人国記
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『人国記』(じんこくき)は、日本各地の国(令制国)ごとに、その地域の人々の風俗、特に武士の気風について述べた、室町時代末期に成立したと考えられている書籍で、地誌のひとつとされる[1][2]。
『人国記』には、特定の個人を紹介するような記述はない。しかし、近代以降、著名人の紹介記事を、出身地である都道府県ごとにまとめたものを「人国記」と称する例が見られる[1][2]。
概要
[編集]著者や成立年代は不明である[1][3]。鎌倉幕府の5代執権で、出家後に諸国を遍歴したとする伝説のある北条時頼[4]を著者に擬する説が古くからあるが、現代では室町時代末期、すなわち戦国時代の成立と考えられている。武田信玄が本書を愛読したという話も伝わっている[3]。
刊本は、関祖衡が地図や解説を追加するなどの改編をし[2][3]、1701年(元禄14年)に[1]江戸の須原屋茂兵衛によって出版されたものが伝わっている[5]。また、後には伴信友が校閲した刊本も出版された[2]。
近代以降の「人国記」
[編集]横山達三(横山健堂)は、『読売新聞』や『日本及日本人』に連載した記事をまとめ、『新人国記』と題して1911年(明治44年)に出版した[6]。
1913年には角田浩々歌客が『漫遊人国記』を[7]、1915年には禿氏岳山が『女人国記』を出版し[8]、以降「人国記」を書名に含む書籍が様々な形で出版されるようになった。
脚注
[編集]書籍
[編集]- 人国記・新人国記 浅野建二 注校 岩波文庫 1987年 ISBN 978-4003302811