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利用者:かるめぎさる/sandbox

タッカルビ韓国焼肉料理の一種で、鶏肉野菜を使ったものである。ダッカルビとも表記される。

概要[編集][編集]

「タッ」(닭)はを、「カルビ」(갈비)は「あばら骨」をあらわし、「骨のまわりの肉を食べる鶏料理」という意味合いがある。

韓国江原道(カンウォンド)の春川(チュンチョン)地方の有名な郷土料理で、鶏肉1羽、大きく切ったキャベツやタマネギ、さつまいも、エゴマの葉、ニンジンなどの野菜を使って、甘辛いコチュジャン(唐辛子みそ)を鶏肉に絡ませ、大きな平たい鉄板の上で炒める料理[1]

販売され始めた当初は、ぶつ切りにした鶏のもも肉が多く使われていたが、最近では食べやすい「ピョンオヌン(骨なし肉)」を使う店がほとんどである。食べ方はさまざまで、追加でラミョン(インスタント麺)、ウドン、タンミョン(韓国の春雨)、チョルミョン(歯ごたえのあるツルツル麺)といった麺類を入れたり、チーズをトッピングすることもある[2]。シメにはタッカルビの味が残る鍋に白ご飯を入れて混ぜ合わせ、「焼き飯(ポックンパッ)」にして食べるのが定番である[3]

韓国では2012年ごろから徐々に人気が高まり始め、鶏肉が安いため低価格で食べられることから特に学生など若者に人気が高く、学生街に店が多い[3][4]

歴史[編集]

春川市、今の中央路(チュンアンノ)2街18番地に板で作った小さい場所で豚肉などで営業をしたキム・ヨンソクが、1960年のある日、豚肉が手に入りにくくなったことから、鶏2匹を買ってきて輪切りし、豚カルビのように作ってみると言って始めた研究の末に、鶏を広げて味付けして12時間寝かせた後、炭火に焼いて'鶏プルコギ'という名前で販売し始めた。

1970年代に入り、春川市の繁華街明洞(ミョンドン)の裏路地を中心に有名になり始め、休暇で出てきた軍人と大学生から、低価格で腹いっぱいに食べることができる料理として脚光を浴びた。また、春川地方でタッカルビが発展した背景の一つは春川地域で養鶏業が盛んだったためだとされている。

タッカルビは今でもその味と量に比べて価格が安いが、70年代初めタッカルビの価格は100ウォンだったことから、'大学生カルビ'、'庶民カルビ'と呼ばれていた。

春川市は2005年から毎年秋春川のタッカルビを広報するタッカルビ祭りを主催している。タッカルビ祭りは2008年から混ぜソバ(マッククス)祭りと統合、同時開催されている。

名所[編集][編集]

タッカルビは江原道春川市の郷土料理として知られており、本場・春川の市内中心部の繁華街の一角には約100メートル続く「春川明洞タッカルビ通り」がある。「元祖」「本家」と看板を掲げる専門店が約30軒以上も連ね、国内画の観光客に人気のグルメスポットである[5]

今ではソウルをはじめとする全国各地で食べられる人気料理となったが、ソウルにあるタッカルビ専門店の名前や看板にも決まって「春川」の文字が見られるため、今でも「タッカルビといえば春川」と一般的に認識されている[2][3]

タッカルビで名が知られているのは春川市だが、発祥は南隣の洪川郡といわれており、もともとは炒め料理ではなく鍋料理であったとされる。

日本におけるタッカルビ[編集]

これまで日本焼肉屋で一般的に食べられてきた牛肉のカルビロースなどのメニューに加えて、プルコギや豚肉のカルビ、サムギョプサル、そしてタッカルビなどの、韓国で一般的に食べられているメニューが日本にも取り入れられるようになった。これはBSE(狂牛病)の発生とも関連していると言われているが、日本の外食産業が韓国の流行に注目し、ほぼ同時期にいち早く日本にも取り入れようとしたためでもある。プルコギやタッカルビなどが導入されると、新たにそれらをモチーフにしたピザやパンなどが開発され、なかにはタッカルビカレーなども登場し、おそらく韓国では発想さえされない食品までもが次々に生まれた[6]

「冬のソナタ」ブーム[編集]

江原道春川市は、2000年代前半に日本で放送され大人気となった韓国ドラマ「冬のソナタ」の舞台として知られている[7]。奈良県生駒市にある韓国創作料理の専門店「かしき屋福茂千(ふくもち)」では、日本人女性の口に合うよう、コチュジャンに日本の味噌をブレンドした特製味噌を使用し、かつおだしで日本の鍋風にアレンジしてタッカルビを提供している。冬ソナブームの当時から、冬ソナ気分を味わおうと春川の名物料理であるタッカルビを注文する日本人女性が急増した[8]

近年の韓流ブーム[編集]

2017年、「JC・JK流行語大賞」のモノ部門で一位を獲得し、「インスタ映え」するとして注目度が急上昇、女子高生ら若者を中心に「チーズタッカルビ」が大ヒットした[3][9]

現在、日本の「韓流の街」と言われる東京・新大久保には至る所に「チーズタッカルビ」の看板が掲げられ、休日には行列ができるほど繁盛している。タッカルビは元々ある人気の韓国料理だが、チーズとあえることを考えたのは「市場(シジャン)タッカルビ」の姜光植(カン・グァンシク)さんだという[10]

2016年の暮れには、韓国で人気のオーブン焼きチキンのチェーン店「グッネチキン」の日本1号店が開業した[11]

冬ソナブームの後、一時は閑古鳥が鳴いた新大久保だったが、タッカルビ専門店をはじめとする韓国料理店に行列ができるなどして客足は戻りつつある[9]

脚注[編集]

  1. ^ 鶏カルビ(タッカルビ) | 韓国食辞典 | モランボン”. 2018年5月9日閲覧。
  2. ^ a b ベストフード「タッカルビ」 | ソウルナビ”. 2018年5月9日閲覧。
  3. ^ a b c d タッカルビ - 韓国旅行「コネスト」”. 2018年5月9日閲覧。
  4. ^ 黒田勝弘 (2001年3月30日). 韓国を食べる 「食」から見た韓国人. 光文社 
  5. ^ 「韓国・春川:3 12:00 元祖と本家、味対決(アジアの街角)」『朝日新聞』(2004年12月1日付)
  6. ^ 朝倉敏夫 (2005年9月26日). 世界の食文化 韓国. 農山漁村文化協会 
  7. ^ 「宮殿カルビ 夏乗り切る韓国料理 古沢宏(店味さんぽ)【名古屋】『朝日新聞』(2004年8月11日付)
  8. ^ かしき屋 福茂千(ふくもち) | ええ古都なら”. 2018年6月11日閲覧。
  9. ^ a b 「(02→18 韓国への視線は:下)友好の新大久保「もう一度」」『朝日新聞』(2018年1月18日付)
  10. ^ 「「誰が大統領でも」日韓交流深める 新名物、若い女性魅了 新大久保」『朝日新聞』(2017年5月8日付)
  11. ^ 「(訪ねる)1月、異文化タウン 新大久保 東京都新宿区」『朝日新聞』(2017年1月5日付)