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利用者:沢田陽介/sandbox

堀雅昭

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堀雅昭(ほり まさあきか、1962年5月6日―)は、日本の歴史ノンフィクション作家。編集ディレクター。UBE出版代表。

来歴と作品

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1962年5月6日、山口県宇部市の一般的なサラリーマン家庭の長男として生まれる。宇部市立藤山小学校、同藤山中学校、山口県立宇部高等学校理数科を卒業(庵野秀明の2年後輩)。山口大学理学部生物学科(千葉喜彦研究室)を卒業し、九州の製薬会社研究所(薬理研究室)に就職。


祖父の堀磨は大分県宮砥村(現、大分県竹田市の一部)の出身で、宮砥村村長・堀頼彦の次男(長男の堀金馬の孫は筑波大学名誉教授の堀洋道)。磨は日韓併合直前に渡韓し、朝鮮総督府官吏(郵便局長歴任、最終履歴は総督府営林廠書記官)となるが、大正末に宇部市に入り、沖ノ山炭鉱(後の宇部興産㈱、現・UBE㈱)の人事係となり、主に朝鮮人労働者の労務管理を担った。『寺内正毅と近代陸軍』(2019年、弦書房)を書くきっかけが、祖父・磨が「朝鮮総督府に勤めていたから」と同書の「あとがき」で語っている。


藩政期の堀家の墓は大分県竹田市次倉「政所」に現存し、「堀来国之墓誌」と堀乗綱の経塚(文政11年)なども建つ。これらは次倉組大庄初代の堀乗綱を顕彰するため、息子の堀善左衛門が建てたもの。2代目大庄屋については「次倉二代堀善左衛門行状」や「農家百人撰」などの古文書が竹田市歴史文化館・由学館に所蔵されている。墓所の近くの「蔵内」には「堀屋敷跡」も残される(この土地はすでに他家に渡っている)。


堀磨の後妻・ミツエは山口県徳山市出身で、堀の祖母となることから、徳山毛利家の微臣であったミツエの祖父・野村陣兵衛が、幕末に京都・男山の戦いに従軍した。堀はその関係から、維新史に興味を持つに至った。また、ミツエは実母・京を幼くして亡くしたことで、継母ヒサを迎えたが、ヒサの祖父・青山清の家系が山口県萩市に鎮座する萩で最も古い椿八幡宮大宮司家であり、青山清が長州藩の国学者として招魂祭を主導して維新後に上京、靖国神社の初代宮司になっていた。堀は曽祖母の家系に関わる調査と取材から『靖国の源流 初代宮司・青山清の軌跡』(2010年、弦書房)、『琴崎八幡宮物語』(2011年、琴崎八幡宮)、『靖国誕生』(2014年、弦書房)、『靖国神社とは何だったのか』(令和2年、宗教問題)などを上梓した。


祖母ミツエの父方である野村家が、明治維新後にクリスチャンとなり、大正前半に徳山から藤山村(現、山口県宇部市藤山)に出て呉服商となって以後、自宅に牧師を招いて布教活動を始めたことで、現在の宇部市の緑橋教会(3代目牧師の陣内厚生の息子がシンガーソングライターとなった陣内大蔵)の創立を導いていた。このことから堀はキリスト教についても興味を持ち、関連作品を書いている。すなわちミツエの父・野村喜三が吉敷毛利家家臣の服部章蔵、継母ヒサが下関の青山章三郎から洗礼を受けクリスチャンとなり、緑橋教会創立をけん引したことで、服部章蔵の親戚筋になる詩人・中原中也の作品と明治維新史を重ねた異色の評伝『中原中也と維新の影』(2009年、弦書房)を上梓した。


堀の『井上馨 ―開明的ナショナリズム』(2013年、弦書房)も家系ゆかりの作品である。すなわち継母ヒサの祖父の萩椿八幡宮青山大宮司家と井上馨の祖先が縁続きになる関係から、東京広尾の井上旧侯爵家(東京大学名誉教授・井上光貞〔昭和58年没〕の家)の協力を得て新資料を発掘、作品化した。本書をもとにNHK大阪放送局が井上馨と伊藤博文の友情をテーマにした「友がいれば越えていける」を製作、2015(平成27)年1月7日の歴史秘話ヒストリアで放映した。その延長線上に、同年12月3日の井上馨の百回忌法要に堀は井上家の菩提寺・永谷寺(麻布)に招かれ、霞会館(旧華族会館)で追悼講演第1部の講師を務めた(第2部の講師は東京大学名誉教授の伊藤隆)。このときの講演記録は、井上家が「井上馨百回忌念講演会講演集」としてまとめ、関係者に配布すると共に、国会図書館やゆかりのある山口県立図書館などに寄贈している。


『井上馨』に続いて堀が執筆した『鮎川儀介 ―日産コンツェルンを作った男』(2016年、弦書房)であるが、この作品も堀の要望に、井上家から親戚筋にあたる鮎川家を紹介され、作品作りが進んだ。本書は東京の日本水産本社の橋渡しで、日産コンツェルンを長年研究してきた宇田川勝(法政大学名誉教授)を取材し、宇田川もまた直後に出した『日産の創業者 鮎川儀介』(2017年、吉川弘文館)の「はしがき」で、戦後刊行された鮎川の代表的研究書として小島直記『鮎川儀介伝』、小沢親光『鮎川儀介伝』、井口治夫『鮎川儀介と経済的国際主義』と共に堀の作品を挙げていた。山口放送は、堀の『鮎川儀介』をもとにして1時間の没後50年特別記念番組『産業ユートピアを夢見た男』を製作。堀も脚本づくりに参画し、2017(平成29)年2月25日に放映。さらに同年10月22日に系列の日テレBSで全国放送されたことで、鮎川儀介の孫・鮎川純太より堀に「日産で騒動が起きている」と連絡が入り、その延長線上に2018(平成30)年11月19日に日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反で逮捕され、国外逃亡する事件となった。