コンテンツにスキップ

利用者:エチゼン/sandbox

リーマン・シーゲルの公式とは、リーマンゼータ関数に関する近似関数等式とも呼ばれ、二つの有限なディリクレ級数と誤差項の和によって表される。この公式はSiegelによって、1850年代のBernhard Riemann (1859) の未出版の遺稿から発見された。Siegelはそれを、Riemann–Siegel formula英語版とゼータ関数の路に沿う積分から正確に導いた。この公式はリーマンゼータ関数の具体的な近似値を計算する際にしばしば用いられ、さらに計算速度を上げるためにOdlyzko–Schönhage algorithm英語版と組み合わせて使われることもある。リーマンゼータ関数の変数の実部がの場合には式が簡便になり、いわゆるZ function英語版と呼ばれる式に変形することによって利便性が向上する。

リーマン・シーゲルの公式はが負でない整数のに対して次のように表される。

ここで、

ζ(s) = γ(1-s) ζ(1 − s)にも現れる因子であり、

は、始点と終点を+∞とした周回積分であり、その積分路領域には高々絶対値 2πMの特異点を持つ。つまり、この項を近似関数等式の誤差項と考え、その大きさの推定値を与える。SiegelHarold_Edwards_(mathematician)英語版はこの積分に最急降下法を用いて、Im(s)の負のべき乗級数のような誤差項R(s)の漸近を拡張した[訳語疑問点]。機械計算する場合、通常の実部はであり、正の整数NとMは約 (2πIm(s))1/2が採用される。Gabckeはリーマン・シーゲルの公式の誤差の見積もりを向上させた。

リーマンの積分公式[編集]

リーマンは

を示した。ここで積分路は0から1を勾配−1の直線にて通る (Edwards 1974, 7.9)。

彼はこれを使って、次に示すゼータ関数の積分公式を導き出した。

参考文献[編集]

  • Berry, Michael V. (1995), “The Riemann–Siegel expansion for the zeta function: high orders and remainders”, Proceedings of the Royal Society. London. Series A. Mathematical, Physical and Engineering Sciences 450 (1939): 439–462, doi:10.1098/rspa.1995.0093, ISSN 0962-8444, MR1349513, Zbl 0842.11030 
  • Edwards, H.M. (1974), Riemann's zeta function, Pure and Applied Mathematics, 58, New York-London: Academic Press, ISBN 0-12-232750-0, Zbl 0315.10035 
  • Gabcke, Wolfgang (1979) (German), Neue Herleitung und Explizite Restabschätzung der Riemann-Siegel-Formel, Georg-August-Universität Göttingen, Zbl 0499.10040, http://hdl.handle.net/11858/00-1735-0000-0022-6013-8 
  • Patterson, S.J. (1988), An introduction to the theory of the Riemann zeta-function, Cambridge Studies in Advanced Mathematics, 14, Cambridge: Cambridge University Press, ISBN 0-521-33535-3, Zbl 0641.10029 
  • Siegel, C. L. (1932), “Über Riemanns Nachlaß zur analytischen Zahlentheorie”, Quellen Studien zur Geschichte der Math. Astron. und Phys. Abt. B: Studien 2: 45–80, JFM 58.1037.07, Zbl 0004.10501  Reprinted in Gesammelte Abhandlungen, Vol. 1. Berlin: Springer-Verlag, 1966.

外部リンク[編集]

リーマンゼータ関数の部分和とは、無限級数であるリーマンゼータ関数を部分和とした

 

である。当然、リーマンゼータ関数とはという関係にある。

リーマンゼータ関数の部分和は、とした場合に

 

によって、が整数であれば全てのに対して初等的に求めることができる。

軌跡[編集]

リーマンゼータ関数の部分和を順次変化させて複素平面上にプロットしていくと、が増加すると螺旋状の軌跡が現れ始める。これはと関係があり、

 

の場合は対数螺旋に近似する軌跡が現れ、

 

の場合にはコルニュ螺旋に近似する軌跡が現れる。

に関して現れる対数螺旋に近似した軌跡の中心をとし、またコルニュ螺旋の先に現れるが小さい側に現れる)方の中心をとすると、次のような特徴が観測できる。

  1. の距離は、偏角は ただし、

以上の特徴から、リーマンゼータ関数の部分和の軌跡を遡る軌跡を示す関数を作ることができ、

 

となるが、のときには、

 

となり、と線対称の関係であることが解る。

参考文献[編集]



ゼータ関数の部分和[編集]

リーマンゼータ関数を部分和にした

 

を複素平面上にプロットした時、の虚部に対してが十分大きくなると対数螺旋のような軌跡を描く。

その軌跡の中心は元となったゼータ関数の値に近似していることが観測されており[1]、この方法での虚部を十分小さくするとやはりへ近似する。

  1. ^ Carl,Erickson(2005),A Geometric Perspective on the Riemann Zeta Function's Partial Sums