余命三年時事日記
余命三年時事日記(よめいさんねんじじにっき)は、ブログおよびブログを書籍化した書籍のタイトル。
概要
[編集]本ブログの主張するところによれば、本ブログの内容は、2011年より余命3年であると宣告されたと称する自称在日コリアンの人物が、韓国、在日韓国人や左翼が知られたくない情報を暴露するというものであった。
当該人物(初代)は2013年12月に死亡したとされ、その後本ブログは残されたプロジェクトメンバーによって継続され、2015年5月にはこのプロジェクトメンバーから三代目に引き継がれたとされる[1]。ただし、三代目は二人存在していると見られており、そのうち一方は死亡したはずの初代と同一人物であることを示唆する発言をしている[2]。
出入国管理制度に関するデマの拡散と大量通報
[編集]2015年頃、本ブログは「在日コリアンは(2015年)7月9日[注釈 1]から日本にいられなくなる、帰らないと」などと主張する記事を掲載した。これが「この日をもって全ての在日韓国人は不法滞在となり、強制送還の対象になる」というデマを発生させ、これを信じた読者らが入管ウェブサイト等において大量の通報行為を行ったとみられている[3]。結果として入管のサーバーに多大な負荷がかかり、法務省は業務妨害で警察に相談していた[4]。
弁護士に対する大量懲戒請求
[編集]2016年に日本弁護士連合会や複数の弁護士会は朝鮮学校への補助金を停止することに反対する声明を出した。これに対して本ブログは2017年6月ごろから弁護士名を掲載して懲戒請求を呼びかけた。このことから所属する弁護士会には13万件の懲戒請求が届いたが、その大半が請求理由がほぼ同じ内容の文章で記載されていた[5]。
2018年11月、東京弁護士会会員の佐々木亮と北周士は、身に覚えのない懲戒請求により精神的苦痛を受けたとして、懲戒請求を行った約4,000件のうちの6人を相手取り計396万円の損害賠償を求めて東京地方裁判所に提訴した。他の請求者のうち20名とは和解が成立していた[6]。2019年4月、東京地裁は、懲戒請求の理由とされた弁護士会長声明の作成や発表に佐々木亮と北周士は関与していなかったと認定した。さらに、懲戒請求者らには懲戒請求の理由を調査した形跡がなかったため、懲戒制度の趣旨目的に照らして正当性を欠く懲戒請求であったとして、6人に慰謝料全額の計360万円の支払いを命じた[7]。
その後、2020年12月頃までには両名が提訴した人数は1,000人近くになったが、最高裁も含め、本ブログを信じて懲戒請求を行った者らの敗訴が相次いでいる。インターネット上の不正確な情報ないし悪意を持って捏造された情報を短絡的に信用して他者に加害行為を行った結果として現実世界で責任を負うこととなった事例として、ネット上で安易に行われやすい誹謗中傷などにも警鐘を鳴らすものであると指摘されている[8]。
書籍
[編集]全て青林堂より。著者は「余命プロジェクトチーム」を称する。
- 余命三年時事日記(2015年) ISBN 978-4792605360
- 余命三年時事日記ハンドブック (2016年) ISBN 978-4792605445
- 余命三年時事日記2 (2016年) ISBN 978-4792605490
- 余命三年時事日記 外患誘致罪 (2016年) ISBN 978-4792605643
- 余命三年時事日記 ―共謀罪と日韓断交― (2017年3月) ISBN 978-4792605827
- 余命三年時事漫画 (2018年5月) ISBN 978-4792606237
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 三宅雪子「高齢者がハマった問題のブログ「余命三年時事日記」の中身」『日刊ゲンダイ』2019年5月10日。2020年10月10日閲覧。
- ^ 三宅雪子「問題ブログ主の正体 住んでいる団地を直撃してみると…」『日刊ゲンダイ』2019年5月17日。2020年10月10日閲覧。
- ^ 韓東賢「悪質な「7月9日在日強制送還デマ」で、扇動した者たちと扇動された者たち、そして温床となった入管行政」『Yahoo!ニュース個人』2015年7月9日。
- ^ “不法滞在の通報、前年比3倍超 ネット上のデマ影響か” 2022年4月6日閲覧。
- ^ “弁護士への懲戒請求、激増の謎”. 47NEWS. 2020年10月10日閲覧。
- ^ 「懲戒請求者を賠償提訴ブログ発端と弁護士2人」『日本経済新聞』2018年11月3日。2020年10月10日閲覧。
- ^ 「ブログ懲戒請求に賠償命令「根拠ない」弁護士側勝訴」『日本経済新聞』2019年4月13日。2020年10月10日閲覧。
- ^ 猪谷千香「「大量懲戒請求」でブログ読者の敗訴つづく…渦中の佐々木亮弁護士がみた事件の真相」『弁護士ドットコムニュース』2021年12月17日。