利用者:射丸蔵/sandbox/ディスクマガジン
ディスクマガジン(disk magazine、略:diskmag)とは、コンピュータで読みとって処理することを前提に、プログラムやデータをフロッピーディスクないし光ディスクで供給した雑誌のことである。
概要
[編集]雑誌をコンピュータ用のデータで配布するという発想はディスクマガジンに先行する。
USAでは軍事や学術目的にインターネットの前身であるARPANETの開発が先行して行われ、そのネットワーク上で早くから不定期刊行の簡単な記事ないし、雑誌状の文字データが配布された。これはオンラインマガジンの初期形態で、このようなネットワークを通じたデータのやり取りはパソコン通信ができるようになった時点で一般人にも可能となったが、アクセス環境確保の困難さから利用できる人は限られ、また回線の細さや通話代、使用料の高さから文字ないし小さなプログラムを除いてデータをやり取りするのは非現実的であった[1]。
ネットワークを介した通信に問題が多い中、雑誌は遥かに広範かつ安価に人々に情報を届けており、パソコン関連の雑誌には多くのプログラムリストが載せられたが、それを実行するには大変な手間を掛けて手打ちで入力しなければならず、仮に打ち込んでも打ち間違いがあれば、各自が人力でそれを修正せねばならないため、多くの時間と苦痛を伴うものであった[2]。ディスクマガジンは、そのようなネットワーク絡みの問題や、プログラムを手間や打ち間違いの心配なく、即座に実行できるという大きな利点があった。
ディスクマガジンの前身としては、フロッピーディスクが主流になる前の記録媒体として支配的であったテープレコーダー用のカセットテープを用いたカセットマガジンがある。しかし、カセットマガジンは極わずかに出たのみで、1980年代前半、フロッピーディスクドライブが一般人にも手に入るようになるとフロッピーディスクを用いたディスクマガジンが登場し、その低価格化と普及が進むにつれ様々なディスクマガジンが現れてくる。
USAでは、1981年9月にApple II用にSoftdiskが創刊され、これは1995年まで続き、同社からの同種派生品は1998年まで刊行された[3]。このSoftdisk創刊当初はディスクドライブのみならず、フロッピーディスク自体も高価であったため、フロッピーディスクを郵送して送り返し再使用するというものであった。
パーソナルコンピュータは主に北米・欧州の西側先進国を中心に発展し、日本はそれを受けて追いつくという形であったため数年の時間差があるが、当初は著しく高価であった記録媒体も、技術革新、大量生産と競争激化で見る間にその価格を低下させてゆき、所有者が急増して市場が拡大することで日本にも様々なディスクマガジンが登場することになる。中でも8bitパソコンであるMSXが手頃な価格でディスクドライブを搭載するようになった1980年代後半から登場したディスクステーションが最も長く続いた。
また、任天堂がファミリーコンピュータに後付のディスクシステムを出したため、家庭用機にもディスクマガジンが登場したが、その市場の割に数は出なかった。
フロッピーディスクにも容量の制限はあったものの、この頃のディスクマガジンは、市販品のデモであるとか、古くなった嘗て市販されたゲーム、手打ちでは到底不可能な大容量独自開発のゲーム、読者投稿の画像や音楽、デモなど雑誌に相応しい内容となっていた。
しかし、紙媒体の雑誌を越えるほどの影響力を持つものは表れず、また、紙の雑誌にフロッピーディスクやCDなどを安価に付属させられるようになっていた所に、1995年、Windows95の登場とともにインターネットが急速に一般社会に浸透し始め、次第にその接続料が安価になり回線が太くなっていくと、ディスクマガジンはその優位性を失っていき、そのほとんどが2000年を越えることなく消滅した。
同人
[編集]ディスクマガジンが主要な流通から消滅した後も、低価格化したフロッピーディスクやCD-Rを用いた同人のディスクマガジンが、既に市販品が出ることはなくなった旧型機などにも多く出された。この同人のディスクマガジンは2000年以降も続いたが、ブロードバンドが一般化し、旧型機に執着するものも減っていく中で次第に消滅していった。
欧米のdisk magazineに源流を持つonline magazineは、インターネットで配布するようになった後もdiskmagを名乗ったものが多い[4]。それらは日本と異なり、デモシーンと密接な関連を持つものが多い。
海外のディスクマガジン
[編集]日本のディスクマガジン
[編集]パーソナルコンピュータ
[編集]- ディスクステーション
- 発売元:コンパイル
- MSX版
- 発刊号:0号~32号、スペシャル1号~5号、デラックス1号~3号
- PC98版
- MSX版と同時並行で発刊され、中身はまったく別であった。こちらの方が長く続いている。
- 紙雑誌一体版
- 当初はPC98、後にWindows向け。紙の雑誌形態で流通したが、実態はディスクマガジンが主であった。ディスクは5inchフロッピーディスクから、3.5inch、さらにCD-ROMと変遷した。
- MSX・FAN
- 発売元:徳間書店
- 発刊号:1号~33号
- 紙の雑誌だが、後期にフロッピーディスクを付属させてプログラムを収録し、さらにその内容を充実させて半ディスクマガジン化した。末期にはオンラインマガジンへの移行も模索されたが、実現しなかった。
- ピンクソックス
- 発売元:ウェンディマガジン(ドット企画)
- 発刊号:1号~8号、スーパーピンクソックス1号~3号、
- ピンクソックスマニア1号~3号、ピンクソックスプレゼンツ
- 成人向け。開発がグラフィックツールなどを開発していたBIT2と同じであったため、美麗なCGで知られた。
- ピーチアップ
- 発売元:もものきはうす(コンパイル)
- 発刊号:1号~8号、総集編、総集編II(笑)
- 成人向け。ディスクステーションと同じ開発の為、描画や音楽などに共通する所が多い。
- T&Eマガジン Disk Special
- 発売元:T&E SOFT
- T&Eの内輪ネタが多い。
- 電脳倶楽部
- 発売元:満開製作所
- X68000向け。