光屈性
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光屈性(ひかりくっせい、英: phototropism)とは、光の入射方向に対応して、植物等の成長方向が変化する性質の事である[1]。植物でよくみられる現象であるが、菌類などの他の生物でも観測される。屈光性(くっこうせい)という場合もある。
植物の地上部は、成長を促す植物ホルモン(オーキシン)を光の影になる部分に移動させる性質があるので、これによって日陰側の成長が促進され、地上部が日の当たる方向に曲がることになる。その結果、葉などが効率よく光合成できるよう成長する[2][3]。
光の方向に向かう性質を正の光屈性、光とは逆の方向に向かう性質を負の光屈性という。植物の根は、負の光屈性と重力屈性の両方の影響を受けて成長する。また、木などに巻き付く蔦などは、日を遮る物の方に向かう性質がある[4]。
歴史
[編集]1880年に、進化論で著名なチャールズ・ダーウィンと、その息子フランシス・ダーウィンが、「植物の運動」という本の中で、イネ科植物が芽生え時に覆っている子葉鞘を使い、青色光が光屈性を引き起こすこと、光の受容部位は子葉鞘の先端に存在するのに対し,屈曲する部位は先端より下であることから、先端から何かしらの「影響」が伝えられている事を示唆した[5][6][7]。
メカニズム
[編集]- フォトトロピン
フォトトロピンは、光受容体タンパク質キナーゼで、青色光により自己リン酸化して光屈性に影響を与える[8]。
出典
[編集]- ^ 光屈性 ーカルシウムが制御する屈曲方向ー片岡博尚 日本藻類学会
- ^ Goyal, A., Szarzynska, B., Fankhauser C. (2012). Phototropism: at the crossroads of light-signaling pathways. Cell 1-9
- ^ Sakai, T., Kagawa, T., Kasahara, M., Swartz, T.E., Christie, J.M., Briggs, W.R., Wada, M., Okada, K. (2001). Arabidopsis nph1 and npl1: Blue light receptors that mediate both phototropism and chloroplast relocation. PNAS 98(12), 6969-6974.
- ^ Liscum, E. (2002). Phototropism: Mechanisms and Outcomes. Arabidopsis Book 1-21.
- ^ 山本興太朗「植物の屈光性・オーキシンの作用」『バイオメカニズム学会誌』第35巻第4号、バイオメカニズム学会、2011年11月、237-244頁、doi:10.3951/sobim.35.237、ISSN 02850885、NAID 10030038896。
- ^ ダーウィン親子予言の植物成長ホルモン「オーキシン」の生合成経路を解く(理化学研究所)
- ^ フシナシミドロの光屈性と光形態形成(東北大学)
- ^ フォトトロピン(京都大学大学院理学研究科生物科学専攻植物学系植物生理学分科)