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利用者:もんじゃ/sandbox

第一部

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七月のペテルブルク。母親からの仕送りも途切れがちで、経済的に困窮し、学業さえも放棄したロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ。かつて持っていた家庭教師の職さえ手放していた彼は、高利貸しの老婆、アリョーナ・イワーノヴナの元へ質を預け、その金でその日暮らしをする毎日だった。やがて、彼は老いさらばえた、強欲な老婆の元にばかり財が集まり、まさに今それを欲している自分の手には入らないことを理不尽と考えるようになり、老婆を殺害することでそれを手に入れ、その富を分配することで罪滅ぼしをしようと考える。

その下見のため父の形見の懐中時計を預けた帰り、気まぐれに立ち寄った居酒屋で、彼はかつての官吏、セミョーン・ザハールイチ・マルメラードフに出会う。ラスコーリニコフを教養ある人間と見たマルメラードフは、ラスコーリニコフに自分の身の上を語りはじめる。その出自のため気位が高く、今は肺病を病みつつも子供たちに少しでも品のある生活をさせようと血のにじむような努力をしているマルメラードフの後妻、カテリーナ・イワーノヴナ。そして彼女の三人の連れ子。生活に困窮した家族のため、自ら娼婦に身をやつしたセミョーン・ザハールイチの連れ子、ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ(ソーニャ)。そして家族を地獄に突き落とした自身の酒癖について彼は余すところなくラスコーリニコフに語った。ラスコーリニコフは酩酊したマルメラードフを家まで送って行く羽目になり、そこでマルメラードフがカテリーナ・イワーノヴナに髪の毛を掴まれ、引きづり込まれる様子をまざまざと見せつけられたのだった。

翌日、女中のナスターシャから、留守の間に届いていた手紙がラスコーリニコフに手渡される。それは郷里の母、プリーヘヤ・アレクサンドロブナ・ラスコーリニコワからで、中にはラスコーリニコフの妹のアドゥーチャ・ロマーノヴナ(ドゥーニャ)と母がこれまでにたどった顛末が書かれていた。ドゥーニャが家庭教師に行った先で主人のアルカージイ・イワーノヴィチ・スヴィドリガイロフにいたずらされたり、言い寄られたりした挙げ句、おまけにドゥーニャが夫を誘惑したと見たスヴィドリガイロフの妻、マルファ・ペトローヴナによって追い返されたこと。マルファがドゥーニャの悪評を広めたこと。真実を知ったマルファ自身によりドゥーニャの名誉回復がなされたこと。そしてなにより、ドゥーニャが七等文官ピョートル・ペトローヴィチ・ルージンとの結婚を取り決めたこと。ルージン、そしてその後を追って母とドゥーニャがペテルブルクを訪れる予定であること。25ルーブルないし30ルーブルを工面してラスコーリニコフに仕送りすることが書かれていた。

手紙を読み終えたラスコーリニコフは、ドゥーニャとルージンとの結婚が、彼女のラスコーリニコフへの自己犠牲であると考え、「おれが生きている間は、この結婚はさせぬ」と嫌悪感をあらわにする。無我夢中で家を出たラスコーリニコフは街を彷徨い、ウォッカをあおって灌木の茂みの中に倒れ込む。ラスコーリニコフは夢の中でやせた百姓馬が人々に虐げられる光景を目にし、目覚めたラスコーリニコフは一度は殺人の計画を頭の中からぬぐい去る。しかし、ラスコーリニコフは偶然アリョーナ・イワーノヴナの妹、リザヴェータ・イワーノヴナが翌日の7時に外出し、アリョーナだけが部屋にとり残されることを知る。彼は自分の運命を悟ったのだった。

明くる日、寝てばかりいたラスコーリニコフは、夕方の6時になったとたん飛び起き、瞬く間に殺人を実行する手筈を整える。老婆(アリョーナ・イワーノヴナ)の住む建物の部屋に辿り着いたラスコーリニコフは、偽の質草で気を引いた隙に老婆を斧の背で殴り殺し、持ち物を検めにかかった。そこに、思いがけずリザヴェータが帰ってきた。凍り付いたリザヴェータにラスコーリニコフは斧の刃をまともに食らわせ、第二の殺人を犯した。それに彼は狼狽するが、驚くべき冷徹さを発揮して証拠隠滅にかかった。老婆に金を借りにきたコッホペストリャコフもうまくやり過ごし、部屋を脱出したが、戻ってくるペストリャコフたちに鉢合わせしそうになり、ペンキ屋のミチカミトレイが作業しており、たまたまその時だけ無人になっていた部屋に隠れて難を逃れる。こうして彼は門の外まで逃げ果せ、完全犯罪を達成したのだった。

第二部

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