コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

一切経音義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

一切経音義(いっさいきょうおんぎ)とは、大蔵経の諸仏典中の難解な語や梵語解釈や読み方を示した音義書の書名。

概要

[編集]

現在『一切経音義』と呼ばれる書物には以下の2つがある。

一切経音義 (玄応) 初(7世紀中ごろ)に玄応が記した音義書。全25巻で、450部あまりの経典について音義を示す。
本来の題は『大唐衆経音義』といい、後世『一切経音義』と呼ばれるようになった。慧琳のものと区別するために『玄応音義』とも呼ぶ。
一切経音義 (慧琳) 慧琳が唐の元和2年(807年)に完成した音義書。全100巻。玄応のものと区別するために『慧琳音義』とも呼ぶ。

ほかに『一切経音義』の名をもつ書物には以下のものがある。

新集蔵経音義随函録(可洪) 可洪が後晋天福5年(940年)に完成した音義書。全30巻。『一切経音義』と呼ばれることがある。
続一切経音義 (希麟) の希麟が記した音義書で、慧琳の『一切経音義』の続編として作られた。全10巻。
一切経音 (道慧) 北斉の道慧が記した音義書。逸書。
新定一切経類音(郭迻) 逸書。円珍『智証大師将来目録』に見える[1]
内典随函音疏(行瑫) 逸書。主に日本に部分的に伝わる[2]

脚注

[編集]
  1. ^ 池田証寿「図書寮本類聚名義抄と類音決」『訓点語と訓点資料』第96号、訓点語学会、1995年9月、26-37頁、CRID 152057236009051770ISSN 04546652 
  2. ^ 高田時雄「新出の行瑫『内典隨凾音疏』に關する小注」『敦煌寫本研究年報』第6巻、京都大學人文科學研究所中國中世寫本研究班、2012年3月、1-12頁、CRID 1390853649777833344doi:10.14989/dunhuangnianbao_6_1hdl:2433/246014ISSN 1882-1626NAID 120006810924 

関連文献

[編集]
  • 徐時儀『一切経音義三種校本合刊 附索引本』上海古籍出版社、2012年(原著2008年)。 

玄応・慧琳・希麟の『一切経音義』をまとめたもの。高麗蔵本にもとづき、校訂と索引を附す。