeálnej slovenskej spoločnosti』 I, 38–39, n°33、「Vodníkova žena v Hrone」の話の1バージョンとされる。
  100. ^ Uther, Hans-Jörg (1928), “476* In the Frog's House”, The Types of International Folktales: Animal tales, tales of magic, religious tales, and realistic tales, with an introduction, FF communications 284, Suomalainen Tiedeakatemia, Academia Scientiarum Fennica, p. 280, https://books.google.com/books?id=HVQsAQAAIAAJ&%22frog's+house%22 
  101. ^ Gašparíková, Viera (1986), “A szlovák-magyar kapcsolatok tükröződése a népmesemondásban”, A III. Békéscsabai Nemzetközi Néprajzi Nemzetiségkutató Konferencia előadásai: (1985. október 2-4.), Budapest-Békéscsaba: Művelődési Minisztérium Nemzetiségi Önálló Osztálya, p. 166, https://books.google.com/books?id=mTjeLkhzlesC&q=%22Frog%27s+House%22 
  102. ^ Deutsche Mythologie. 1 (2 ed.). Göttingen: Dieterichsche Buchhandlung. (1843). p. 460. https://books.google.com/books?id=vMMHLdX6biMC&pg=PA460 

注釈

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  1. ^ ロシアのヴォジャノーイの同類は、ボヘミアヴォドニクママ〕(vodník) 、旧ユーゴスロヴェニアヴォデニ・モジュママ〕(vodeni mož、「水男」)、ポーランドでトピェレッツ(Topielec、「溺殺者」) がいる、とチェコのスラヴ学者ヤン・ハヌシュ・マーハルチェコ語版(およびマーハルを引用した石田)は解説している[7][8]
  2. ^ a b "Ѣ"(ヤーチ)を用いた旧字を新に改めるとде́душка「爺さん」。
  3. ^ водовикъ vodovik とも
  4. ^ また、ウクライナでは、ヴァデヤニクに堤防をこわされないため、馬の頭が堤の中に埋められた[38][16]
  5. ^ アファナーシェフによれば、水中の魚や水棲動物をおしなべて所有する。
  6. ^ "Чортокъ, чортокъ! / Не ломай кистòкъ;"等だが、chortokとは悪魔・魔物ほどの意味のようである。
  7. ^ マーハルは"water-nymphs"とし石田もこれに準じて「女の水精」とする。アファナーシェフは"водяной дѣвка (девка) 水の乙女"と結婚するとし、この「水の乙女」はロシア伝承ではモリャナ (水霊)ロシア語版、ヴォジャニツァ(Водяница)、"wodny žony"〔ママ〕、ドゥナフカ[?](マケドニア語: дунавка)、ルサールカ(русалка)等と呼びならわされているとする[46]。マーハルは"water nymph"について、少し後のくだりでチェコ語の名前を付記している(チェコ語: vodní panny, bílé paní[16]。ただし、著者が違う同シリーズの第4巻「フィンランド神話の部」にはヴォジャノーイの"water-nymph"はルサールカと記述される[47]
  8. ^ 原語ではhrnecで、「壺」とした。『ヴォドニークの水の館』参照[62]
  9. ^ stuha の指小辞 stužkaも、スロバキアの肉屋(スロバキア語: mäsiar)の奇譚にみられる[74]。また「リドゥシュカ Liduška 」に民話では、リボンは チェコ語: mašleであるが[65]、ドイツ語の Masche同根語である。ただ「リドゥシュカ」英訳ではリボンでなく"red flower"と訳されている[58]
  10. ^ おおまかな粗筋は、名付け親で雇われた「リドゥシュカ Liduška」の説話(後述)や[58]、グリム兄弟の「Der Wassermann und der Bauer」(ドイツ系ボヘミア民話と記述)と同様である[81][82]
  11. ^ おおまか同じ粗筋は、スロヴァキア民話「Vodník u mäsiara ヴォドニークと肉屋」にみられるが、そちらではカエルは登場せず、降雨中に肉屋が水タンクに突き落とされて死ぬ[74]
  12. ^ ただし英訳では"red flower"
  13. ^ ドイツ原文ではWasserfändenは直訳すると「水の糸」だが、Conferva 属の藻類とされる。分類は現代藻類学ではシオグサ属英語版に統合。
  14. ^ mochom>mach "moss".
  15. ^ krajciari>grajciar
  16. ^ スロバキア語: oráč.
  17. ^ 複数形 hrnce>hrnec
  18. ^ 476*は亜型で、476 "炭が黄金にかわる[仮訳] Coal Turns into Gold"の分化型。
  19. ^ アファナーシェフが脚注で引用するのは、グリム著『ドイツ神話』(1843年版第1巻)460頁。

参照文献

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関連項目

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