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利用者:フィネス

サジー
ファイル:Saji-img.jpg
サジー
分類
: グミ科 Elaeagnaceae
: ヒッポファエ属 Hippophae L.
学名
Hippophae rhamnoides
和名
サジー
英名
Seabuckthorn(シーバックソーン)


グミ科ヒッポファエ属の落葉性植物。日本では主にサジーと呼ばれる。英語圏ではSeabuckthorn(シーバックソーン)やSeaberry(シーベリー)などと呼ばれ、近年その需要を伸ばしている。


概要[編集]

サジーの呼称
言語読み
日本語サジーSaji
英語シーバックソーンSeabuckthorn
シーベリーSeaberry
ロシア名オブレピカOblepikha
フランス名アルゴーサーArgousier
イタリア語オリベロスピノソOlivello Spinoso
フィンランド語ターニTyrni
スウェーデン語ハブトーンHavtorn/Finbar
オランダ語ドゥインドーンDuindoorn
ポーランド語ロキトニクRokitnik
ネパール語タロTora, Chichi,Tara Chuk
ドイツ語サンドーンSanddorn
デンマーク語ティンブドTinved
中国語サージShaji
モンゴル語チャチャルガンYashildoo Chatsargana
チベット語ダーブDhar-bu/star-bu
パキスタン語メルクMilech
ヒンドゥ語ダーチュクDhurchuk
スペイン語エスピノアーマリロEspino Armarillo

ユーラシア原産であるサジーは、標高1200~2000mの高山や砂漠、寒暖の差が激しい地域にも自生する植物。年間降雨量が250mm以下の半砂漠地域でも砂状の土壌にしっかりと根を張り育つため、砂漠の緑化、土壌浸食防止、汚染還元などにも貢献している。 サジー属には6種類、12亜種の品種があり、品種によって直径5mmの大きさの実をつけるものや1cmくらいの実をつける品種など様々であるが、どの品種も9月~10月に果実が実る。11月~2月の冬の間もずっとその実を落とすことなく、鳥が食べてくれるのを待つ。鳥に食べられた後、その種子は鳥の体内で急速に成長し、フンとして排出されたその土地でまた新たに芽吹き、その土地を豊かにする。厳しい環境の中で自生し繁栄していくためにサジーが身につけた術である。


サジーの栄養価

サジーはビタミンミネラルアミノ酸ポリフェノール有機酸などを中心に約200種類以上もの栄養素を含み、それらの栄養素は厳しい環境に順応すべく、生きるためにサジーが自ら生成したと考えられる。6種類、12亜種の品種がある中で、特に標高が高く、かつ乾燥や寒暖の差も激しい砂漠に自生しているシネンシス系サジーは、他の品種よりもさらに栄養価が高いといわれている。

- 果実[編集]

ビタミンA、C、Eをはじめとする抗酸化成分、リンゴ酸、アミノ酸、鉄分などを豊富に含み、その高い栄養価から、健康食品・健康飲料・化粧品などの原料として需要が高い。また、果実には珍しくオメガ7系パルミトレイン酸やカロテノイドなどの油脂を含むため、アンチエイジングやメタボリックシンドローム対策訴求の食品、化粧品の色素や潤い成分などとして幅広く利用されている。

- 種子[編集]

ゴマをもう少し太らせ丸くしたような卵型をしており、黒褐色で小さく硬い。このサジー種子から抽出されるオイルには、オメガ3系のαリノレン酸植物ステロールが豊富に含まれ、希少価値の高い原料として商取引されている。しかし、不飽和脂肪酸であるオメガ3系αリノレン酸は融点が低いため熱に弱く、また、極めて酸化しやすいことから、超臨界抽出方法などが求められその希少性をさらに高めている。


流通・用途[編集]

ファイル:Saji-fruit.jpg

生の果実は酸味や渋みが強いため、一旦凍らせてシャーベット状になったものをジュースにしたり、ジャムや果実酒、パイやクッキーなどの材料、トッピングに用いられるが、その高い栄養価と特性から、近年では特にジュースなどの健康食品として需要が高まっている。 また、果実オイルや種子オイルは、健康食品(カプセルなど)や化粧品、医薬品に用いられる。特に種子オイルはn-3系不飽和脂肪酸を含むため、医薬品・健康食品としての利用価値は高く、特にロシア・アメリカでは医薬品としての研究が進んでいる。


サジーの歴史

- ギリシャ神話[編集]

サジーの学術名であるHippophae(ラテン語)を翻訳すると、輝く馬。ギリシャ神話では、ペガサスの好物とされ、ギリシャでは、サジーは競走馬や病床にある馬に大変有効だとの言い伝えもある。

- 古典医学書[編集]

約1200年前の8世紀に聖ユトク・ニンマ・ユンテングンボによって編集著作されたチベット医学書『四部医典』。それから800年以上の時を経た1688年、その四部医典をもとに『四部医典タンカ全集』が作られた。タンカでは、チベット医薬学の基礎から、人体の解剖学的構造、疾病の原因、病理、症状、診断方法や治療法、薬物の種類や用法、医療従事者としての道徳などまでもが分かりやすく図解されており、その中でサジー薬物の1つとして描かれている。この事実は、古くからサジーが人々に食されてきたことを意味している。

- アーユルヴェーダ[編集]

アーユルヴェーダは、5000年という時間をかけて、どんな植物にどんな効果があるか、副作用は無いかを確認し伝承してきた。そんなアーユルヴェーダで原材料として認められている植物は、世界でたった79種類だけであり、サジーもその79種類の中に選ばれている。

- 各国におけるサジー利用の歴史[編集]

火傷や床ずれ、湿疹(アトピーなど)、放射線障害の治療にもサジーが有効であるとされ、1986年に発生したチェルノブイリ原発事故においても、多くの犠牲者がサジーの軟膏やオイルで治療を受けた。また、1988年のソウルオリンピックでは、サジーのドリンクが、中国代表選手の国家指定飲料とされ、ロシアの宇宙飛行士にも、健康管理とストレスに対する抵抗力強化のため、サジードリンクが提供された。サジーは「最初に宇宙に行った果実ジュース」ともいわれている。

参照[編集]