凍みこんにゃく
凍みこんにゃく(しみこんにゃく)は、茨城県北部の大子町を中心とする奥久慈地域(久慈川上流の地域)で作られる伝統的な食材[1]。蒟蒻をフリーズドライしたもの[2]。
概要
[編集]奥久慈地域は古くから蒟蒻芋の栽培が盛んであり、江戸時代には専売品として水戸藩の財政を支えていた[1]。凍みこんにゃくは、茨城県北部の農家が農閑期の副業として作ってきた食材である[1]。
凍結と解凍を繰り返した蒟蒻であり、水分が抜けてスポンジ状になっているのが特徴[1]。凍みこんにゃく自体には味が無いが、スポンジ状になっているためダシなどを吸い込むので、味と噛みごたえのあるコリコリとした食感を楽しめる食材である[3]。
乾燥状態を保てば長期間保存が可能であり、さまざまな調理方法で食されている[1]。
歴史
[編集]江戸時代に、久慈郡天下野村(現・常陸太田市)出身の探検家・木村謙次が丹波国から製法を持ち帰ってきたと伝えられている[1]。
かつては丹波国などでも生産されていたが、今日では茨城県北部でのみ生産されている[1]。一時期は生産者が1人まで減っていた[3]。2022年時点の製造者は3軒[4]。
作り方
[編集]畑に藁を敷き詰めて、薄切りにした蒟蒻を並べて水をかける[1][2][3]。夜間になると気温が下がることでコンニャクが凍り、昼は日光によって凍ったコンニャクがゆっくりと解凍される[1][2][3]。これを20日間ほど繰り返すと凍みこんにゃくの完成である[1]。
凍みこんにゃくの表面には、筋模様が刻まれているが、これは下に敷いた藁の跡である[3]。蒟蒻を藁の上に並べ、日々ひっくり返す作業は機械化されておらず、全て手作業で行われている[3]。
料理例
[編集]唐揚げ、天ぷら、フライ、グラタン、きんぴら、卵とじや吸い物の具に用いられる[1]。
消費拡大のためピザ[4]やハンバーガー[5]などのメニューも考案されている。
氷こんにゃく
[編集]通常の蒟蒻を1日以上冷凍することで作る食材で、簡易版の凍みこんにゃくとされる[6]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m “凍みこんにゃく 茨城県”. うちの郷土料理. 農林水産省. 2023年8月31日閲覧。
- ^ a b c 向笠千恵子「凍みこんにゃく“しゃもげたん”」『旅の手帖』2021年3月号、交通新聞社、2021年、3頁。
- ^ a b c d e f g “食べる民藝|凍みこんにゃくをめぐる冒険 #01”. 茨城県 (2018年11月14日). 2023年8月31日閲覧。
- ^ a b “日本で作り手は3軒のみ!貴重な伝統食材「凍みこんにゃく」のお味は?人気旅館のしゃもを使った名物料理も続々登場!”. 昼めし旅 〜あなたのご飯見せてください!〜. テレビ東京 (2022年2月20日). 2023年8月31日閲覧。
- ^ ““空飛ぶこんにゃく”の食感と味わいに松岡修造がびっくり!「さっきの食感どこ行った!?」”. くいしん坊!万才. フジテレビ (2023年2月26日). 2023年8月31日閲覧。
- ^ 金丸絵里加『氷こんにゃくで満腹ダイエットレシピ』学研プラス、2015年、7頁。ISBN 978-4059149613。