利用者:通/三菱ふそうトラック・バスと日産ディーゼル工業のバス製造事業における業務提携
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三菱ふそうトラック・バスと日産ディーゼル工業のバス製造事業における業務提携(みつびし - にっさん - こうぎょう - せいぞうじぎょう - ぎょうむていけい )では、三菱ふそうトラック・バスと日産ディーゼル工業が新長期規制にあわせて開始した、バス製造事業における業務提携についてを扱う。
両社はバス製造事業を中心として、トラックの製造事業においても一部提携を行っている。
概要および目的
[編集]業務提携は2006年7月13日に発表された。この業務提携での主たる目的はコスト削減で、三菱ふそう・日産ディーゼル2社の合計した開発・製造費用を削減することである。
このコスト削減を実施するために、部品等が共通化されている。ただし、車種によって共通化されるものが違い、
の3通りに分類され、複雑な体系がとられている(複雑な理由は後述)。また、これら以外にも一部に完成車のOEM供給が行われている車種が存在する。
なお、この業務提携が発表される前年、2005年6月13日に両社は日産ディーゼルの排出ガス後処理装置・尿素SCR還元システムを三菱ふそうに供給し、同社の大型トラックに採用することを発表していたが、今回の業務提携で、大型観光バス・大型路線バスにも採用が拡大されることとなった。
これらは、新長期規制適合車から行われている。
なお、統一と表記したが、実際にはOEMあるいは技術供与が主体であり、いすゞ自動車・日野自動車のように車種が統合されている例はない。
業務提携の詳細
[編集]業務提携の内容は「大型観光バス」・「大型路線バス」・「中型バス(観光・路線双方)」の3つに大別される。
大型観光バス
[編集]大型観光バスに関しては「A・エンジン機構の中で排出ガス後処理装置だけが統一された車種」が当てはまる。前述のように、日産ディーゼルの排出ガス後処理装置・尿素SCR還元システムが三菱ふそうに技術供与され、部品が共通化されている。
また、それ以外に三菱ふそうの観光バスが日産ディーゼルにOEM供給される(ただし、日産ディーゼルの車種も継続生産されるため、「C・エンジン機構のみならず完成車そのものが統一された車種」にはあてはまらない)。
- ラインナップ(設計側/OEM供給車)
- 三菱ふそう・エアロクイーン,エアロエース/日産ディーゼル・スペースウイングA,スペースアローA
- 日産ディーゼル・スペースウイング,スペースアロー
- ※前者がスーパーハイデッカー・後者がハイデッカー
大型路線バス
[編集]大型路線バスに関しては、床形状によって異なっているが、全ての車種が日産ディーゼルのエンジンで統一されている。
ノンステップバス・WB6.3mの自家用車
[編集]ノンステップバスに関しては、「C・エンジン機構のみならず完成車そのものが統一された車種」であり、全ての車両が日産ディーゼルの車両に統一された。日産ディーゼルから三菱ふそうへノンステップバスがOEM供給される。
また、これ以外にこれまで三菱ふそうになかったWB6.3mの自家用車も国土交通省に認可を受けている。
- ラインナップ(設計側/OEM供給車)
三菱ふそう・エアロスター(廃止の上OEM供給車へ。WB6.3m車は除く。)- 日産ディーゼル・スペースランナーRA/三菱ふそう・エアロスターS
ワンステップバス・ツーステップバス
[編集]ワンステップバス・ツーステップバスに関しては、「B・排出ガス後処理装置を含んだエンジン機構全般が統一された車種」となり、エンジンが日産ディーゼルの尿素SCR還元システムを用いたものに統一された。また、三菱ふそうから日産ディーゼルへ完成車がOEM供給されるが、日産ディーゼル車も継続生産されていることから、やはり「C・エンジン機構のみならず完成車そのものが統一された車種」には該当しない。
- ラインナップ(設計側/OEM供給車)
- 三菱ふそう・エアロスター/日産ディーゼル・スペースランナーA
- 日産ディーゼル・スペースランナーRA
中型バス
[編集]中型バスに関しては、「C・エンジン機構のみならず完成車そのものが統一された車種」が当てはまる。しかしながら、「日産ディーゼルが設計・エンジンは三菱ふそう」という構図になっている。また、日産ディーゼルで発売されてこなかった車種に関しては、「設計・エンジン全てが三菱ふそう」となっている。
ラインナップに関してはまだ三菱ふそう側から発売されていないことから、非掲載とする。
背景
[編集]業務提携開始の背景については、様々なものが考えられる。
排出ガス規制の強化
[編集]第一に排出ガスおよび燃費基準強化による開発コスト増大が挙げられる。日本の排出ガスは段階的に厳しくなってきており、特にNOx(窒素酸化物)・PM(粒子状物質)が強化されてきている。EUの排出ガス規制と競うように強化されてきており、今後も排出ガス規制の強化が進む可能性が高い。
このNOx・PMを削減するために、排出ガス後処理装置が導入されているが、両社はDPFによる方式から尿素SCR還元システムによる方式に切り替えた。
なお、今後燃費規制によるコスト増大も考えられる。燃費が2倍になれば、排出ガスも2分の1になり、排出ガス規制をしているのと同等の効果が得られるなど、燃費規制を設けるメリットは大きい。ただ、燃費に関する規制はまだ開始されたばかりであり、現在の基準は平成27年までの達成が義務付けられているところにとどまることから、それほど影響が大きいとはいえない。おそらくは今後強化されていくものと推測される。
少ない生産台数
[編集]排出ガス規制に対応するためのコスト上昇に加えて、バスのコストにさらに追い討ちをかけるのは、生産台数の少なさであるといえる。バス1台当たりの価格(製造原価)に占める費用のうち、固定費に関してはバスを何台作っても金額が変わらないことから、大量生産をしたほうが1台あたりの固定費は安くなる。しかし、どの車種をとってもバスの製造台数は年間数百台が目標になっているなど、公共交通機関の一端である以上生産台数が少なく、なかなか1台あたりの製造原価が下がりにくい。
リコール問題
[編集]さらに三菱ふそうにとってはリコール問題によりコストが増大したのは言うまでもない事実であろう。会計学的に言えば、リコールのような不良品はできるだけ早い段階で見つけるのが望ましく、市場に出回ってから不良品を修理するのは莫大なコストを要する。今回のリコール問題は三菱ふそうに対して莫大な負担を及ぼしたのは間違いがなく、それが一因になっているものと考えられる。
なお、三菱ふそうも排出ガス後処理装置に尿素SCR還元システムを採用することを決めており、開発していた。しかしながら、自社開発した同システムの使用をやめ、日産ディーゼルのシステムを使用することで部品を共通化し、コスト削減を行うこととなった。