伊藤亜人
伊藤 亜人(いとう あびと、1943年10月14日[要出典] - )は、日本の文化人類学者。専門は韓国研究、農村研究、開発人類学。東京大学名誉教授。学位は修士(東京大学)[1]。伊藤亞人とも表記。
略歴
[編集]東京都生まれ。東京都立明正高等学校、東京大学教養学部を卒業後、1970年東京大学大学院社会学研究科修士課程修了。同年7月、同大学院博士課程を中退し教養学部助手。その後東京大学東洋文化研究所助手、教養学部教授、大学院総合文化研究科教授。その後、琉球大学大学院教授、早稲田大学アジア研究機構[2]教授。この間、ハーバード大学客員研究員、ロンドン大学SOAS上級研究員、ソウル大学校招聘教授などを歴任。
研究
[編集]漂泊漁民への民俗学的な関心から、東京大学では文化人類学を専攻。泉靖一や李杜鉉(ソウル大学校教授・東京大学客員教授=当時)らから教えを受け、韓国研究を開始する。1972年以来30年以上に亘って、全羅南道珍島を中心に安東や済州島などで人類学的なフィールドワークを行い、農村の相互扶助組織、親族、宗教儀礼、セマウル運動などに関する論文を多数発表。
戦前の日本の文化人類学では、植民地政策に伴って韓国社会の研究が盛んであったが、その後は政治状況から停止状態にあった。伊藤は戦後の日本人として初めて韓国で本格的なフィールドワークを行い、日本の韓国研究をリードするとともに、韓国文化が現在ほど日本で知られていない時代から、平易な言葉で日本へ紹介し続けてきた。2002年には大韓民国政府から長年の功績をみとめられ、玉冠文化勲章を受章。 一方では1990年代以降、よさこい祭り(高知市)やYOSAKOIソーラン祭り(札幌市)を事例に、市民参加型の地域開発を研究。YOSAKOIソーラン祭りの立ち上げや運営には自ら関わりながら、実践志向型の開発人類学を切り開いてきた。
栄典
[編集]- 韓国玉冠文化勲章 (2002)
- 第9回樫山純三賞(2014年度):『珍島:韓国農村社会の民族誌』にて。
おもな著作
[編集]単著
[編集]- 『韓国』(河出書房新社〈暮らしがわかるアジア読本〉、1996年)ISBN 978-4-309-72448-5
- 『韓国珍島の民俗紀行』(青丘文化社、1999年)ISBN 978-4-87924-081-1
- 『韓国夢幻―文化人類学者が見た七〇年代の情景』(新宿書房、2006年)ISBN 978-4-88008-350-6
- 『文化人類学で読む日本の民俗社会』(有斐閣、2007年)ISBN 978-4-641-28110-3
- 『珍島―韓国農村社会の民族誌』(弘文堂、2013年)ISBN 978-4-335-56119-1
- 『北朝鮮人民の生活―脱北者の手記から読み解く実相』(弘文堂、2017年)ISBN 978-4-335-56136-8
- 『日本社会の周縁性』(青灯社、2019年)ISBN 978-4-86228-108-1
監修
[編集]- 『朝鮮を知る事典』(平凡社、1986年)
- 『朝鮮を知る事典(新訂増補版)』(大村益夫・梶村秀樹・武田幸男・高崎宗司と監修)平凡社、2000年。ISBN 978-4-582-12629-7
- 『韓国朝鮮を知る事典』(大村益夫・梶村秀樹・武田幸男・高崎宗司と監修)平凡社、2014年。ISBN 978-4-582-12647-1
編著
[編集]- 『もっと知りたい韓国』(弘文堂、1985年)ISBN 978-4-335-51018-2
- 『もっと知りたい韓国』第2版、全2巻(弘文堂、1997年)ISBN 978-4-335-51086-1(1巻) ISBN 978-4-335-51087-8(2巻)
共編著
[編集]- (江淵一公)『儀礼と象徴―文化人類学的考察』(九州大学出版会、1983年)ISBN 978-4-87378-064-1
- (関本照夫・船曳建夫)『現代の社会人類学』全3巻(東京大学出版会、1987年)
- (阿部年晴・荻原眞子)『民族文化の世界』上・下(小学館、1990年)
- (韓敬九)『韓日社会組織の比較』(慶應義塾大学出版会、2002年)ISBN 978-4-7664-0802-7
- (韓敬九)『中心と周縁からみた日韓社会の諸相』慶應義塾大学出版会、2007年。ISBN 978-4-7664-1342-7
共訳
[編集]脚注
[編集]- ^ "マイポータル."researchmap. 2013年9月24日最終更新(2024年4月13日閲覧)。
- ^ "プロフィール."「韓藍異聞:文化人類学者伊藤亜人のフィールド・ノート」最終回(2012年9月24日付). 2024年4月13日閲覧。
外部リンク
[編集]- 韓藍異聞:文化人類学者伊藤亜人のフィールド・ノート - 公益財団法人韓昌祐・哲文化財団ホームページ内(全24回)