利用者:四葉亭四迷/田口富久治田口・不破論争
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田口・不破論争
[編集]1977年から1980年にわたって、名古屋大学教授であった田口と、日本共産党中央委員会書記局長不破哲三との間で、民主集中制のあり方を中心とする論争が繰り広げられた。
- 論争のはじまりは、田口「先進国革命と前衛党組織論」『現代と思想』29号、1977年9月、青木書店
- 関原利一郎「前衛党の組織原則の生命――田口富久治氏の『民主集中制論』の問題点」『赤旗評論特集版』1977年11月7日付
- 前掲論文などを一冊にまとめた田口『先進国革命と多元的社会主義』(1978年3月、大月書店)刊行
- 不破「科学的社会主義か『多元主義』か――田口理論の批判的研究」『前衛』1979年1月号
- 田口「多元的社会主義と前衛党組織論――不破哲三氏の批判に答える」『前衛』1979年9月号
- 不破「前衛党の組織問題と田口理論」『前衛』1980年3月号
田口がユーロコミュニズムの諸党の理論家の見解を援用して「先進国革命路線に適合的な、国民大衆に可及的に公開的であり、党内民主主義が実質的に保障された党」をもとめて、(1)党大会における反対意見、修正意見の開陳の制度的保障、(2)多様な意見を反映する各級党機関の構成、(3)党指導部の交代のルールの明確化、(4)党大会で選出される統制委員会を設けるなど党機構内への「権力分立」原理の導入、(5)少数意見尊重の政治的・実質的保障――を提唱した。これに対し不破は、かかる主張は民主集中制を弱体化させるものであり、田口理論には階級闘争の見地が欠けていると批判した。[1]
田口「現代政治における政党の問題」『朝日新聞』1976年7月1日夕刊、フランスの政治学者モーリス・デュヴェルジェの所説を引いて、民主集中制にひかえめな疑義を提起したことを契機[2]
- 不破論文まとめ『現代前衛党論』新日本出版社 (1980/10/5)
- 田口『多元的社会主義の政治像―多元主義と民主集中制の研究』 (青木現代叢書)1982/9
- 田口回顧 田口富久治「五〇年の研究生活を振り返って-いま思うこと」『丸山眞男とマルクスとのはざまで』日本経済評論社、2005年8月、pp.249-268