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利用者:城倉翔子/sandbox

隠れトランプとは2016年のアメリカ大統領選挙で共和党候補であったドナルド・トランプを密かに支持していた人々のことである。

概要[編集]

2016年アメリカ大統領選挙戦[編集]

 2016年のアメリカ大統領選挙戦は共和党ドナルド・トランプ民主党候補のヒラリー・クリントンが戦った。11月8日の開票の結果、クリントンが218人、トランプが289人の選挙人を獲得し、トランプが接戦を制した。[1]事前の世論調査の多くではクリントンの優位が伝えられていたにも関わらずトランプが逆転した理由として隠れトランプの存在があげられている。彼らの多くは過激な発言を繰り返すトランプ候補を支持していることを他人に隠し、世論調査にも回答していなかったと考えられる。

世論調査及び選挙への影響[編集]

 選挙前の世論調査の多くはクリントンの優位を予想していた。例えば米ワシントン・ポストABCニュースが共同で行った世論調査では2016年11月6日の時点で47対43でクリントンがトランプをリードしていた。[2]また、著名な選挙分析サイトであるファイブサーティーエイトは2016年11月8日午前10:41の時点でクリントンの当選確率を71.4%、トランプの当選確率を28.6%としていた。[3]その他にもCNNも7日の時点でクリントンの当選確率を91%、世論調査に基づくクリントンの支持率を46%、トランプの支持率を42%としており、[4]米紙ニューヨーク・タイムズもクリントンの当選確率を11月8日の時点で84%としていた。これらの予測が外れた原因として世論調査の手法の限界の他に、隠れトランプの存在があげられている。彼らは過激な発言を繰り返すトランプを支持していることを恥ずかしく思い、質問に答えなかった。[5]実際、米CNN の出口調査によると白人の58%、大学を卒業していない人々の67%がトランプに投票しており、鉄鋼などの産業が廃れた「ラストベルト」と呼ばれる地帯では同地帯のなかで最大である20人の選挙人を割り当てられたペンシルベニア州や、ウィスコンシン州でトランプが勝利した。同地帯は、伝統的に労働組合が強く、民主党の地盤だった州が多いが、経済の衰退で不満と不安が鬱積し、既成政治への批判が高まってトランプの支持につながった。[6]

背景[編集]

 白人労働者がトランプを支持した要因の一つとして既存政治への不満やグローバリゼーションの進展とそれに伴うアメリカ経済の衰退などがあげられる。中西部や西部の多くのブルーカラーは失業と地域社会の荒廃など厳しい状況に置かれており、彼らは政府は移民を優遇し弱者保護を優先して、自分たちは差別されていると感じていた。公的な医療保険制度の改革であるオバマケアも自分たちに負担増を強制して弱者保護を図るためのものだとして批判していた。[7] アメリカ経済や移民政策ついてトランプは次のような発言をしていた。

グローバリゼーションの波は中間層を一掃した。
貿易問題、移民問題、外交政策でアメリカを最優先する。(" to put America First " ) 
NAFTAは史上最悪の貿易協定、WTO加盟の中国は歴史上最悪の雇用を盗む国
アメリカは輸出を8000億ドル上回って輸入、これは政治が作り出した災害
金融危機や外交政策の混乱を引き起こしたエリートからの独立宣言を

 (いずれも2016年6月28日のペンシルベニア州の工場での演説 「アメリカ経済独立宣言」より)[7]

南の国境沿いに「万里の長城」を築き、(建設費は)メキシコに払わせる。

(2015年6月、出馬宣言で)[8]

更にトランプは自らの選挙活動の際に" Make America Great Again " というスローガンを打ち出し、強いアメリカの復活を標榜していた。。

トランプの主な公約は次の通り[9]

外交 日韓などの同盟国の駐留経費の負担を増額
貿易 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を破棄、北米自由貿易協定(NAFTA)を撤回
経済政策 2500万人の雇用創出、GDP成長率を年率3.5%に
医療保険 オバマケアを廃止、州の裁量権を拡大
環境、エネルギー 資源自給国を実現、天然ガスなど米国産資源の活用を促進
教育 学校選択制を推進
移民政策 メキシコ国境に壁を建設し、取り締まりを強化、不法入国者を国外追放

こうしたアメリカを重視した反グローバル的な発言や公約が白人労働者ら、既存政治に不満を抱く人々の支持を集める一因になったと考えられる。

関連[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 日本経済新聞「白人労働者を代弁」2016年11月10日朝刊14(9)
  2. ^ The Washington Post "Post-ABC Tracking Poll: Clinton 47, Trump 43 on election eve" 2016年11月7日(http://www.washingtonpost.com/news/the-fix/wp/2016/11/07/post-abc-tracking-poll-clinton-47-trump-43-on-election-eve/?utm-term=.eef5dd73e759 2017年5月8日最終閲覧)
  3. ^ FiveThirtyEight"Final Election Update: There's A Wide Range Of Outcomes, And Most Of Them ComeUp Clinton" 2016年11月8日(https://fivethirtyeight.com/features/final-election-update-theres-a-wide-range-of-outcomes-and-most-of-them-come-up-clinton/ 2017年5月8日最終閲覧)
  4. ^ CNN.co.jp「クリントン氏勝利の確率は91% CNNの『市場予測』」2016年11月10日(www.cnn.co.jp/special/us_election2016/35091780.html 2017年5月8日最終閲覧)
  5. ^ 日本経済新聞「世論調査 なぜ間違った? 」2016年11月10日朝刊14(9)
  6. ^ 朝日新聞「権力への怒り 異端の乱」2016年11月10日朝刊14(2)
  7. ^ a b 週刊東洋経済「世界が愕然 トランプ新大統領の衝撃 歴史の歯車を逆転させたポピュリズムの勝利」2016年11月19日
  8. ^ 日本経済新聞「女性票 情勢を左右」2016年11月9日夕刊4(3)
  9. ^ 讀賣新聞「激戦 全米を二分」2016年11月9日夕刊4(3)