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利用者:ゆーちき/分離不定詞

英語における分離不定詞とは、to と動詞の原形の間に語句が挟まれたto不定詞である。通常、間の語句は副詞か副詞句である。 テレビ番組Star Trekの冒頭の句、"to boldly go where no man has gone before" はよく知られた例である。 ここでは副詞のboldlyが不定詞 "to go"を分離している。"The population is expected to more than double in the next ten years." のように、二語以上により不定詞が分離されることもある。 19世紀、規範主義的言語学者が分離不定詞を禁ずる規範を導入した。現在でもある程度の意見の相違はあるものの、現代英語の用法においては分離不定詞は特に禁じられていない。

歴史

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古英語において、不定詞は動詞の語尾に-n もしくは -an を付与することで形成され、一語であった。 一方、動名詞はtoに動詞的名詞の与格形 (-anne / -enne)を付与した2語で表された。 中英語になると不定詞と動名詞が合流し、どちらも語尾 -enを持つようになった。古英語・初期中英語の時代ではto不定詞が分離されることはなかった。

現在確認されている最古の分離不定詞は13世紀の詩、 Layamon's Brutに現れる。

and he cleopede him to; alle his wise cnihtes. for to him reade;
And he called to him all his wise knights / to him advise.
For this was gret unkyndenesse, to this manere treten there brother.
For this was great unkindness, to in this manner treat their brother.

現代英語

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中英語で発生した分離不定詞であったが、15〜16世紀頃には分離不定詞は珍しいものとなっていた。 シェークスピアは1, 2度しか分離不定詞を使用していない。確かな例は以下の文であるが、平仄を整えるために文法的な倒置を使ったと考えられる。

Root pity in thy heart, that when it grows Thy pity may deserve to pitied be (Sonnet 142).

エドムンド・スペンサー、ジョン・ドライデン、アレクサンダー・ポープ、欽定訳聖書は分離不定詞は一度も用いておらず、サミュエル・ジョンソンもほとんど用いなかった。ジョン・ドンは数度用いている。 分離不定詞構文が消失しかけた理由は知られておらず、分離不定詞が文法的に禁止された記録はない。

分離不定詞は18世紀頃に再び現れるようになり、19世紀にはより一層多く使われるようになった。 ベンジャミン・フランクリンエイブラハム・リンカンヘンリー・ジェイムズなど、多くの作家が分離不定詞を用いている。18世紀のスコットランド詩人、ロバート・バーンズの詩を以下に示す。

Who dared to nobly stem tyrannic pride. ("The Cottar's Saturday Night")

口語では分離不定詞は広く使われている。American Heritage Book of English Usageは、分離不定詞は意識されることもなく、常に用いられていると説明する。 現代英会話のコーパスでは、always, completelyなどを含む不定詞句は非分離不定詞よりも分離不定詞として現れることが多い。

構文の起源

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中英語で分離不定詞構文が発達した理由、また現代英語でこれほど強力に構文が復活した理由はわからないが、多くの仮説が立てられている。

類推説

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伝統的文法学者は、副詞が定動詞の前に置かれうることを指摘してきた。

ジョージ・カームは、「ある副詞が定動詞の直前に配置されるのならば、その副詞は不定詞の直前にも配置されるべきだと感じるだろう」と述べている。

ある人が、下の2文を発する人であるとする。

She gradually got rid of her stutter.
She will gradually get rid of her stutter.

類推により、その人は以下の文も発するかもしれない。

She wants to gradually get rid of her stutter.

分離不定詞が同語反復の引用として用いられることもこの説を支持する。以下はその例である。

子供: I accidentally forgot to feed the hamster.
親: Well, you'll have to try harder not to accidentally forget, won't you?

この例では、定動詞にかかる副詞が分離不定詞中の対応する位置に移動している。

変形文法における説

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変形文法ではtoの役割の再解釈が分離不定詞構文の発生に寄与していると考える。