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中国中央電視台

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中国中央テレビジョン
中国中央电视台
China Central Television
央視新大楼(中国中央電視台 新本社ビル)
種類 国営企業
略称 CCTV
本社所在地 中華人民共和国の旗 中国
北京市朝陽区光華路甲1号中国中央電視台本部ビル
設立 1958年5月14日
業種 情報・通信業
事業内容 放送業
代表者 慎海雄(事業法人中央広播電視総台局長)
従業員数 正社員2,531人
その他4,701人
主要株主 事業法人中央広播電視総台
外部リンク 公式サイト
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中国中央電視台(ちゅうごくちゅうおうでんしだい、中国中央テレビジョン簡体字中国語: 中国中央电视台拼音: Zhōngguó zhōngyāng diànshìtái、CCTV)は、中国の国営の公共放送テレビ局。「央視 (ヤンシィー)」[注 1]の略称でも呼ばれる。

概要

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中国中央電視台の最初の本部ビル「北京広播大廈」(1959年)。現在の国家広播電視総局

中華人民共和国国務院国家新聞出版広電総局直属の放送局であり、当初は中国政府の負担で放送されていたが、1990年代国庫からの補助金が減少したため、広告を放送するようになった。今は広告収入のみで運営されており、受信料収入や国庫からの援助はない。

1954年に中国共産党中央委員会主席毛沢東が中国独自のテレビ局の設立を提案し、1958年5月14日に放送を開始。

2016年12月31日には外国語放送がCGTNとして独立した。

中国では視聴者を求めて続々と地方のテレビ局が創設され大きく成長しているため、中央テレビも地方テレビ局との競争に晒されている。

電波は放送衛星(一部通信衛星)を経由して送信されている。

所在地

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中国中央電視台の二代目の本部ビル (彩電中心)。1987年に初代ビルから移転
  • 本社 - 北京市朝陽区東三環中路32号 海淀区復興路11号の旧本社は放送センターとなり、一部の番組の収録に使われている。

放送形態

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中国標準時19時から、CCTV-1CCTV-新聞で『新聞聯播』というニュース番組を放映しており、CCTVの各局やほとんどの地方局が、CCTV-1が流すこのニュース番組を同時放映している。

CMは頻繁に有るわけではなく、番組の間の15分-30分にまとめて放映される。15秒ほどのCMの他、テレビショッピングミニ番組形式や、その日放映予定のほかのドラマバラエティ番組予告など、さまざまな種類のCMが流れている。

ドラマは日本韓国台湾など中国国外のドラマも字幕つきの吹き替え版を放映している。通常3話連続で放映され、週一回ではなく、基本的に土日を含めた毎日放映される。

朝6時には中華人民共和国の国歌である『義勇軍進行曲』が2分ほど流される。

その他、中国共産党に敵対する人物・団体を攻撃する報道(後述)も見受けられる[1]

西側諸国での扱い

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アメリカ合衆国国務省は2020年6月、人民日報は独立した報道機関ではなく、中国共産党の支配下にあるプロパガンダ機関として諜報活動世論戦情報戦を仕掛ける宣伝機関であるために、『人民日報』『中国新聞社』『環球時報』とともに「外国使節団」と認定する[2][3]

人権侵害

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CCTVと中国の警察は、中国の反体制派、罪を犯したとされる人物への捜査の一環で強制自白英語版をさせ、その様子を放送している[4]。アメリカの国営放送であるラジオ・フリー・アジアは、強制自白には肉体的・精神的な拷問を伴うと報じている[5]

イギリスのOfcomは強制自白の放送を問題視し、同国におけるCCTVの放送免許を取り消した[6]

アムネスティ・インターナショナルをはじめとする人権団体は、強制自白を放送される人物が公正な裁判手続きを受けられないことを懸念している[7][8]

2021年3月、オーストラリアのSBSは、強制自白の放送に関する人権侵害の苦情を受けて、CCTVからの放送を1週間停止した[8]

英語版ウィキペディアは、CCTVによる中国のプロパガンダと強制自白の放送を懸念し、2020年に非推奨の情報源に指定した。

沿革

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  • 1958年5月1日 - 試験放送開始
  • 1958年9月2日 - 「北京電視台」の名称で本放送開始(現在は別の放送局として存在)
  • 1973年 - カラーテレビ(現CCTV-2)、試験放送の開始
  • 1978年5月1日 - 「中国中央電視台」に名称を変更
  • 1983年10月31日 - CCTV-2で本放送開始
  • 1986年1月1日 - CCTV-3で本放送開始
  • 1992年10月1日 - CCTV-4で本放送開始
  • 1994年12月1日 - CCTV-5で本放送開始
  • 1995年11月30日 - CCTV-6CCTV-7CCTV-8で本放送開始
  • 1999年5月3日 - CCTV-8で放送コンテンツの変更
  • 2000年9月25日 - CCTV-9で本放送開始
  • 2001年7月9日 - CCTV-10CCTV-11で本放送開始,CCTV-7で放送コンテンツの変更
  • 2002年5月12日 - CCTV-12で本放送開始
  • 2003年5月1日 - CCTV-新聞(ニュース専門)で試験放送開始
  • 2003年7月1日 - CCTV-新聞で本放送開始
  • 2003年12月28日 - CCTV-少児(子供向け専門)で本放送開始
  • 2004年3月29日 - CCTV-音楽で本放送開始
  • 2004年10月1日 - CCTV-E&Fで本放送開始
  • 2004年12月28日 - CCTV-12で放送コンテンツの変更
火に包まれる北配楼。画像左の黒影は新本部ビル
  • 2007年4月1日 - CCTV-4をアジア向け、ヨーロッパ向け、アメリカ向けに分割
  • 2007年10月 - CCTV-E&FをCCTV-ECCTV-Fに分割、独立
  • 2008年5月1日 - CCTV-HD(高清)で本放送開始
  • 2009年2月9日 - 中央電視台電視文化センター火災にて50億元(約670億円)をかけて建設された新社屋に付属する「北配楼」を花火が原因による火災で焼失
  • 2009年7月25日 - CCTV-アラビア語 (العربية) で本放送開始
  • 2009年9月10日 - CCTV-ロシア語 (Русский) で本放送開始
  • 2009年9月28日 - CCTV-1ハイビジョン放送開始
  • 2010年4月26日 - CCTV-9CCTV-NEWSに改名,放送コンテンツを変更する
  • 2010年7月27日 - CCTV-7で放送コンテンツの変更
  • 2011年1月1日 - 新CCTV-9で本放送開始,同日の,CCTV-新聞CCTV-13に改名、CCTV-少児CCTV-14に改名、CCTV-音楽CCTV-15に改名、CCTV-Eスペイン語国際放送)はCCTV-Españolに改名、CCTV-Fフランス語国際放送)はCCTV-Françaisに改名
  • 2012年1月1日 - 中国の3Dテレビチャンネルで本放送開始(2018年7月30日、放送終了)
  • 2012年9月28日 - CCTV-3CCTV-5CCTV-8、ハイビジョン放送開始
  • 2013年1月1日 - CCTV-6ハイビジョン放送開始
  • 2013年8月18日 - CCTV-HDCCTV-5+に改名し放送コンテンツを変更
  • 2014年1月1日 - CCTV-2CCTV-7CCTV-9(国内向け)CCTV-10CCTV-12CCTV-14ハイビジョン放送開始
  • 2014年1月7日 - CCTV-9(国外向け)でハイビジョン試験放送開始
  • 2015年4月15日 - CCTV-4でアジア向ハイビジョン放送開始
  • 2016年2月5日 - CCTV-4ヨーロッパ向、CCTV-NEWSでハイビジョン放送開始
  • 2016年12月31日 - 外国語放送(CCTV-9(国外向け)、CCTV-NEWS、CCTV-スペイン語、CCTV-フランス語、CCTV-アラビア語、CCTV-ロシア語)はCGTN(中国グローバルテレビジョンネットワーク)に改名
  • 2017年2月20日 - CCTV-4アメリカ向ハイビジョン放送開始
  • 2018年9月1日 - CCTV-11CCTV-15でハイビジョン放送開始
  • 2018年10月1日 - CCTV-4K(UHD超高清本放送開始
  • 2019年8月1日 - CCTV-7で放送コンテンツの変更,CCTV-17試験放送開始
  • 2019年9月23日 - CCTV-17本放送開始
  • 2021年2月1日 - CCTV-8K試験放送開始
  • 2021年10月25日 - CCTV-16本放送開始

放送系統

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主要放送

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CGTN 放送

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番組放送中やCM中も表示されている。

デジタル放送

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有料デジタル放送は「中央デジタルメディア有限公司(中央数字電視伝媒有限公司、China DTV Media)」が管理し、「中央テレビクラウドメディア有限公司(央視風雲伝播有限公司、China DTV Production)」が配信(放送)している(両社とも中央電視台が出資)。

  • CCTV Sportsサッカーチャンネル(風雲足球)
  • 現代音楽チャンネル(風雲音楽)
  • ベストドラマチャンネル(第一劇場)
  • 現代ドラマチャンネル(風雲劇場)
  • 懐かしのドラマチャンネル(懐旧劇場)
  • 兵器科技チャンネル(兵器科技)
  • 女性ファッションチャンネル(女性時尚)
  • CCTV-娯楽チャンネル(CCTV-娯楽)
  • CCTV-伝統劇チャンネル(CCTV-戯曲)
  • CCTV-映画チャンネル(CCTV-電影)
  • ゴルフ·テニスチャンネル(高尓夫·網球)
  • 中央テレビ傑作選(央視文化精品)
  • テレビショッピングチャンネル(電視購物)
  • 衛生と健康ヘルスケアチャンネル(衛生健康)
  • 世界地理チャンネル(世界地理)
  • テレビ番組表・ガイド(電視指南)

など2008年2月現在40チャンネル(今後も増える可能性がある)

このほか、全ての直轄市自治区香港マカオ、及び台湾を除く)を対象にした36の地方向けチャンネルや、携帯電話向けの放送も行っている。インターネットでも番組放送をしている。

中国大陸以外の取材拠点

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中国大陸以外での視聴方法

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日本

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スカパー!プレミアムサービス568チャンネル、およびひかりTV基本チャンネル182チャンネル、J:COMのスタンダードプラス301チャンネルにて、「中国テレビ★大富チャンネル」の名称で、CCTV-4の番組が視聴可能である(一部番組は日本語翻訳付きの2ヶ国語放送)。なお運営は株式会社大富[9]

インターネット放送でCCTV-1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,E,F,高清(HD),NEWS,العربية,русский がリアルタイムで視聴可能である(CGTN、CGTN-ドキュメンタリーは英語、CGTN-スペイン語はスペイン語、CGTN-フランス語はフランス語、CGTN-アラビア語はアラビア語、CGTN-ロシア語はロシア語, その他はすべて中国語)。

なお、インターネット放送インターネット回線を使用しているため、30秒-1分程度のラグがある。回線の状況によっては映像が乱れたり表示されないことがある。

公式サイトでも、一部番組がストリーミング放送によって視聴可能である。

2016年8月26日、ドワンゴと提携し[10]、日本語では初のインターネット放送チャンネルをニコニコ動画に開設している[11]

脚注

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注釈

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  1. ^ 拼音: yāng shì

出典

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  1. ^ Cook, Sarah (2019年9月25日). “China Central Television: A Long-standing Weapon in Beijing’s Arsenal of Repression”. The Diplomat. https://thediplomat.com/2019/09/china-central-television-a-long-standing-weapon-in-beijings-arsenal-of-repression/ 2024年8月29日閲覧。 
  2. ^ “米、中国のメディア4社を「宣伝機関」に認定”. CNN. (2020年6月23日). https://www.cnn.co.jp/usa/35155708.html 2024年8月28日閲覧。 
  3. ^ Mauldin, William (2020年6月23日). “米、中国政府系メディア4社の管理強化 「宣伝機関」と認定”. ウォール・ストリート・ジャーナル. https://jp.wsj.com/articles/SB12327219080743654805604586463082714940482 2024年8月28日閲覧。 
  4. ^ Huang, Zheping (2015年7月15日). “China is using televised confessions to shame detained lawyers, journalists, and activists”. Quartz. https://qz.com/453477/china-is-using-televised-confessions-to-shame-detained-lawyers-journalists-and-activists 2024年8月28日閲覧。 
  5. ^ Chen Pinjie & Luisetta Mudie (2020年8月12日). “Chinese Police Have Filmed Dozens of Forced Confessions, Often After Torture: Report”. ラジオ・フリー・アジア. https://www.rfa.org/english/news/china/media-confessions-08122020125246.html 2024年8月28日閲覧。 
  6. ^ Zhang, Legu (2021年4月13日). “Human Rights Activist Wants Chinese TV to Ban Forced Confessions”. ボイス・オブ・アメリカ. https://www.voanews.com/a/east-asia-pacific_human-rights-activist-wants-chinese-tv-ban-forced-confessions/6204500.html 2024年8月28日閲覧。 
  7. ^ Wong, Edward (2016年1月21日). “China Uses Foreigners’ Televised Confessions to Serve Its Own Ends”. ニューヨーク・タイムズ. https://www.nytimes.com/2016/01/22/world/asia/china-confession-cctv.html 2024年8月28日閲覧。 
  8. ^ a b Needham, Kirsty (2021年3月5日). “Australian broadcaster suspends China's CGTN citing human rights complaint”. ロイター. https://www.reuters.com/article/idUSKBN2AX0GJ/ 2024年8月28日閲覧。 
  9. ^ 中央电视台落地日本本土化频道迎来开播二十周年--人民电视--人民网”. tv.people.com.cn. 2020年1月15日閲覧。
  10. ^ ニコニコと中国中央テレビが提携 CCTV公式チャンネルを開設”. ドワンゴ (2016年8月26日). 2016年9月30日閲覧。
  11. ^ 日中ホットライン(日中ホットライン) - ニコニコチャンネル:社会・言論

関連項目

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外部リンク

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