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利用者:草野瑛太/sandbox

 複合型書店(COMPLEX BOOKSTORE)は複合書店とも呼ばれ、書店がメインとなりそれに加えてカフェを併設したり、雑貨を取り扱ったりしている書店のことであり、本との出会いの場を演出している。

特徴

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 複合型書店は例えば、ブックカフェならば実際に飲み物を飲みながら本を読み気に入ったものを購入することが可能。他にも、雑貨店などと併設されている複合型書店では本を買うか悩んだ際も、本屋で居座り悩む必要がなく、周りの別の店や商品を見ながら買うか検討することが可能。

また、複合型書店の特徴として現在、出版業界は売上が右肩下がりの状況が続いている。通販が普及し、わざわざ書店で本を買うお客さんが減っているのが現状だ。そんな中で複合型書店は注目されており、複合型書店であれば、違う業態のお店を訪れるついでに書店へ立ち寄れるため、集客が期待できます。書店に自然に足を運んでもらうことができるため、複合型書店は出版業界・書店にとっての新しい形として複合型書店は、近年出版業界を救う存在として話題になっている[1]

・複合型書店が何故増加傾向なのか

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 現在書店は主に売り上げ不振や、インターネットやデジタル書籍など電子媒体の普及によって、紙媒体の市場規模が減少している書店が激減している[2]。しかし、現在何かに特化した書店が激増しており、これがシェア型書店やブックホテルなどと言った、複合型書店を指している。書店×カフェ×雑貨の複合型書店であるマルノウチリーディングスタイル[3]の社長、今出智之社長(53)は「雑貨とカフェを併設した書店が増えているのは、トレンドというより、やむにやまれぬ事情から。本だけを扱うよりも、単純に来店動機が3倍になるし、書籍よりも利益率が高く経営を支えてくれる」と語っている[4]

 また、書店の複合化の利点は出版物以外の商品を販売することで利益を増やし、リスクを分散できることである。出版物は粗利益が低いので、薄利多売で販売しなければならないが、カフェなどの飲食は粗利益が高いので、売上の増大に貢献する[注 1]。そのため現在複合型書店が全国的に増加傾向にある。

歴史

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・複合型書店の誕生

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 複合型書店は1989年に台北の大安で誠品生活1号店を創業者である、呉清友(ウー・チンヨウ)が1989年に創業したオープンしてから歴史は始まった。呉清友自身のビジネスで成功を収めた後、自分が本当にしたいことを突き詰めもっと社会に貢献したいという思いから、当時はまだ少なかった芸術、アート関連の書籍に特化した書店として誠品をオープンさせた[5]

・日本での誕生

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 1980年代に「複合型書店」という新しい業態が登場する。1980年に開業した「ブックファースト」は、書籍だけでなく、文房具やCD、雑貨なども取り扱うことで、顧客の多様なニーズに対応しました。この複合型書店は、後の大型書店業界の標準的なモデルとなっていきます[6]

1990年~2000年代

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 1990年代のバブル崩壊後、日本経済は長期にわたる低迷期に突入します。出版不況も深刻化し、大型書店業界もその影響を免れませんでした。大型書店業界は、この危機を乗り越えるために、従来のビジネスモデルからの転換を迫られます。ポイントカードによる顧客囲い込み、インターネット書店との価格競争、そして、カフェ併設やイベント開催による「体験型店舗」への進化など、様々な試みが行われました[6]

種類

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・ブックカフェ(Book Cafe)

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 カフェと書店が一つになった店舗のことを指しており、ブックカフェでは飲み物を飲みながら店内の本棚に並んでいる本を自由に読むことができる。また、書店でもある為本を購入することも可能であり、ブックカフェのみでも様々な形態の店舗が存在する。

・ブックホテル(Book Hotel)

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 ホテルと書店が一つになった店舗であり、店舗によるが例えば、「BOOK HOTEL神保町」[7]では自分に合った本をアンケートを通して見つけることが出来るブックマッチングサービスがある。また、ブックホテル「箱根本箱」[8]は取 次大手の日販の保養所「あしかり」をリノベーション したもので、館内に置かれている新刊古書洋書約 1万2,000 冊はすべて購入可能である[注 2]。店舗によっては、実際に気に入った本を購入することなども可能であり、ホテルによって様々な楽しみ方が可能。

・シェア型書店(SHARED BOOKSTORE)

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 シェア型書店とは、複数の人が棚や区画を借りて、選書や管理をしながら共同で運営する書店であり、東京都千代田区神保町の「PASSAGE by ALL REVIEWS[9]」では、全ての本を単品管理し、売れるごとにすぐに棚主にそのメー ルが届く仕組みになっている[注 3]。他にも、奈良の「ふうせんかずら[10]」では無人営業&シェア型書店であり、事前に登録 し、ナンバーを鍵に打ち込み入店し、キャッシュレス で決済する。棚ごとにオーナーが居るので、形態は 「シェア型本屋」となる[注 4]

・その他の複合型書店(OTHER COMPLEX BOOKSTORE)

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 複合型書店には上の3つのように名前が無いものが存在しており、雑貨店や衣服店などと繋がっている複合型書店も存在しており、身近な店舗で言うとヴィレッジヴァンガード[11]も書籍だけでなくCD、雑貨、食品などを幅広く扱う店舗であり、様々なバリエーションの店舗が存在している。


各国の状況

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・中国

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 中国では2015年に成都にオープンした方所書店は書店だけでなくカフェや工芸品などが購入することが可能な複合型書店であり、この方所成都店は売り場面積が約4000平方メートルあり、これは東京ドームの三分の一ほどの 売り場面積である[12]。中国ではこの方所のような大型書店の新規開店が相次いでおり、書店の複合型経営において草分け的存在である台湾の誠品書店は2015年、江蘇省・蘇州市に三菱地所と共同で開発したタワーマンション複合型の店舗をオープン。

 このほか成都市に拠点を置き全国展開する「言幾又」、インスタ映えする鏡張りの天井で知られる「鍾書閣」などが有名だ。大型書店を含む中国のソフトパワーは、潤沢な資金と柔軟な思考で伸び盛りにある[13]

・台湾

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 台湾ではランドマークである誠品生活と田園城市風格書店が中心となっており、誠品生活では主に台湾発のカルチャー体験型書店で、書店だけでなく文房具や生活雑貨、アパレルなどライフスタイル全般に関わる商品を扱っており、田園城市風格書店ではデザインやアート、建築、人文系の本を中心に、台湾のzine(個人制作の本)などを扱う独立書店の先駆けともいえる本屋であり、書店、ギャラリー、 カフェが一体になった場所です[14]。台湾を象徴する複合型書店であり、主にこの誠品書店と田園城市風格書店が中心になっている。

・日本

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 現在日本の書店はこの10年で約4700店が閉店しており、書店が一つもない市区町村が全国の約4分の1にまで上っている[15]。しかし、近年書店は減少しているものの何かに特化したような書店、所謂複合型書店が増加傾向にある。例えば、「SAKANA BOOKS[16]」という水生生物や自然環境に特化した書店や、「ランプライトブックスホテル[17]」という宿泊施設に度とミステリーの書籍を集めた書店を併設している施設、「つきやまBooks[18]」という古民家を書店や喫茶店などに改築した複合施設など、さまざまな形の書店が生まれている[19]。取り上げた例のように近年の日本は書店は減少傾向にあるものの複合型書店や特定のものに特化したような書店が増加傾向にある。

参考文献

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注1 脇田 英幸、「書店の新しい取り組みについての考察」、『商大ビジネスレビュー』、第5巻、第4号、178貢 https://www.u-hyogo.ac.jp/mba/pdf/SBR/5-4/175.pdf

注2 どむか (国立国会図書館, 2023-06-20)、「わざわざ系本屋」の系譜―多様化する 本屋とそこに注がれる眼差し、カレントアウェアネス、356号、17貢 https://dl.ndl.go.jp/pid/12894520

注3 どむか (国立国会図書館, 2023-06-20)、「わざわざ系本屋」の系譜―多様化する 本屋とそこに注がれる眼差し、カレントアウェアネス、356号、16貢 https://dl.ndl.go.jp/pid/12894520

注4 どむか (国立国会図書館, 2023-06-20)、「わざわざ系本屋」の系譜―多様化する 本屋とそこに注がれる眼差し、カレントアウェアネス、356号、16、17貢 https://dl.ndl.go.jp/pid/12894520

脚注

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  1. ^ 複合店とは?複合型書店とは? - 自費出版の書籍づくり本舗”. 書籍づくり本舗. 2024年12月12日閲覧。
  2. ^ 出版業界の市場規模は衰退する?業界動向と就職事情や将来性について”. indeed. 2024年12月12日閲覧。
  3. ^ マルノウチリーディングスタイル”. 株式会社 船場 SEMBA CORPORATION. 2024年12月12日閲覧。
  4. ^ 「複合型書店」食や雑貨で本との出会い演出”. 産経ニュース. 2024年12月12日閲覧。
  5. ^ 複合型書店のパイオニア。台湾発の「誠品生活」が、日本橋から踏み出す新たな一歩。”. Bridgine facebook. 2024年12月12日閲覧。
  6. ^ a b 業界レポート: 大型(チェーン)書店”. バフェット・コードマガジン. 2024年12月12日閲覧。
  7. ^ BOOK HOTEL 神保町”. 株式会社dot. 2024年12月11日閲覧。
  8. ^ 箱根本箱”. 株式会社ASHIKARI. 2024年12月11日閲覧。
  9. ^ PASSAGE by ALL REVIEWS世界一の本の街・神保町のシェア型書店”. ALL REVIEWS株式会社. 2024年12月11日閲覧。
  10. ^ TOP 無人&シェア型書店ふうせんかずら”. 有限会社ならがよい. 2024年12月12日閲覧。
  11. ^ ヴィレッジヴァンガード”. ヴィレッジヴァンガードEXCITING BOOK STORE. 2024年12月12日閲覧。
  12. ^ 中国・成都の書店事情”. keio University. 2024年12月13日閲覧。
  13. ^ 中国の大型書店「方所」が注目を集める理由”. 東洋経済オンライン. 2024年12月12日閲覧。
  14. ^ 台湾・田園城市生活風格書店にて講演”. caresudy. 2024年12月13日閲覧。
  15. ^ 書店はどう生き残る?アイデア続々”. NHK. 2024年12月13日閲覧。
  16. ^ SAKANA BOOKS”. SAKANA BOOKS. 2024年12月13日閲覧。
  17. ^ LAMPLIGHT BOOKSHOTEL”. LAMPLIGHT BOOKSHOTEL. 2024年12月13日閲覧。
  18. ^ work shop -つきやまArts&Crafts”. つきやまArts&Crafts. 2024年12月13日閲覧。
  19. ^ “閉店ラッシュ”の中で増加する書店の“特化型”。カリスマ店員と読書系YouTuberが語る書籍文化の未来”. FNNプライムオンライン. 2024年12月13日閲覧。
  1. ^ 脇田 英幸、「書店の新しい取り組みについての考察」、『商大ビジネスレビュー』、第5巻、第4号、178貢
  2. ^ どむか (国立国会図書館, 2023-06-20)、「わざわざ系本屋」の系譜―多様化する 本屋とそこに注がれる眼差し、カレントアウェアネス、356号、16、17貢
  3. ^ どむか (国立国会図書館, 2023-06-20)、「わざわざ系本屋」の系譜―多様化する 本屋とそこに注がれる眼差し、カレントアウェアネス、356号、16貢
  4. ^ どむか (国立国会図書館, 2023-06-20)、「わざわざ系本屋」の系譜―多様化する 本屋とそこに注がれる眼差し、カレントアウェアネス、356号、16、17貢

関連項目

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書店

古本屋

複合施設

・複合型施設

・複合店