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侮辱罪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
侮辱罪
法律・条文 刑法231条
保護法益 人の名誉
主体
客体 人の名誉
実行行為 侮辱
主観 故意犯
結果 挙動犯、抽象的危険犯
実行の着手 -
既遂時期 -
法定刑 1年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金または拘留もしくは科料
未遂・予備 なし
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侮辱罪(ぶじょくざい)は、具体的な事実の摘示をしないで、不特定または多数の人が見られる中で口頭や文書を問わず、他者を侮辱することを内容とする犯罪(刑法231条)。本罪は親告罪である(刑法232条)。または、個人に関する情報、侮辱内容を指示し、他者に合わせる、共犯の事例もある。

名誉毀損罪とは「具体的な事実の摘示」の「有無」によって区別される[1]

概説

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名誉毀損罪との関係で、本罪の保護法益について、名誉毀損罪と異なる名誉感情と解する見解もあるが、判例・通説では名誉毀損罪と同じ外部的名誉(社会的名誉・社会的な評価)であるとされ[1]、本罪と名誉毀損罪は事実の摘示の有無によって区別される[2]

行為

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本罪の行為は「公然と人を侮辱すること」である。

  • 「公然」については、名誉毀損罪と同じ
  • 「侮辱」とは、他人の人格蔑視する価値判断を表示することをいい、態様を問わない

法定刑

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侮辱罪の法定刑は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料である(2022年7月7日施行)[3]

改正前

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2022年7月改正前の刑法の法定刑は拘留(30日未満)又は科料(1万円未満)だった[3]。これは刑法典で規定されている犯罪において、法定刑が最も軽いものだった。法定刑に拘留・科料しかないことから、幇助犯教唆犯は処罰されず(刑法64条)、犯人隠避罪(刑法103条)の客体となる犯人にも当たらないとされていた。また、公訴時効は1年であった。

改正の議論

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インターネット上の誹謗中傷が特に社会問題となったことで侮辱罪の法定刑引き上げが議論されるようになった[3]

2020年5月に女子プロレスラー木村花がインターネット上で侮辱をされたことを苦にして自殺した事件を契機に厳罰化の議論が進行し、量刑を「1年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」へと引き上げる改正案が2022年3月8日に閣議決定された[4]

ただし、弁護士神田知宏によると、侮辱罪より刑罰の重い名誉毀損罪においても、警察側が「軽い犯罪」として告訴状の受け取りを拒否する態度をとることは少なくない[5]。このことから侮辱罪の厳罰化についても、名誉毀損罪より刑罰が軽く、警察が動かなければその実効性には疑問があると論じている。

2022年(令和4年)6月13日、侮辱罪を厳罰化する改正刑法が成立した。改正部分は2022年7月7日から施行された[6][7]

改正により法定刑の引き上げに伴って従来侮辱罪で適用されなかった幇助罪や教唆罪の適用が可能になり、犯人隠避罪の客体となる犯人として適用可能となり、公訴時効も3年になった[3]

脚注

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出典

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  1. ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ),ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典,百科事典マイペディア,デジタル大辞泉,精選版 日本国語大辞典,世界大百科事典”. コトバンク. 2022年7月7日閲覧。
  2. ^ 佐藤結美「名誉毀損罪の再構成(2・完):プライヴァシー保護の観点から」『北大法学論集』第62巻第6号、北海道大学大学院法学研究科、2012年1月31日、209-245頁、NAID 40019198198 
  3. ^ a b c d 侮辱罪の法定刑の引上げについて (PDF) 法務省、2022年7月7日閲覧。
  4. ^ 時事通信(2022年03月08日)「ネット中傷抑止へ侮辱罪厳罰化 懲役・禁錮、「拘禁刑」に―刑法改正案を閣議決定
  5. ^ 警察動かず実効性疑問 視標「侮辱罪の厳罰化」”. 47ニュース. 共同通信社 (2021年11月20日). 2022年6月14日閲覧。
  6. ^ 毎日新聞(2022年06月13日)「ネット中傷対策「侮辱罪」厳罰化が成立 改正刑法
  7. ^ 「侮辱罪」厳罰化が7日施行 共同通信、2022年7月7日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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