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三枝春生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
三枝 春生
生誕 1958年
日本の旗 日本 東京都[1]
死没 2022年1月12日
居住 日本の旗 日本 兵庫県西宮市[2]
研究分野 古生物学
研究機関 兵庫県立大学自然・環境科学研究所
兵庫県立人と自然の博物館
出身校 埼玉大学理学部
京都大学大学院理学研究科[1]
博士課程
指導教員
亀井節夫[3]
主な業績 丹波竜の記載・命名
プロジェクト:人物伝
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三枝 春生(さえぐさ はるお、1958年[1]昭和33年〉 - 2022年令和4年〉1月12日[2])は、日本古脊椎動物学者兵庫県立大学自然・環境科学研究所准教授[4]兵庫県立人と自然の博物館主任研究員[2]。学術的貢献では兵庫県産の竜脚類恐竜である丹波竜(タンバティタニス・アミキティアエ)の記載・命名で知られる[2][5]がんのため2022年1月に死去[2]

経歴

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1958年に東京都にて生まれる[3]。幼少期は怪獣映画の影響を受けて恐竜への関心を強め、山や海岸での化石採集を行った[3]。また化石に限らず、鉱物キノコなど収集物は自然科学の広範囲に及んだ[3]。高校は東京都立江戸川高等学校へ進学し、在学中に長野県野尻湖でのナウマンゾウの発掘作業に参加した[3]。1978年に埼玉大学理学部へ進学し、生体制御学科で分子生物学を専攻し、1982年に卒業[3]。大学在学中にも古生物学への関心が強かったことから1982年に京都大学大学院理学研究科地質学鉱物学専攻へ進学し、前述のナウマンゾウの発掘調査の指揮をした亀井節夫の指導の下、1988年に博士課程を修了し理学博士の学位を取得[3]

博士号取得後、同年から信州大学日本学術振興会特別研究員[3]。1990年から兵庫県教育委員会社会教育文化財課技術職員に採用され[3]、兵庫県立人と自然の博物館の設立準備に携わる[3][2][6]。同館内に設置された姫路工業大学(後に兵庫県立大学として統合)自然・環境科学研究所の研究助手に就任し、同時に同館の博物館研究員に就任[3]。2008年から兵庫県立大学准教授と博物館主任研究員に昇進[3]

2022年1月12日に兵庫県西宮市に位置する自宅で死去[2]。享年63歳[3]

活動

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三枝の学術研究は兵庫県明石市から産出した長鼻目哺乳類の化石から始まった[3]。その後はステゴドン類を中心とする長鼻目の系統発生やの機能形態を研究し、分岐分析を取り入れた長鼻目の系統解析や現生の長鼻目の顎運動の起源に関連する議論を行った[3]。日本国外ではエチオピアの人類化石調査をはじめとする様々な国際調査に参加し[3]、国内では神戸層群産大型哺乳類化石と篠山層群産脊椎動物化石の調査を主導した[3]。三枝による調査はボランティアの市民と共に進めたものであり、ボトリオドン英語版サンダタンジュウ)やザイサンアミノドンといった哺乳類の化石が発見されている[3]

恐竜の研究にも携わっており、2009年には兵庫県丹波市下部白亜系から産出したティラノサウルス上科の歯化石を公表し[7]、2020年には田中康平らと共に新卵属新卵種ヒメウーリサス・ムラカミイと新卵種サブティリオリサス・ヒョウゴエンシス英語版を報告した[8]。特筆すべきは2006年に発見され博物館に持ち込まれた丹波竜の化石であり、三枝はこの化石を鑑定して実物の恐竜の肋骨化石であると同定した[9][6]。丹波竜は日本国内最大級の植物食恐竜と判明し、2014年には三枝がタンバティタニス・アミキティアエ(Tambatitanis amicitiae)と命名した[6]

また現在の丹波篠山市(当時の篠山市)で2010年と2011年に産出したデイノニコサウルス類の恐竜化石の研究にも携わった[10]。この化石は2012年時点で三枝らによりトロオドン科の可能性が高いことまで突き止められていたものの[10]、当時トロオドン科の知見が世界的に不足していたためトロオドン科としての記載・命名には至らなかった。三枝の死後、本標本に基づいてトロオドン科の新属新種ヒプノヴェナトル・マツバラエトオオエオルムが命名された[11]

三枝は教育普及活動にも力を入れ、その一例として3Dモデルを用いてミエゾウと丹波竜の復元骨格模型を作成した[3]

献名

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2024年9月に田中公教らにより、日本産角竜であるササヤマグノームス・サエグサイが記載された。この角竜は2007年に現・丹波篠山市で化石が発見されたものであり、種小名が三枝への献名である[12]

メディア出演

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出典

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  1. ^ a b c 兵庫県立人と自然の博物館セミナーガイド2014”. 兵庫県立人と自然の博物館 (2014年). 2023年11月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g 丹波竜の発掘指揮、三枝春生さん死去 63歳 兵庫県立人と自然の博物館主任研究員」『神戸新聞NEXT』2022年5月27日。2023年11月10日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 池田忠広「三枝春生先生を偲ぶ」『化石』第113巻、日本古生物学会、2023年、27-29頁、doi:10.14825/kaseki.113.0_27 閲覧は自由
  4. ^ 兵庫県立大の自然・環境科学研究所・三枝春生准教授(古脊椎動物学)の話」『日本経済新聞』2018年8月10日。2023年11月10日閲覧。
  5. ^ a b 刷新される恐竜像と私たち~21世紀の恐竜番組~”. 日本放送協会. 2023年11月11日閲覧。
  6. ^ a b c “「すごい恐竜の骨が」強い化石愛、調査妥協なく「丹波竜」研究の第一人者、三枝春生さん”. 神戸新聞NEXT. (2022年5月31日). https://www.kobe-np.co.jp/news/sanda/202205/0015345896.shtml 2023年11月11日閲覧。 
  7. ^ ティラノの祖先の歯、兵庫で発見/同時期の個体より大型”. 四国新聞社 (2009年6月20日). 2023年11月11日閲覧。
  8. ^ 世界最小の恐竜卵化石を発見! ~多様な小型恐竜の存在判明、兵庫県丹波市の卵殻化石群で~』(プレスリリース)筑波大学兵庫県立人と自然の博物館、2020年6月23日https://www.hitohaku.jp/research/h-research/20200623news-paper2.pdf2023年11月11日閲覧 
  9. ^ 恐竜化石発掘に山里沸く/兵庫・丹波市にファン殺到”. 四国新聞社 (2007年2月24日). 2023年11月11日閲覧。
  10. ^ a b 三枝春生、池田忠広半田久美子篠山層群産恐竜化石の追加標本について」『日本古生物学会2012年年会講演予稿集』、日本古生物学会、2012年、14頁。 
  11. ^ 丹波篠山市より発見された恐竜化石の記載論文の出版および臨時展示の実施について』(プレスリリース)兵庫県立人と自然の博物館、2024年7月25日https://www.hitohaku.jp/research/h-research/20240725news.html2024年7月29日閲覧 
  12. ^ Tanaka, Tomonori; Chiba, Kentaro; Ikeda, Tadahiro; Ryan, Michael J. (September 2024). “A new neoceratopsian (Ornithischia, Ceratopsia) from the Lower Cretaceous Ohyamashimo Formation (Albian), southwestern Japan”. Papers in Palaeontology 10 (5). doi:10.1002/spp2.1587. https://doi.org/10.1002/spp2.1587. 
  13. ^ 恐竜超世界 in Japan(前編)”. 日本放送協会 (2020年3月30日). 2023年11月11日閲覧。
  14. ^ ダーウィンが来た! 「日本で大発見!恐竜新世界」”. NHKアーカイブス. 日本放送協会. 2023年11月11日閲覧。
  15. ^ ダーウィンが来た! [@nhk_darwin] (2021年8月21日). "放送内容に関するツイート". X(旧Twitter)より2023年11月10日閲覧

外部リンク

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