人間大砲
人間大砲(にんげんたいほう、英語: human cannonball act)は、サーカスなどで行われる曲芸の一つで、曲芸用に作られた大砲から、人間を打ち出し、予め想定された落下地点に置かれた水平に張られたネット、もしくは緩衝用のマットになどに着地させるものである。
歴史
[編集]最初にこの技が演じられたのは1877年で、ロンドンのロイヤル・アクアリウムで14歳の少女、「ザゼル」(本名、Rossa Matilda Richter)によって演じられた[1]。カナダ人の曲芸師で興行者のウィリアム・レーナード・ハント(芸名、グレート・ファリーニ)がバネ式の大砲を発明した。その後もザゼルはサーカス・ツアーで演じたが、発射のためにゴムを用いた大砲は、飛距離が短く、ザゼルが失敗して背中を痛めた後、演じるのをやめた。
1920年代になって、アメリカのサーカス団のオーナーのザッキーニ(Ildebrando Zacchini)が圧縮空気を使う大砲を発明し、息子に人間大砲を演じさせた[2]。ザッキーニ一家は後に、有名なサーカス団、リングリング・ブラザース(Ringling Brothers)のサーカス殿堂(Circus Hall of Fame)に殿堂入りした[3]。
現在までの人間大砲で飛行した距離の記録は2011年のミラノで、スミス(David "The Bullet" Smith Jr.)59.05mを飛行したものであるとされ[4]、120 km/hの速さで打ち出されたことになり、最高23mの高さに達したと推定される。同名の父親(David "Cannonball" Smith Sr.)は2002年にミネソタで61.06mを飛んだと主張している[5]。
サーカスでは視覚の効果を出すために火薬を使って、砲声や白煙を発生させる演出が取られる。危険な曲芸でこれまで30人以上が死亡しており、2011年にもアメリカでネットが壊れて死亡事故が発生した[6]。
参考文献
[編集]- ^ “Human cannonball”. Dictionary.com. August 14, 2012閲覧。
- ^ “Trigger man behind human cannonball dies”. Sarasota Herald-Tribune. August 14, 2012閲覧。
- ^ “Ildebrando Zacchini”. Find A Grave. August 14, 2012閲覧。
- ^ “www.guinnessworldrecords.com”. July 25, 2012閲覧。
- ^ “Human Cannonball Show”. March 23, 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。May 9, 2011閲覧。
- ^ “'Human cannonball' killed in Kent stunt show”. BBC News. (April 26, 2011)
関連項目
[編集]- クロスボウ - ギネス記録として人間が矢として撃たれた最初の記録は、1896年である。