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利用者‐会話:Loopback/草稿

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受動喫煙(じゅどうきつえん)とは、喫煙をする者の周囲の人間が、その(環境たばこ煙:environmental tobacco smoke:ETS)を吸引する行為である。環境たばこ煙とは、副流煙(喫煙者が直接吸う主流煙に対し、たばこの先から立ち上る煙)と、呼出煙(喫煙者の吐き出す煙)が交じり合ったものを言う。対義語は能動喫煙(のうどうきつえん)。

歴史

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喫煙による本人以外への健康被害として、初めての研究が平山雄により疫学統計として1981年に論文として発表された。[1]その検証や統計的手法は正当性から様々な議論の的になっているものの、禁煙運動と共に大きな影響を与えた論文である。この論文を発祥として現在に至り、受動喫煙がさまざまな疾患の危険因子として人の健康に悪影響を与えることは、主に疫学的手法によって医学的分野で危険性が問題視され予防医学の観点でその健康被害が啓蒙されている。

受動喫煙に伴う問題

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受動喫煙に伴う問題は、喫煙者以外の者が当人の意思に関わりなく環境たばこの煙を吸わされてしまうことである。受動喫煙により、がんや心臓疾患などの危険性が増加することが啓蒙され、公共の場、飲食店、職場環境あるいは家庭などの様々な場所や状況において、喫煙に付随して生じる社会的な問題となっている。

特に、新生児乳幼児は、自発運動ができず環境に極めて受動的で、呼吸器や中枢神経などが発達途上であり身体的な影響を受けやすいため、受動喫煙を避けられるような配慮がなされるべきである。

また職場環境においては、一般には職業選択の自由があるとはいっても、職場環境の付随要素である受動喫煙だけでは仕事を替えたくないと考える人もおり、職場における喫煙の可否が争点となることもある。これは労使問題(→日本では労働安全衛生法)の上で、事業者が労働者のために安全で健康的な職場環境を整える義務があることにも絡んで、訴訟になったケースも見られる(後述)。

タバコの煙の臭いを好まない人も多いことから、喫煙者は非喫煙者に対する配慮が求められる。

健康への影響

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受動喫煙により、危険性が増すとされるものを以下に提示する。

  • 乳幼児突然死症候群(SIDS)
  • 呼吸器感染症
  • 中耳炎
  • 気管支喘息
  • 子供の行動障害
  • 思春期における喫煙率[2]
  • 配偶者の肺がん罹患率[3]
  • 悪性腫瘍[4]
  • 心筋梗塞

なお、WHOは受動喫煙であっても能動喫煙と同じ疾患の危険性がないとはいえないとしている。喫煙による危険性を増す疾患に関しては、健康への影響の項を参照。

各国の対応・事例

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日本

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日本では2003年5月1日に施行された健康増進法において、公共施設等の多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙防止義務が課せられた。これによりレストランや公共施設・公共交通機関での分煙ないし禁煙が進められているが、NPO法人日本禁煙学会の独自調査により先進国で最低レベルと評価した。[3]

各自治体レベルにおいてタクシーの禁煙化が進んでおり2007年5月1日より名古屋で全タクシー8050台の全面禁煙がなされた。また、2007年7月11日から神奈川県においてタクシーの全車両禁煙がなされた。他の市町村においてもタクシー業界側で禁煙化を進める動きがある

受動喫煙裁判

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2004年8月5日に神奈中ハイヤーを相手に乗務員が受動喫煙に対する健康被害を被ったとして、50万円の損害賠償と全車両の禁煙を求めて訴訟。2006年5月9日に原告側の請求を退ける判決を下した。判決文には「タクシーの全面禁煙化をすすめる事が望ましい」と判決文に記載された。原告側は控訴を要求したが2006年10月11日に最高裁判所への控訴審を棄却された。

江戸川区職員が区に対して求めた職場での受動喫煙に関する損害賠償請求訴訟がなされた。2004年7月13日に東京地方裁判所は同区に対し、安全配慮義務を怠ったとして5万円の支払いを命じた。判決では被用者(職員)がたばこの煙から保護されることを安全配慮義務の内容として認めた。

国外

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2005年2月27日にWHOが発効したたばこ規制枠組条約(→たばこ規制枠組み条約)では、受動喫煙の防止が各国の責務として定められており、日本も批准しているが、残念ながら、嫌煙運動を率先してきたアメリカは署名は行われたものの批准にまで至っていない。また、この条約文中内で「喫煙及び受動喫煙は死亡、疾患障害を引き起こす事が科学的証拠により明白であると認識すべき」と記載がある。[5]

環境中たばこ煙(ETS)の成分

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副流煙は、煙草の発火点から直接立ち上ることによる温度の差から、主流煙の数倍ないしそれ以上の有害物質を含んでおり、非常に危険であると警告されている。米国環境保護局(EPA)は、環境たばこ煙をAクラスの発癌性物質に分類している。タバコ会社自身による実験においても、種々の発癌性物質の濃度が、主流煙よりも副流煙において高いことが示されている[6]

副流煙と呼出された主流煙が混合したETSは、ニコチン、ナフチルアミン、ベンゼン、アンモニア、ホルムアルデヒド、ベンツピレン、一酸化炭素、鉛、ポロニウムなど約4000種類の化学物質を含み、うち43種類は発癌性物質である。その他に、多量の微粒子を含んでいる。

ETS及び受動喫煙に関する論文や報告

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  • IRACの疫学調査では1998年に74歳までの肺癌と関連疾患者650人の患者に対して受動喫煙の聞き取り調査を行った。欧州7カ国12施設での患者たちは生涯400本以上喫煙をしたことが無い者が選ばれ、調査が行われた。結論として幼年期に於けるETSでの肺癌に掛かる危険性を見出せなかった、と報告した。15年以上の期間が開いた患者たちには有為性が認められなかったと報告している。[7]
  • 2002年IRACは「受動喫煙は人に肺癌を起こすと結論づける十分な証拠がある」と報告した。[8]
  • 2003年UCLAの研究者James E Enstromとニューヨーク州立大学ストーニーブルック校Geoffrey C Kabat準教授による論文が英国医学ジャーナルに掲載された。1959年末に米国がん学会のがん予防研究対象者で1998年まで追跡調査を行った成人118094人を対象とし、特に研究対象の中で喫煙者の配偶者を持つ非喫煙者65561人を焦点をあて、冠状動脈性心臓病肺がん・慢性閉塞性肺疾患による調査をした疫学研究。調査期間は39年間にわたる長期のコホート研究である。結果として軽微な影響は有るもののETSとたばこに関連する死亡率の因果関係を示していない。ETS曝露による虚血性疾患・肺がんとの関連性は一般に考えられている物より弱い物と考えられると報告した。[9]
  • カリフォルニア州環境保護庁はETSは毒性を持つ空気汚染因子と報告した[10]
  • 2006年米国公衆衛生局長官年次報告で「受動喫煙は小児および成人において、疾病や早死を起こす」と報告した[11]

たばこ会社の見解

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環境中たばこ煙(ETS)が健康に及ぼす影響について、複数の統計学的な研究結果が存在するが、たばこ会社によってこの問題についての見解が異なっている。

「環境中たばこ煙は、周囲の方々、特にたばこを吸われない方々にとっては迷惑なものとなることがあります。また、気密性が高く換気が不十分な場所では、環境中たばこ煙は、眼、鼻および喉への刺激や不快感などを生じさせることがあります。このため、私たちは、周囲の方々への気配り、思いやりを示していただけるよう、たばこを吸われる方々にお願いしています。また私たちは、公共の場所等での適切な分煙に賛成し、積極的に支援しています。
一方、環境中たばこ煙は非喫煙者の疾病の原因であるという主張については、説得力のある形では示されていません。環境中たばこ煙への曝露と非喫煙者の疾病発生率の上昇との統計的関連性は立証されていないものと私たちは考えています。また、環境中たばこ煙は、空気中で拡散し、薄められているので、喫煙者が吸い込む煙中の成分の量と比べると、非喫煙者が吸い込む量は極めて少ないものです。動物で発がん性を評価する試験においても、環境中のたばこ煙により、がんを発生させることは極めて困難です。」
「環境中たばこ煙は、成人の非喫煙者に肺がんや心臓病などの疾病を、また子供たちに喘息、呼吸器感染、咳、端鳴、中耳炎、乳幼児突然死症候群などを引き起こすと、公衆衛生当局は結論づけています。 さらに、環境中たばこ煙は成人の喘息を悪化させるおそれがあり、目、喉、鼻の炎症の原因にもなりうると結論づけています。 環境中たばこ煙とは、火のついたたばこの先端から出る煙と、喫煙者が吐き出す煙を合わせたもののことをいいます。
たばこの煙がある場所にいるかどうか、また喫煙者であれば、いつどこで喫煙するかについては、環境中たばこ煙が健康に及ぼす影響に関する公衆衛生当局の見解を基に判断されるべきです。 また、子供の周りでは喫煙は控えるなど、特に子供に対しては十分な配慮が必要です。
このような公衆衛生当局の結論に基づいて公共の場所での喫煙を規制するのは適切な措置であると私たちは考えています。 また、喫煙が許されている場所では、上記のような公衆衛生当局の見解を伝える警告が表示されるよう政府によって義務づけられるべきであると考えています。」
  • ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の見解[14]
「世界保健機関(WHO)やその他多くの公衆衛生団体は、受動喫煙もしくは間接喫煙が様々な疾病の原因の一つであるという報告をしています。また、そうした受動喫煙もしくは間接喫煙のリスクは、実際の喫煙のリスクよりははるかに小さいものの、そのリスクに照らし、公共の場所での喫煙を公衆衛生に関する重要な問題の一つとして取り上げるべきであると言われています。
私たちは、受動喫煙が短期的に健康に影響を及ぼす可能性はあると考えています。例えば、子供の喘息や呼吸器疾患の症状を悪化させる可能性です。しかし、私たちは、受動喫煙が肺がんや心臓疾患などの慢性疾患の原因になるかどうかは明らかでないと考えております。科学的な観点からは、受動喫煙のリスクがあるとしても、あまりに小さいため確かな精度では測定できないというのが私たちの見解です。」
  • R.J. レイノルズ社の見解(日本語訳)[15]
「個人は喫煙をするかどうか判断する際に、米国公衆衛生局、米国厚生省疾病管理・予防センター(CDC)その他の公衆衛生機関の報告に基づくべきである」

参考文献

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  1. ^ [1]
  2. ^ DiFranza JR, Aligne CA, Weitzman M. (2004). “Prenatal and postnatal environmental tobacco smoke exposure and children's health”. Pediatrics 113: 1007-1015. PMID 15060193. 
  3. ^ Monographs Programme report on SHS”. Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。
  4. ^ Boffetta P. (2002). “Involuntary smoking and lung cancer”. Scand J Work Environ Health 28: 30-40. PMID 12058801. 
  5. ^ WHO Framework Convention on Tobacco Control
  6. ^ Schick S, Glantz S. (2005). “Philip Morris toxicological experiments with fresh sidestream smoke: more toxic than mainstream smoke.”. Tob Control. 14 (6): 396-404. PMID 16319363. 
  7. ^ Multicenter case-control study of exposure to environmental tobacco smoke and lung cancer in Europe
  8. ^ [2]
  9. ^ Environmental tobacco smoke and tobacco-related mortality in a prospective study of Californians, 1960-98. British Medical Journal 326, 1057-1061 (2003).
  10. ^ カリフォルニア州環境保護庁:Air Resources Board
  11. ^ 2006年米国公衆衛生局長官年次報告
  12. ^ JTホームページ JTの環境中たばこ煙に関する見解
  13. ^ フィリップ・モリス社ホームページフィリップ・モリス社の環境中たばこ煙に関する見解
  14. ^ ブリティッシュ・アメリカン・タバコ ホームページ
  15. ^ R.J. レイノルズ社ホームページ(英文)

関連項目

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