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利用者:軽快/フォトチャージング方式

フォトチャージング方式 (英:photo-charging system,photo charging system)は図書館における図書の貸出方式の一つ。貸出記録をフォトレコーダーで撮影、保管する方法であり、アメリカで盛んに用いられた。

手続き[編集]

画像外部リンク
Changing Times: Los Angeles in Photographs, 1920-1990(2014年8月17日閲覧)
貸出記録の撮影に用いる機械

予め、図書名・請求番号・登録番号等が記されたブックポケットを図書に貼り付けておき、使用者に氏名等が記された貸出券を付与する[1]。更に、トランザクションカードを用意する[2]。トランザクションカードには連続した番号が振られており[1]、ある一定の周期でカードの色を変える[2]。なお、トランザクションカードは英語のTransaction cardの綴りからT-cardとも称される[2]

利用者が貸出を受けるときは、図書館員に貸出を受けたい図書と貸出券の二点を提出する[2]。図書館員は、返却予定日を記したトランザクションカードを加えた三点をフォトレコーダーで撮影して、これを貸出記録とする[1]。フォトレコーダーは16ミリもしくは8ミリのものが使用される[1]。トランザクションカードはブックポケットへ挿入し、利用者にトランザクションカードごと図書を貸し出す[1]

利用者が返却するとき、図書館員は図書の中のブックポケット内のトランザクションカードを抜き取り、振られた番号順にこれを整理する[1]。フォトレコーダーで撮影された貸出記録は業者によって現像され、図書館に返却されていないトランザクションカードが写っている貸出記録がついた利用者の延滞を図書館は把握し、督促できる[1]

特徴[編集]

貸出記録を撮影する機械は主にコダックレミントンランド、ディボールド(英:Diebold)の3社の製造品が主であり、それぞれに利点・欠点が存在する。

  • コダック製のレコーダック(英:Recordak)は操作が簡便でかつ素早く行えた。また財布の中の貸出券でも撮影可能であった[3]。その一方で大きいという欠点があった[3]
  • レミントンランド製の撮影機は駆動音が静かであった[3]。また、大きさもコンパクトである[3]。その一方で、貸出記録を十分な配慮のもとに整理しなくてはならないという欠点があった[3]
  • ディボールド製の撮影機もまた、コンパクトに仕上げられていた[3]。デメリットとして、図書やトランザクションカードなどの被写体の間隔を詰め[3]、被写体全体の大きさを小さくせねばならない点があげられる。

また、フォトチャージング方式全体として、返却されていない本に関する貸出記録の読み取り等が面倒である、予約業務が困難である、現像処理は外部によって行われ貸出記録が外部に漏れる、貸出記録はフィルムが焼却されるまで消滅しない、イニシャルコストが低廉でないといった欠点を抱えていた[1]

歴史[編集]

ゲイリー公共図書館の図書館員であったショー(R. R. Shaw)によって創案され、コダック製のレコーダックジュニアマイクロフィルマーを用いた実験が1940年に行われた[4]。それから7年後には、図書館業務の向上及び簡略化のため、レミントンランド製のものが使用されるようになった[4]

フォトチャージング方式はアメリカで盛んに採用され[1]、また、1950年台にはディーボルド製のマイクロフィルムカメラも用いられるようになった[4]

日本においても、採用した図書館は存在したが、前述の欠点が存在したために普及することはなかった[1]

日本での採用例として以下のものがあげられる。

  • 小平市図書館(現仲町図書館) - 開館年の1975年[5]からPOS端末導入の1976年の1年間[6]。開館前からPOSシステムに移行が検討されており、フォトチャージング方式は、そのつなぎとして用いられた[6]
  • 横浜市磯子図書館 - 開館年の1974年からPOS端末導入の1980年の6年間[7]
  • 文京区立本駒込図書館 - 開館年の1974年[8]からコンピュータ方式移行の1988年[8]の14年間。

参考文献[編集]

  • 図書館用語辞典編集委員会 編『最新 図書館用語大辞典』柏書房、2004年4月。ISBN 4760124896全国書誌番号:20590278 

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j 図書館用語辞典編集委員会 2004, p. 485.
  2. ^ a b c d Kirkwood, Leila H. 1961, p. 256.
  3. ^ a b c d e f g Kirkwood, Leila H. 1961, p. 258.
  4. ^ a b c Geer, Helen T. 1956, p. 246.
  5. ^ 小平市立図書館のあゆみ 1975”. 小平市. 2014年8月18日閲覧。
  6. ^ a b 小平市立図書館のあゆみ 1976”. 小平市. 2014年8月18日閲覧。
  7. ^ オンライン導入前後【貸出】” (PDF). 横浜市立中央図書館. 2014年8月18日閲覧。
  8. ^ a b 文京区立真砂中央図書館: “ぶんきょうの図書館 平成25年度版 (24年度実績)” (PDF). 文京区立真砂中央図書館 (2013年8月). 2014年8月18日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]