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兵科記号 (北大西洋条約機構)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
NATO式兵科記号の例
(APP-6A以降)
敵の部隊名等が不明の
自動車化対戦車師団
1 DPLeg
Wyszków
友軍のポーランドの
ビシュクフ作戦群所属
第1レギオン
歩兵師団
3 PPCLI
1 CMBG
友軍のカナダの
第1カナダ機械化旅団グループ所属
プリンセス・パトリシア・カナダ軽歩兵連隊
第3大隊
4 Pz
XXIV
敵の第XXIV(14)軍団所属
第4装甲師団
82 Abn
友軍の第82空挺師団所属
空挺砲兵旅団

北大西洋条約機構式の兵科記号(NATO Joint Military Symbology)について解説する。北大西洋条約機構(NATO)において、共同作戦の標準化のために兵科記号標準化されている。

概要

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NATOの標準兵科記号は、すでに広く使われていたアメリカ陸軍が用いてきた兵科記号をNATO標準としたものであり、最初の標準規格APP-6が公布されたのは、1984年11月であった。標準化文書名はSTANAG-2019である。次いで、改定版のAPP-6Aは2000年12月に公布され、APP-6Bは2008年6月、APP-6Cは2011年5月に公布されている。2024年時点の最新版はAPP-6Dであり、2017年10月に制定された。これらのAPP-6は、アメリカ軍の規格(MIL-STD-2525)とは若干の差異がある場合がある。

表記法

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敵味方表記

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APP-6A以降の陸上ユニットの敵味方表記の基本形
表記法 友軍 中立 敵味方不明
塗りつぶし
モノクロ
(画面表示)
モノクロ
(印刷表示)

主な基本陸上ユニット

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APP-6A以降の主な基本陸上ユニット
ユニット種別 友軍 中立 敵味方不明 備考
防空部隊 保護ドームを連想
弾薬 薬莢・弾薬の様式化
対戦車部隊
戦車部隊 履帯の様式化
砲兵部隊
回転翼機航空部隊
固定翼機航空部隊
架橋部隊
後方支援部隊
諸兵科連合部隊
工兵部隊
電波測定部隊
電子戦部隊
爆発物処理部隊
燃料などの各種オイル (POL)
野戦病院
司令部ユニット
歩兵
整備部隊
医療部隊
気象部隊
ミサイル部隊
迫撃砲部隊
憲兵
海軍部隊
CBRN防衛部隊
軍需品
レーダー
心理戦部隊
偵察部隊または騎兵部隊
通信部隊
特殊部隊
特殊作戦部隊
兵站部隊
測量部隊
輸送部隊
無人航空機部隊

ユニットアイコンの修飾子

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基本兵科記号のユニットアイコンに修飾子を加え、そのユニットの特徴的な装備や能力を表記する。

修飾子の意味 友軍 中立 敵味方不明 備考
空挺 APP-6では、このマークは空挺・パラシュート降下能力と空中機動・ヘリボーン能力の両方の意味であったが、APP-6A以降では、空挺・パラシュート降下能力を意味する。
パラシュート APP-6で使用されていたが、APP-6A以降では不使用。
空中機動・ヘリボーン
空中機動・ヘリボーン(空中移動手段を常設編制に含む)
水陸両用
自動車化
山岳戦
大砲装備
不整地走行可能車両化

陸上部隊の部隊規模表示

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兵種表示の上部に記号によって部隊規模を示している。

シンボル 名称 人数 従属部隊 指揮官
XXXXXX 総軍 多数 2以上の軍集団 元帥上級大将又は大将
XXXXX 軍集団 多数 2以上の軍 元帥上級大将又は大将
XXXX 50,000から60,000ないしはそれ以上 2以上の軍団 元帥上級大将大将又は中将
XXX 軍団 30,000以上 2以上の師団 大将又は中将
XX 師団 10,000から20,000 2から4の旅団又は連隊 中将又は少将
X 旅団 2,000から5,000 2以上の連隊又は大隊 少将准将又は大佐
III 連隊 2,000から3,000 3から4の大隊 大佐又は中佐
II 大隊 300から1,000 2から6の中隊 中佐又は少佐
I 中隊 60から250 2以上の小隊 少佐又は大尉
••• 小隊 30から60 2以上の分隊 中尉又は少尉
••又は• 分隊 8から12 2以上の班 軍曹から兵長
Ø 4から6 なし 伍長から上等兵

戦闘領域

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外形の形状により、主な戦闘領域が表記される。

戦闘領域 友軍 中立 敵味方不明
空中
宇宙
地上
水上
水中

例示

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記号の右側に親部隊の名称・番号を、そして左側に自部隊の名称・番号を記載する。次の例では第42大隊A中隊(機械化歩兵)を示している。

また、アメリカ海兵隊第1海兵遠征軍第1海兵師団第3海兵航空団第1海兵兵站群)の兵科記号による編成を下に示す。

友軍の兵科記号の早見表を示す。

歴史

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APP-6

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APP-6はNATO標準文書化された最初の規格であり、陸上部隊の兵種表示は横長の四角形をベースに、その枠内に兵種を示すこと等の基本が示された。敵味方表示に際し、カラー表示は認められているが、モノクロの場合、敵部隊は四角の外枠を二重線で示すとしている。

APP-6における陸上部隊の兵種表示基本例

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APP-6における敵味方表示例

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APP-6A

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APP-6Aは、APP-6を拡張したもので、相互運用性やC4Iシステムへの対応、さらなる拡張性の確保を考慮しており、階層構造も採用されている。陸上部隊のみならず、空中・海上・海中ユニットについても、その所在場所に対する記載方法が明記された。また、敵味方等の識別表示も味方は長方形・円弧・円、中立勢力は正方形、敵はひし形、不明は四つ葉形で示すとされた。

APP-6B

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APP-6Bは、APP-6Aを拡張したものであり、部隊・設備の所在場所の表記法として、宇宙が独立・明記となる等の拡張がなされている。

APP-6C

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APP-6Cは、APP-6Bを拡張したものであり、部隊・設備の状態を示す表記法の拡張がなされている。

APP-6D

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APP-6Dは、APP-6Cを拡張したものであり、ウェブサーバー等のサイバー関連を示す表記法の拡張がなされている。

脚注

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注釈

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出典

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外部リンク

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