井澤諒
井澤 諒(いざわ りょう、1988年-)は、日本のバレエダンサー。
群馬県伊勢崎市出身[1]。2004年ローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを受賞[1][2][2]。2006年ジャクソン国際バレエ・コンクールでは、審査員奨励賞を受賞[1]。Kバレエカンパニーを経て、2017年に新国立劇場バレエ団に入団した[1]。4歳下の弟は、同じく新国立劇場バレエ団のプリンシパル・井澤駿
経歴
[編集]群馬県で生まれ、バレエ愛好家の母のもと、地元のバレエ教室に入門し、4歳からバレエを始める[1][2]。当初はテニスと並行して習っていたが、中学のころからバレエ一本に。
ローザンヌ国際バレエコンクールを経て、15歳でドイツ・ハンブルクへバレエ留学[2]。後に、雑誌のインタビューで、「世界から集まったプロを目指す同世代のダンサーと競い合ったことで、世界が広がった」と語り、非常に大きな経験、転機となった。
帰国後は、バレエと大学生活を両立。共愛学園前橋国際大学情報・経営コースでは、経営学を学ぶ。その後、1年ほどの中断を経てバレエを再開し、2011年に熊川哲也率いるK-BALLET COMPANYに入団し、最後はファーストソリストとして活動。2017年に新国立劇場バレエ団に入団した[1]。
K-BALLET SCHOOL ティーチャーズ・トレーニングコース修了し、バレエ教員資格を有する。
年表
[編集]- 4歳よりバレエを始める
- 2004年ローザンヌ国際バレエ・コンクールにてスカラシップを受賞。同年、ドイツ・ハンブルクバレエスクールに留学[2]
- 2006年ジャクソンバレエコンクール 審査員奨励賞を受賞
- 2011年4月 K-BALLET COMPANYに入団
- 2012年9月 ファースト・アーティスト
- 2013年9月 ソリスト
- 2015年8月 ファースト・ソリストに昇格
- 2017年8月 K-BALLET COMPANYを退団
- 2017年9月 新国立劇場バレエ団にファースト・ソリストとして入団[1]
- Studio R⁺を設立
新国立劇場バレエ団などでのレパートリー
[編集]2004年8月にローザンヌ国際バレエコンクール受賞者による高円宮憲仁親王殿下メモリアル ローザンヌ国際バレエコンクール日本開催15周年では、「眠れる森の美女」第3幕よりデジレ王子のバリエーションを演じる。
初の大役は、2012年Kバレエカンパニーで「真夏の夜の夢」のパック。このころは、まだ舞台での経験が少なく、遅沢佑介など先輩から舞台上だけでなく多くを学び、多大な影響を受ける。2014年12月「くるみ割り人形」の王子、2015年には「シンデレラ」の王子を経験する。「海賊」のアリ役で、初めてのキャラに挑戦。
2017年12月の「シンデレラ」でダンス教師と道化の役で、新国立劇場バレエ団デビュー。2018年2月の「ホフマン物語」ではホフマンの友人(ナサーニエル)と幻影者たち(交替出演)[1]。同年4月の「白鳥の湖」では道化とナポリの踊りで出演。6月の「眠れる森の美女」では、村の人々(交代出演)と親指トムを演じる[1]。
また、NHKバレエの饗宴2018では、「くるみ割り人形」第2幕の中国の踊りで出演する。他にも、「新国立劇場 こどものためのバレエ劇場」『シンデレラ』(こどもシンデレラ)でも、ダンス教師と道化の役で出演している。
主な出演作一覧
[編集]K-BALLET COMPANYにて
- 『シンデレラ』の王子/2人の道化師/王子の友人
- 『くるみ割り人形』のくるみ割り人形/王子/花のワルツのソリスト/中国人形
- 『海賊』のアリ/物乞い/海賊の男達
- 『ロミオとジュリエット』のベンヴォーリオ/マンドリンダンス
- 『ラ・バヤデール』のブロンズ・アイドル/マグダヴェヤ
- 『カルメン』のオフィサー/バンデリュロス
- 『白鳥の湖』のベンノ/パ・ド・トロワ/ナポリ/マズルカ
- 『ジゼル』のパ・ド・シス/ペザント
- 『ベートーヴェン 第九』
- 『Simple Symphony』
- アシュトン振付『真夏の夜の夢』のパック
- スカーレット振付『Promenade Sentimentale』
新国立劇場バレエ団にて
- 牧阿佐美版『白鳥の湖』の道化/ナポリ
- アシュトン『シンデレラ』の道化
- P.ダレル『ホフマン物語』ホフマンの友人
人物
[編集]井澤諒と弟・井澤駿の関係
[編集]井澤諒と井澤駿は4歳差の兄弟であり、バレエダンサーとしてライバル関係ともいえる。兄弟仲は良好で、弟・駿は雑誌の対談などで、兄・諒を「尊敬し、今でも追いかける存在で、目標」と発言する。
兄・諒の性格について、弟・駿は「静かに燃えるタイプで、がんばっている姿を誰にも見せないようにするが、実はたまに見えている」と評した。逆に、兄・諒からは「弟の方が繊細で細かいことにもいろいろと気がついている」と評する。
二人の演技は、昔から手が似ているといわれる。それについては、弟・駿が小さいころから兄の真似をしてきたからだと答えていた。
幼少のころには、お互いのバレエに関してあまり関わってはこなかったが、バレエダンサーとして自立してからは、お互いにアドバイスをしたり、相談をしたりするような関係になる。[3]
出典
[編集]参考文献
[編集]- ダンスマガジン 2016年7月号(第26巻第7号)、新書館、2016年
- ダンスマガジン 2006年8月号(第16巻第8号)、新書館、2006年
- Kバレエカンパニー 『海賊』公演プログラム、2015年
- Kバレエカンパニー 『ジゼル』公演プログラム、2013年
- 毎日新聞 2014年12月26日