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利用者:利根川義雄/sandbox

移築再利用方式の建物 堅牢な建物は一度建てられると、その場所から移動出来ないと言う思い込みから脱却した概念の建物である。この堅牢な建物は、建てられた場所で短期間にて移動し易い大きさの各部材に分解出来、再利用する場所へ運搬され短期間で組立出来る、所有者の資産保全とゴミゼロの対策を備えた建物である。この発想は、使い捨ては もったいない と感じて再考された。 これに比較すべき概念は、建物は土地の従属物と考えることである。建物所有者はその土地の経済的効率論の判断でその建物を解体して建築廃棄物にする概念である。

概要[編集]

建物と自動車は日本の税法上、固定資産に分類され、共に 作る時、使用の時、廃棄の時に法的行政的な制約を受けている。 自動車と建物で現状 大きく異なる点は、中古市場の有無である。

・自動車は走行等の機能が十分あるのに廃棄処分されることは稀で、通常 中古自動車市場で売却して所有者は資産保全を図る。

・移築可能な建物で強度があり十分まだ使えるのに土地を更地に戻す際、建物の中古市場が無いため移築転売が出来ず解体され廃棄処分される。

建物は資産なのに負債ですか?

・戸建住宅を持つ個人は住宅が移築可能な建物であっても銀行ローン完済後、建物の強度が有っても減価償却期間により建物価値はゼロと評価され建物解体費用負担まで強いられる、法人は決算時に資産除去債務計上を求められる。その結果、個人と社会の資産を減らし、住宅ローン並びに社会的な債権問題とゴミを増やしている。

・しかし、建物レンタル会社は分解し易い移築再利用方式の建物を所有し資産保全をしている。

建物の移築再利用は古代日本で[1]難波京から長岡京へ建物移築しての遷都から半世紀前まで常識であり、社会も個人も移築再利用ルールに従い資産保全を果たしてきた。

しかし現在は文化的な建物と[2]建物レンタル会社以外、移築は工事費が2倍掛かるので損との宣伝を皆が信じ込み、移築再利用ルールは忘れ去られた。

建物の移築再利用を可能にする忘れ去られたルールとは、

ア、建物について。建築部材は破損せずに分解と組立が容易に出来る建築工法で設計製作施工された建物。 例えば、木造軸組み構造の古民家、ユニット型プレハブ住宅などで、次の分解工事にゴミを出さないように考慮して施工された建物。

イ、管理について。長期間に亘り経年劣化対策と居住環境改善のため定期的に点検整備を受けた建物。 例えば所有者と施工会社が点検整備補修工事の記録と建物図面管理をしている建物。

ウ、国の考え方について。移築再利用を考慮した都市計画と税制の有無。 例えば、都市計画では建物の分解工事スペースと搬出路が長期に確保できる政策と法令。税制では建物の減価償却期間を建物の強度保持期間と単純な年数を選択できる制度等のルール。

エ、建築業界について。業界が売手買手が行う移築再利用の方式の建物の移築転売を支援する組織を再編と売買価格を誰でも画簡易に積算するシステム[3]とインターネット等を利用した公平公正な中古市場の創設。 消費者への説明と、消費者から業界への要望。


効用[編集]

移築再利用方式の建物を個人の戸建住宅と、1名当りの面積など規格の統一された市町村の学校並びに介護施設[4]に使用すると、利用者数の減少で利用度合いが低下した際に不要な部分を移築転売が可能となり下記の効用が生じる。

・個人社会の資産と税金について。個人は住宅ローン完済後も戸建住宅の資産価値を確保出来る。市町村は生徒人数の変動に合わせて減った学区から増えた学区へ校舎を移築し、移築工事の手間賃は地元の雇用を生み、校舎新築費と校舎解体処分費の歳出を減らす。個人の建物評価額が増え税収も増す。

・金融について。個人の戸建住宅が移築転売可能だと住宅ローンも自動車ローンのリスクに近づく、更に自動車のような乗り逃げが困難なため安定した禁輸商品が組める。

・ゴミ問題について。建物を不要な場所から必要な場所へ移築再利用することで、建物解体ゴミの減少が出来る。

・建築業界について。分解工事と再組立工事の2箇所の工事が必要なため新築に比べ雇用が増える。移築再利用し易い建物の再設計が建築の新たな需要を起こす。

既存建物の移築再利用と新規建築設計の必要性[編集]

昔の日本では前述の如く、建物の分解、運搬、再組立をして再利用することは一般的なことであった。

現在、既設の建物でも同様の機能を有するものは

・木造軸組み構造の古民家、社寺等。

・柱と梁を金具、ボルトナット等で何回も脱着出来る接合方法で組立てられた木造、鉄骨造の建物。

・製作工場で内装まで仕上げ建築現場で積重ねて組立てるユニット型の建物。

・床壁天井屋根パネルを繰返し脱着可能な接合方法で組立てられたパネル構造の建物。

などが存在する。 しかし、分解再利用に無配慮な施工と無管理のため、既設の建物をそのまま建築された場所で移築再利用方式の建物に変更することは難しく、[5]セキスイハイムがユニット住宅を工場に持ち帰り修理して販売し再利用を始めたことは銘記すべきことである。

消費者・業界・行政の皆が、考え方を使い捨てはもったいないの発想に転換して、更に移築再利用のルールに基づき、建築業者の再編成、建築工法の再検討、再設計が必要である。 

欠点と逆転の発想[編集]

移築再利用方式の建物は完璧なものではないので、半世紀前に新築優先の現状に転換した。思いつく欠点とその発想転換を考えてみた。

オ、大津波、大竜巻、大爆発など巨大な物理的な力に対しては分解不可能な鉄筋コンクリート造の建物が優れている。

しかし、土木的な要素の問題であり、人が住む建物棟数の大半を占める中小規模建物は居住者の安全並びに資産保全のための大地震とその後続く余震対策が重要である。 地震に対しては特に中小規模建物では基礎と建物を分離し滑りを利用した免震装置または制震装置が有効であり、免震装置を中古の中小規模建物に組み合わせて安価で多くの方々が居住できることと震災時避難先の学校公民館を同方式で免震化し余震の恐怖から非難住民を救うこと、[6]並びに個人の安全と資産保全のために重要である。

カ、建物転売まで数十年間も管理するのは面倒、自分の建物を自由に捨てられないのは嫌、権利の侵害。 または住宅メーカーが自由に商品開発できないのは経済活動の阻害となると考える主張する人が居る。

しかし費用を負担すれば大量のゴミを自由に排出する自由、排出したゴミを他人の隣に勝手に置く自由、移築再利用で建物を転売して資産保全を妨げる自由は誰にも無い。 移築再利用のルールに統制された建物所有の方法を再考すべき時期となっている。

キ、建物を移築するには分解と搬出、搬入と再組立の2回の施工が必要、それに比べ新築は搬入と組立ての1回で済み割安である。

しかし移築再利用の転売は売手と買手の2人が自分の工事費をそれぞれ負担、新築は1人ですべて負担。移築転売の方が割安に出来る取引形態である。

ク、移築転売は売手と買手の直接取引が可能であるが、素人に出来るのか、騙されるのが落ち。

しかし昔に出来たことが今は出来ない方が不思議。移築再利用のルールを実施し不正者を排除し公平公正な運営を維持する組織が必要である。

ケ、名称の問題、移築再利用方式の建物の名称は長過ぎる。 確かに長く 建物を土地の従属物と考える人々の概念を変える為には一言で判り易い名称が必要。

前述の分解の名称は、建物をバラバラにすることを一般には解体と称する。しかし概念を変えるため、機械式時計を修理する時、分解修理ということから建物を分解すると称しました。

脚注[編集]

  1. ^ 朝尾直弘・吉川真司・水本邦彦『京都府の歴史』山川出版社、1999年、59頁。宮本長二郎・上野勝久『カラー版日本建築様式史』美術出版社、1999年、46頁。
  2. ^ コマツハウス(http://www.komatsu-house.co.jp)
  3. ^ 中古市場の公正公平、透明性と適正価格取引と的確な施工管理の支援組織は 開発中
  4. ^ 昭和33年4月25日法律大81号義務教育諸学校の国庫負担等に関する法律第5条、第6条児童または生徒1人当りの基準坪数。文部科学省大臣官房文教施設企画部『小学校施設整備指針』平成23年3月。介護保険法第88条第1項第2項指定介護老人福祉施設の基準、第3章設備基準第3条。平成11年3月31日厚生省令第37号指定居宅サービス等の事業の人員設備及び運営に関する基準、第124条指定短期入所生活介護事業所の建物。
  5. ^ セキスイハイム資源循環型住宅(http://www.uru.sekisuiheim.com/saichiku/katsuyou.html)
  6. ^ 株式会社アイムズ2002年石川祐二により学校、介護施設向け移築再利用方式のユニット型建物と免震装置を組合わせたシステムの設計提案がされた。(http://www.ims-koubou.com)

関連項目[編集]

・資産除去債務

・建設リサイクル法


外部リンク[編集]

建設副産物リサイクル広報推進会議