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中六 (三重県)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中六
店舗外観(2017年1月)
中六 (三重県)の位置(三重県内)
中六 (三重県)
三重県内の位置
座標 北緯34度22分49.4秒 東経136度48分37.0秒 / 北緯34.380389度 東経136.810278度 / 34.380389; 136.810278座標: 北緯34度22分49.4秒 東経136度48分37.0秒 / 北緯34.380389度 東経136.810278度 / 34.380389; 136.810278
所在地 三重県志摩市磯部町上之郷392番地
種類 飲食店(元旅館
素材
完成 1929年(昭和4年)
登録有形文化財2011年10月28日登録)

中六(なかろく)は、三重県志摩市磯部町上之郷にある料理店伊勢神宮皇大神宮(内宮)の別宮である伊雑宮鳥居前にあり[1]、店舗は参宮客で賑った往時の風格を残している[2]

1929年(昭和4年)に旅館として建築された木造2階建の店舗は、中六店舗(なかろくてんぽ)として日本国登録有形文化財に登録されている[3]

概説

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1911年(明治44年)の書籍『鳥羽誌』に掲載された旅館中六の広告(上段)。下段は同郷同業の旅館吉角(現存せず)のもの。

中六のある志摩市磯部町は鰻料理が名物となっている[2]。磯部町を流れる川の上流でウナギが獲れたことや養鰻場が近くにあったことが背景にあるとされ[4]、町内にはほかに天保元年(1830年)創業の鰻料理店「川うめ」がある[2]

中六は江戸時代には旅館として存在していたことが確認されている[5]が、それ以前の歴史は定かではない[2]屋号の「中六」は伊雑宮の御師であった中六太夫から取っている[6]。『磯部郷土史』によれば、1960年代の旅館中六は8つの客室を持ち、個人客35人・団体客60人を収容することが可能であり、テレビ受像機麻雀囲碁将棋を娯楽設備として備えていた[7]。旅館として営まれていた頃に炭火焼きの鰻料理で知名度を高めた[2]

メニュー鰻丼と鰻定食の2種類のみで[1][2]、価格は鰻の量によって3段階が設定されている[8]。ウナギは串を刺さずに1本を生のまま竹炭で焼き上げ、外はパリッと中はふんわりとした食感に仕上げる[8]タレは甘めで、代々継ぎ足しながら使っている[1][8]。食事はすべて座敷で供する[9]2000年代の営業時間は昼食時が11 - 14時、夕食時が16 - 18時であった[1][2]が、2023年(令和5年)現在は11時から13時の営業で、不定休である[9]

建築

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建物は1929年(昭和4年)の建築で入母屋造である[3][10]。「集客を意識した開放的な外観」が特徴である[3]。隣接する神武参剣道場も登録有形文化財であり、両者で伊雑宮門前の歴史的景観の形成に寄与している[11]

1階は玄関厨房・控室など、2階は8畳1間を主とした客室が配置されている[12]屋根瓦葺建築面積は172m2である[12]

1929年(昭和4年)までは、20年に1度催行される伊雑宮の式年遷宮に合わせて建て替えていたが、1929年以降は補修しながら建物を維持している[10]2011年(平成23年)10月28日に「中六店舗」として登録有形文化財に登録された[12]。これにより志摩市で初めての登録有形文化財が誕生した[3]。同年11月25日に「登録有形文化財登録証」が志摩市長から店舗所有者に手渡された[3]

脚注

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  1. ^ a b c d 伊勢文化舎 編(2008):93ページ
  2. ^ a b c d e f g 近畿日本ツーリスト出版センター(2005):118ページ
  3. ^ a b c d e 志摩市市長公室 編(2011):19ページ
  4. ^ 磯部町の注目スポットを取材旅!”. ええじゃないか。平成弥次さん取材旅. 三重テレビ放送 (2013年4月8日). 2014年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月28日閲覧。
  5. ^ 平凡社(1983):711ページ
  6. ^ 伊雜宮周辺散策マップ”. 伊雜宮周辺地区構想市民協議会 (2013年4月8日). 2014年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月28日閲覧。
  7. ^ 磯部郷土誌刊行会 編(1963):486ページ
  8. ^ a b c 旅の足跡”. ええじゃないか。平成弥次さん取材旅. 三重テレビ放送 (2013年4月8日). 2013年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月28日閲覧。
  9. ^ a b 中六(三重県/磯部町)”. るるぶ&more.. JTBパブリッシング. 2023年4月5日閲覧。
  10. ^ a b 「佐佐木信綱生家など 国有形文化財に答申」朝日新聞2011年7月16日付朝刊、三重版30ページ
  11. ^ 三重県教育委員会事務局社会教育・文化財保護課. “みんなで、守ろう!活かそう!三重の文化財/情報データベース/神武参剣道場”. 三重県庁. 2014年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月28日閲覧。
  12. ^ a b c 三重県教育委員会事務局社会教育・文化財保護課. “みんなで、守ろう!活かそう!三重の文化財/情報データベース/中六店舗”. 三重県庁. 2014年8月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年8月28日閲覧。

参考文献

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  • 伊勢文化舎 編『お伊勢さん125社めぐり』別冊『伊勢人』、伊勢文化舎、平成20年12月23日、151p. ISBN 978-4-900759-37-4
  • 磯部郷土史刊行会 編『磯部郷土史』磯部郷土史刊行会、昭和38年5月10日、506p.
  • 志摩市市長公室 編『広報しま 2012年1月号 Vol.139』2012年1月、志摩市市長公室、27p.
  • 『'05-'06 伊勢 鳥羽 志摩 松阪』ツーリスト情報版255、近畿日本ツーリスト出版センター、2005年3月31日、167pp. ISBN 4-87638-755-9
  • 『三重県の地名』日本歴史地名大系24、平凡社、1983年5月20日、1081pp.

外部リンク

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