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「類聚歌合」（るいじゅううたあわせ）

概要[編集]

　平安時代行われた歌会のひとつ、歌合（うちあわせ）で詠まれた「題」と左右に分かれて和歌の優劣を競った歌人達の和歌を集成したもの。「二十巻本歌合」とも呼ばれる。

沿革[編集]

　「十巻本歌合」は、9世紀末の『民部卿行平家歌合』から1056年（天喜4）『皇后宮（寛子）歌合』に至る46の歌合で10巻編成。編集は後冷泉天皇の在世中（1068以前）に行われたとされる。当時の関白・藤原頼通、源経信らが関与したとされる。これは未完成に終わり、未定稿のまま、浄書本は作成されなかった。

　そののち、再度、200余度開催された歌合を集成したのが、「二十巻本歌合」である。12世紀初め、堀河天皇の命により、『和歌合抄』10巻の編集された。以後、『古今歌合』に増補、1127年（大治2）頃、『類聚歌合』20巻とがなったとされる。前記の『民部卿家歌合』から1126年『摂政左大臣（忠通）家歌合』に至る200度超の歌合を20巻に編集した。この編集は『和歌合抄』以来太政大臣・源雅実と推定され、摂政・藤原忠通、源俊頼らが参加したとされている。成立は、元永・大治(1118～1131年)頃とされているが、巻子装された料紙や筆跡等から、30年余を掛けて断続的に編纂が行われたとされている。

　昭和13年に発見紹介された現・陽明文庫蔵の二十巻本『類聚歌合』（書名「古歌合巻」）には、巻八に 「六条斎院物語合」が収められている。後朱雀天皇の皇女・禖子内親王が、天喜3 (1055) 年5月3日、賀茂斎院で催した物語題歌合。この歌合に『堤中納言物語』に収められている『逢坂越えぬ権中納言』の和歌が出詠され、作者は「小式部」とある。この歌合に現在は散逸した『狭衣物語』の作者される六条斎院宣旨・源隆国娘も『玉藻にあそぶ権大納言』の和歌を出詠しており、文学史上屈指の文献学的価値を有する。　

参考文献[編集]

• 峯岸義秋「歌合集」 岩波文庫 1938年

• 久曽神昇「伝宗尊親王筆歌合巻の研究」 尚古会 、1937年
• 池田亀鑑・萩谷朴「廿巻本類聚歌合の研究」「短歌研究」改造社、2月
• 鹿嶋正二「堤中納言物語成立私考」「文学」岩波書店、1939年2月
• 堀部正二「纂輯類聚歌合とその研究」美術書院、1945年
• 峯岸義秋「歌合の研究」 三省堂出版 1954年
• 萩谷朴「平安朝歌合大成」全10巻、赤堤居私家版、1957-1969年　 のちに同朋舎出版により復刊(1979年)、「増補新訂平安朝歌合大成」 全5巻、同朋舎出版、1995-1996年
• 萩谷朴「平安朝歌合古筆現在書目録」 赤堤居私家版 1958年
• 萩谷朴 「歌合巻発見と池田亀鑑先生・その一　その二」「水茎」16.17号、古筆学研究所、1994年3月.10月

校註[編集]

• 峯岸義秋「歌合集」 岩波文庫 1938
• 峯岸義秋「歌合集」 朝日新聞社 1947 年(日本古典全書)

• 萩谷朴・谷山茂校注「歌合集」岩波書店、1965年（日本古典文学大系）

リンク[編集]

• ｅ国宝・類聚歌合　東京国立博物館蔵の証本は、200余度の歌合を収め、平安時代後期の書風を伝える筆跡も20余種に分かれているとされる。「寛平御時歌合」や「醍醐御時歌合」所収。

• 公益財団法人陽明文庫　巻八「六条斎院物語合」所収。