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オレガノ
オレガノの花
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
: ハナハッカ属 Origanum
: オレガノ O. vulgare
学名
Origanum vulgare L. (1753)
和名
ハナハッカ
英名
oregano

オレガノ(oregano、Origanum vulgare)はシソ科多年草。ヨーロッパの地中海沿岸地方が原産。香辛料として使われる。和名はハナハッカ花薄荷)。マジョラムの近縁種であり、別名ワイルド・マジョラムやコモン・マージョラム[1]とも呼ばれ、マヨラナ(スイート・マージョラム)に似ている[1]。また中国植物名を、牛至(ギュウシ)という[2][3]。広義には、O. compactumO. majorum、観賞用のO. rotundifoliumO. pulchellum、種間雑種などOriganum属全般を指す。

語源

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属名の Origanum はギリシャ語で「山の喜び」を意味する。和名の「ハナハッカ」は、初夏に淡紅紫色の小花を半球状に咲かせて目立つところから名づけられた[1]

特徴

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地中海沿岸の原産といわれる多年草[1]ヨーロッパから南西アジアヒマラヤ中国台湾にまで分布する[3]。大半は地中海沿岸地域で育ち、アメリカ北東部にも自生する。日本には江戸時代末期に渡来したが[3]、野生ではほとんど自生していない[1]。香辛料にし、また観賞用のために栽培されることもあり、栽培地はギリシアトルコイタリアフランスポルトガルなど地中海沿岸のほか、メキシコドミニカなど北米でも広く栽培されている[3]

種子から発芽して2年目に、高さは30 - 60センチメートル (cm) になる[1][3]は、四角く多少地ぎわを這って直立し、枝分かれしていて、かつ毛深い[1]は概ね卵形で、長さ1.5 cm[3]、表面が滑らかなものと毛が生えたものに分かれる。

夏から秋(7 - 10月)にかけて、茎の先端に、穂状になって直径4 - 7ミリメートル (mm) の紫を帯びた淡紅色の花を多数咲かせる[3]。花色は多くの品種ではピンクだが、一部の品種では白色。生育には、やや乾燥気味の気候が適する。園芸植物としても好まれる。

ハナハッカ属の中では最も認知度の高い種で、精油の成分の一つにカルバクロールという化合物があり、樟脳に似た特有の香りを発する[1]。植物そのものよりも発する香りをオレガノと呼称することが多い。

オレガノの葉は傷みやすいため、水に浸して自然に汚れを落とし、網の上で水気を切った後、乾いた布巾やペーパータオルなどで優しく水切りをする[4]

利用

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花がついた茎葉には、精油0.2 - 0.4%(チモールカルバクロールなど)を含む[1]。昔のイギリスでは、腹部を温め、吐き気船酔いに効果があるとして、オレガノ茶として愛飲されていた[1]。オレガノを材料とした茶は消化の促進を助けると考えられ、古くは薬屋の棚に陳列されていることも多かった。

最近では主に、観賞用か香辛料として用いられている[1]

香辛料

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葉には、よい香りと、ほろ苦い清涼感があるため、生もしくは乾燥させて香辛料として使われる[3]。生葉よりも乾燥させたほうが香りが立ち、トマトやチーズと相性が良い。主にイタリア料理メキシコ料理などで使われる[1]。メキシコ料理によく使われるチリパウダーに不可欠で[3]、イタリア料理のピッツァにも欠かせないスパイスであり[3]、俗にピザスパイスと呼ばれるものはオレガノが主成分であることが多い。花はポプリの材料として利用される。スウェーデン山地の農民が、酸味を防ぎ、アルコール度を高める為に、エール(ビールの一種)にオレガノを付加したという記述が、ジョン・ライトフットの手記に記されている。

薬効

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生薬名はオレガノ、または土香薷(どこうじゅ)という[2]。民間薬として、駆風薬、神経性の頭痛薬として利用される他、防腐、強壮、健胃、整腸、精神安定、生理痛や、風邪、インフルエンザなど呼吸器系治療薬として用いられた[2]。妊娠中の妊婦への服用は禁忌とされている[2]。現在は、薬用として用いられる事はほとんどない[5]。浴湯料として用いれば、血行をよくし、冷え症、肌荒れ防止に役立つと考えられている[1]

かつて、オレガノはデザイナーフーズ計画のピラミッドで3群に属しており、3群の中でも、ハッカ、キュウリ、タイム、アサツキと共に3群の中位に属するが、癌予防効果のある食材であると位置づけられていた[6]

栽培

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日本では、種苗は園芸店などで入手できる。種蒔きは4 - 5月ころか、9 - 10月ころで、種子が隠れるほどの土をかけて水やりすると、発芽する[1]。発芽後に間引きを行って株をつくり、1か月後に株どうしの間隔をあけて定植が行われる。定植後は日当たりの良い環境で育て、土が乾かないように水やりが必要となる[1]。1年後は葉を摘むくらいにして、2年目からは茎の3分のを残して刈り取り、陰干して利用される[1]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 田中孝治 1995, p. 104.
  2. ^ a b c d NTS薬用植物辞典編集委員会編 2016, p. 197.
  3. ^ a b c d e f g h i j 堀田満ほか編 1989, p. 747.
  4. ^ エスビー食品株式会社 監修 藤沢 セリカ 監修 (2013). ハーブとスパイスの図鑑. マイナビ. p. 167. ISBN 978-4839947361 
  5. ^ 武政三男 『スパイス&ハーブ辞典』、文園社、1997年、52 - 53頁
  6. ^ 大澤俊彦、「がん予防と食品」『日本食生活学会誌』 2009年 20巻 1号 p.11-16, doi:10.2740/jisdh.20.11

参考文献

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  • NTS薬用植物辞典編集委員会編『薬用植物辞典』エヌ・ティー・エス、2016年12月8日、197頁。ISBN 978-4-86043-416-8 
  • 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、104頁。ISBN 4-06-195372-9 
  • バーバラ・サンティッチ、ジェフ・ブライアント(編)『世界の食用植物文化図鑑』山本紀夫(訳)、柊風舎、265頁。 
  • 堀田満ほか編『世界有用植物辞典』平凡社、1989年8月25日、747 - 748頁。ISBN 4-582-11505-5