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使徒座空位

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
使徒座空位の紋章

使徒座空位(しとざくうい、ラテン語: Sedes vacans)は、ローマ・カトリック教会教会法上の用語で、使徒座すなわちローマ教皇死亡し、又はその地位を退いたことにより不在であることをいう。教皇空位とも。前回の使徒座空位は教皇ベネディクト16世が退位した2013年2月28日[1]からフランシスコが教皇に選出される2013年3月13日まで12日間続いた。

暫定統治

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使徒座空位が生じてから、新たなローマ教皇が選ばれるまでの間は、枢機卿が集団指導体制のもとバチカンを統治する。この枢機卿団の権限は使徒座空位の間に限った暫定的なもので、基本的には教皇空位であろうとも止められない日常業務の遂行と、どうしても新教皇選出まで待てず延期できない案件の処理のみに限られる。

使徒座空位に伴い、国務長官をはじめローマ教皇庁の各聖省の長官、評議会の議長はすべてその職務から自動的に(一旦)解任される。ただし、カメルレンゴ、内赦院長、サン・ピエトロ大聖堂首席司祭枢機卿、バチカン市国総代理枢機卿は例外である。使徒座空位が生じたときには、教皇を選出するための枢機卿の教皇選出会議であるコンクラーヴェが開催される。なお新教皇が選ばれると、解任された長官または議長は再任されるのが通例となっている。また、教皇ベネディクト16世は退位直前の2013年2月にコンクラーヴェの規則を変更し、投票権の有する枢機卿が全員揃った場合にコンクラーヴェの日程を前倒しして開催することを許可した[2]

使徒座空位の間に、枢機卿であるカメルレンゴをその長とする使徒座空位期間事務局が置かれる。使徒座空位期間事務局は、使徒座空位の間のみ使用できる使徒座空位切手や使徒座空位通貨を発行する権限を有する。

紋章

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使徒座空位の際には教皇の紋章に代わって、傘と聖ペトロの鍵を組み合わせた使徒座空位の紋章が用いられる。

長期間にわたる使徒座空位

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コンクラーヴェは一般的にはそれほど時間がかからないが、歴史においては数か月間ないし1年以上使徒座空位の状態が継続した時期もあった。

下記の表では空位期間が1年以上の時期を掲載する。

先代教皇 次代教皇 教皇離任 教皇就任 空位期間
クレメンス4世 グレゴリウス10世 1268年11月29日 1271年9月1日 2年10か月間
ニコラウス4世 ケレスティヌス5世 1292年4月4日 1294年7月5日 2年3か月間
クレメンス5世 ヨハネス22世 1314年4月20日 1316年8月2日 2年3か月間
グレゴリウス12世 マルティヌス5世 1415年7月4日 1417年11月11日 2年5か月間

1799年以降の使徒座空位

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先代教皇 次代教皇 教皇離任 教皇就任 空位期間
ピウス06世 ピウス07世 1799年8月29日 1800年3月14日 197日間
ピウス07世 レオ12世 1823年8月20日 1823年9月28日 39日間
レオ12世 ピウス08世 1829年2月10日 1829年3月31日 49日間
ピウス08世 グレゴリウス16世 1830年12月1日 1831年2月2日 63日間
グレゴリウス16世 ピウス09世 1846年6月1日 1846年6月16日 15日間
ピウス09世 レオ13世 1878年2月7日 1878年2月20日 13日間
レオ13世 ピウス10世 1903年7月20日 1903年8月4日 15日間
ピウス10世 ベネディクトゥス15世 1914年8月20日 1914年9月3日 14日間
ベネディクトゥス15世 ピウス11世 1922年1月22日 1922年2月6日 15日間
ピウス11世 ピウス12世 1939年2月10日 1939年3月2日 20日間
ピウス12世 ヨハネ23世 1958年10月9日 1958年10月28日 19日間
ヨハネ23世 パウロ6世 1963年6月3日 1963年6月21日 18日間
パウロ6世 ヨハネ・パウロ1世 1978年8月6日 1978年08月26日 20日間
ヨハネ・パウロ1世 ヨハネ・パウロ2世 1978年9月28日 1978年10月16日 18日間
ヨハネ・パウロ2世 ベネディクト16世 2005年4月2日 2005年4月19日 17日間
ベネディクト16世 フランシスコ 2013年2月28日 2013年3月13日 12日間

教皇座空位論

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Sedes vacansという語はカトリック伝統主義英語版の極端論[3][4][5]である教皇座空位論英語版: Sedevacantism: Sedevacantismus)にもみられる。教皇座空位論によると、第2バチカン公会議以降のローマ教皇を称する人物は全員異端であり、したがって教皇座は空位であるという。

脚注

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出典

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  1. ^ "Declaratio (11 February 2013)". news.va (英語). Libreria Editrice Vaticana. 2013年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月31日閲覧
  2. ^ "Motu proprio ''Normas nonnullas''" (英語). Vatican.va. 2020年1月31日閲覧
  3. ^ Eugene V. Gallagher, W. Michael Ashcraft (editors), Introduction to New and Alternative Religions in America (Greenwood Publishing Group 2006 ISBN 978-0-31305078-7), p. 16
  4. ^ William J. Collinge, Historical Dictionary of Catholicism (Scarecrow Press 2012 ISBN 978-0-81085755-1), p. 434
  5. ^ Mary Jo Weaver, R. Scott Appleby (editors), Being Right: Conservative Catholics in America (Indiana University Press 1995 ISBN 978-0-25332922-6), p. 257

関連項目

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