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海外との比較[編集]

日本の道路標識の色彩は主に原色を採用し、限られた種類の色しか用いられていない[1]。アメリカでは2001年現在、記号用に5色と背景用に8色が用いられ、それらの組み合わせによって最大の視覚的効果を出しているほか、将来的な利用のために追加で5色が準備されている[1]。日本では原則として標識のデザインに2色を用いるが、ヨーロッパでは標識のデザインに3色までの配色が認められている[1]。日本の原色を用いたデザインはメリハリがあり視認性が高いが、多様な道路標識にそれぞれの特徴を持たせることができない[1]

アメリカの道路標識は2001年現在で10種類の形状が採用されており、日本と比べて多様である[2]。また、アメリカでは文字を用いた標識を多用しており、一方で日本は記号の利用が比較的重要視されている[3]

規制の終点を示す標識(終点標識)は規制標識に別種の補助標識を付けるが、海外では規制標識自体に規制終了を示す線を描く方法が採られている[4]。日本の方法の場合、煩雑に標識の数を増やしてしまう欠点となっている[4]

法律上の位置づけ[編集]

道路交通法の適用は都道府県公安委員会が設置した標識の下でのみ適用され、道路管理者が設置した標識に違反した場合は道路法の違反になることがあっても道路交通法の違反にはならない[5]

「標識標示主義」とは交通規制は道路標識や道路標示を設置する場合に限って行われ、設置されていない場合は法定の規則が適用されるということである[6]

1971年(昭和46年)の道路交通法改正以前はすべての交通規制について必ずしも道路標識等の設置を必要としていなかったが、交通規制はその場で誰でも分かるようにしなければならないという考え方から道路交通法改正によって交通規制に関しては標識標示主義が採用されることになった[6]。道路交通法によって「標識標示主義」という字句が明文化されている訳ではないが、法律上の「道路標識等により」の文章によってこの規程が採用されていることを明確化している[6]

この主義により標識が街路樹で隠れるなどして視認性に欠けた状態であるときは交通規制の効力がないものとして扱われる[6]

設置方法[編集]


種類[編集]

案内標識[編集]

1986年(昭和61年)から国際化に対応すべく日本語にヘボン式のローマ字を併記することになった[7]。ただし、ローマ字、特にヘボン式のものは長音を無視することが多く、「小野」と「大野」のように全く違う地名が同一の綴りで表記される問題がある[8]

英語を併記したとしても、平易な英語ではないため英語圏出身の者でも分かりづらい問題がある[9]

「Sta.」などの短縮表記から短縮しない表記を復元できる人は少ないと指摘がある[10]

案内標識
番号 名称 様式 備考
101 市町村
102 都府県
103 入口の方向
104 入口の予告
105 方面、方向及び距離
106 方面及び距離
107 方面及び車線
108 方面及び方向の予告
108の2 方面及び方向
108の3
108の4
109 出口の予告
110 方面及び出口の予告
111 方面、車線及び出口の予告
112 方面及び出口
113 出口
114 著名地点
114の2 主要地点
115 料金徴収所
116 サービス・エリア、道の駅及び距離
116の2

警戒標識[編集]

警戒標識
番号 名称 様式 備考
201-A 見通しが悪い平面曲線または縦断曲線の直後に一時停止規制がある場合は運転者に対する注意喚起のためにこれらの警戒標識を設置するのが望ましい[11]
201-B
201-C
201-D
201の2 この先にロータリーがあり、視認性が悪く注意が必要なことを示す[12]
202
203
204
205
206
207 踏切あり
208
208の2 信号機あり 予告信号灯から街灯の信号交差点までの距離が長い場合は、到達するまでの時間がかかるため予告信号灯としての機能を生かしきれない場合があり、この場合は「信号機あり」の標識で対応するのが望ましい[13]
209 すべりやすい 1960年(昭和35年)に降雨時などのスリップ事故が多発していることを鑑みて国連で用いられている図柄で一種の警戒標識となった経緯がある[14]
209の2 落石のおそれあり 路側からの落石に注意しなければならないことを示す[12]
209の3 路面凹凸あり この先に路面上に凹凸があるため運転上で注意しなければならないことを示す[12]
210 合流交通あり
211 車線数減少
212 幅員減少
212の2 二方向通行 この先で二方向で分離された道路または対向車が全くない道路から非分離二方向交通の道路になるため注意しなければならないことを示す[12]
212の3 上り急勾配あり
213の4 下り急勾配あり
213 道路工事中
214 横風注意
214の2 動物が飛び出すおそれあり
215 その他の危険 標識令で規定されている警戒標識では表示・表現できない注意事項がある場合に設置され、必要に応じて「路肩弱し」などの補助標識を用いる[12]

規制標識[編集]

交差点では車両の進行方向や通行方法を規制・禁止する規制標識を設置するが、それら以外の規制標識(駐車禁止や最高速度など)は交差点から話して設置するのが望ましい[15]

規制標識
番号 名称 様式 備考
301 通行止め 災害や工事、催物などによって歩行者及び車両等の通行を禁止する[16]
302 車両通行止め 災害や工事、催物などに加え、車両が通行するにあたって十分な幅員がない道路や踏切、国立公園や社会福祉施設などによって周辺環境の保全が必要な場合、暴走行為等から地域の静穏を確保する場合に車両の通行を禁止する[17]。路線バス等の専用道路やバスターミナルにおいて、路線バス等以外の車両を排除する目的でこの標識を用いることができる[18]
303 車両進入禁止 主に一方通行の出口に設置され、車両がその方向へ進入できないことを意味する[19]
304 二輪の自動車以外の自動車通行止め 十分な幅員がない場合や交通事故・交通公害を防ぐために二輪の自動車以外の自動車の通行を禁止する[20]。二輪の自動車以外の自動車が通行するには危険性が高い道路や十分な幅員がない道路・踏切、住宅地や商業地などで交通事故や交通公害を防がなければならない場所で設置される[20]
305 大型貨物自動車等通行止め 大型貨物自動車等の通行を禁じる[21]。通学・通園路や十分に幅員がない道路・踏切、カマボコ型をして通行が危険な踏切、交通公害や抜け道利用による交通事故を防ぐ場合に大型自動車等の通行を禁止する[21]。大規模な工事の実施や採石場・トラックセンターの設置が予定される場合は先行的に標識を設置して規制を実施するのが望ましい[21]
305の2 特定の最大積載量以上の貨物自動車等通行止め 指定された最大積載量以上の貨物自動車等の通行を禁止する[22]。規制が実施される道路は「大型貨物自動車等通行止め」と同じであるが、この規制では規制目的が達成できない場合実施される[22]。最大積載量は原則として2トン、3トン、4トンであるが、やむを得ない場合は1トンや0.5トン単位の端数とすることができる[22]
306 大型乗用自動車通行止め 大型乗用自動車等の通行を禁じる[22]。設置場所などは「大型貨物自動車等通行止め」に準じる[21]
307 二輪の自動車・原動機付自転車通行止め 二輪の自動車及び原動機付自転車(原付)の通行を禁じる[23]。立体交差やトンネル等で二輪や原付と他の自動車との混在走行が危険な場所、高速自動車国道等と接続している道路、カーブや急勾配が多い道路、暴走行為を防ぐ必要がある道路で設置される[23]
308 自転車以外の軽車両通行止め 自転車以外の軽車両の通行を禁止する場合に用いられる[24]
309 自転車通行止め 自転車を通行する場合に用いられる[24]
310 車両(組合せ)通行止め 標示板の記号によって表示される車両の通行を禁止する[24]。記号として用いることができる標識の図柄は(304)・(305)・(306)・(307)・(308)及び(309)である[24]
310の2 大型自動二輪車および普通自動二輪車二人乗り通行禁止 大型自動二輪車と普通自動二輪車(いずれも側車付きのものを除く)で運転者以外の者を乗車させることを禁止する[25]
310の3 タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め タイヤチェーンを取り付けていない車両の通行を禁止する。設置場所は規制する区域・区間・場所の前面のほか、それらの内部でも必要な場所に設置できる[26]
311 指定方向外進行禁止 矢印の方向以外への自動車の進行を禁止する[27]。分岐点の突端や障害物の前面などでは左下及び右下を示したF型の標識を設置する[28]。標識令で規定されているものは例示であり、道路の具体的な状況に応じて進行方向を示すことができ、さらに必要な場合は矢印の幅を変えることも可能[28]。標識に示す矢印の進行方向は原則として3までとし、必要性や視認性によっては4まで追加することもできる[28]
312 車両横断禁止 自動車の横断を禁止する(ただし、道路外の場所に出入するための左折しての横断を除く)[27]
313 転回禁止 車両の転回を禁止する。
314 追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止 車両が追越しのために道路の右側部分へはみ出すことを禁じる[29]。見通しのきかないカーブ、著しい勾配、幅員の著しい広狭がある場所、交通量の多い道路、高速自動車国道等の非分離2車線区間での規制が行われる[30]。ただし、30 km/h以下の最高速度規制が行われている道路では原則として実施してはならない[30]。必要に応じては道路の片方向のみの規制にしなければならない[31]。この規制は原則として道路標示によって行うものとし、規制の始点・終点は設置するが、区間内における標識は特に必要がない限り設置しない[31]
314の2 追越し禁止 車両の追越しを禁じる[29]。カーブや勾配、橋梁、トンネル、非舗装路などでの規制が想定されている[32]。「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の規制とは異なり、道路の左側部分の幅員に関係なく、道路の左側部分での追越しを禁じる[32]
315 駐停車禁止 駐車・停車をしてはならない(赤信号や危険防止のために一時停止する場合は除く)[33]
316 駐車禁止 駐車してはならない[34]
317 駐車余地 補助標識により指定されている道路右側の余地が取れない場所で駐車してはならない[34]。設置方法は補助標識として「駐車余地(317)」を附置する以外は「駐車禁止」に準じる[35]
318 時間制限駐車区間 時間を限って同一の車両が引き続き駐車できる区間と、その時間を表示する[36]。原則として駐車需要は路外駐車場によって満たすという考えの下であるが、短時間の駐車需要が多くかつ駐車によって安全に支障が出ない場合にこの規制を実施する[36]。引き続き駐車できる時間の長さはおおむね60分以内(最長でも120分以内)とする[36]。起点標識・終点標識を設置するほか、区間内標識は100 - 200 m間隔で設置する[37]。車両の駐車を終了すべき時間を表示するパーキングメーターがあるなら補助標識「駐車時間の制限」を附置する[37]。駐車方法の指定は「平行駐車」「直角駐車」「斜め駐車」の路面標示によって行われる[37]。1986年(昭和61年)11月15日に「駐車時間制限」の廃止と引き換えに新設された標識である[38]
319 危険物積載車両通行止め 道路法施行令第19条の13第1項各号に掲げる危険物(火薬類・爆発物・毒物・劇物など)を積載した車両の通行を禁止する[39][27]。この標識による規制が行われる区間は水底トンネルのほか、水際にあるトンネルで路面の高さが水面の高さ以下のトンネルや総延長5,000 m以上のトンネルである[39]関門国道トンネルなど爆発事故により甚大なダメージを受ける可能性がある場所での整備が急務とされ、1960年(昭和35年)に新設された[14]
320 重量制限 標識に表示される重量を超える重量の車両が通行することを禁止する[39]。道路法による道路ならば道路管理者が設置するが、それ以外の道路ならば公安委員会が設置する[39]。軸重および輪荷重を対象にした制限を行う場合は総重量に換算した上で標識を設置する[39]
321 高さ制限 標識に表示される高さを超える高さの車両が通行することを禁止する[39]。道路法による道路ならば道路管理者が設置するが、それ以外の道路ならば公安委員会が設置する[39]
322 最大幅 標識に表示される幅を超える幅の車両を通行することを禁止する[39]。設置者は道路管理者のみ[39]
323 最高速度
323の2 特定の種類の車両の最高速度
324 最低速度
325 自動車専用 この先が自動車専用道路または高速自動車国道(以下、自動車専用道路等)であることを示す[12]。自動車専用道路等に指定された道路の入口の路端に設置するほか、区間内で指定されていない道路との交差があった場合も設置しなければならない[40]。また、自動車専用道路等の出口においては終点標識を設置する(明らかに出口であることが分かる場合は省略可能)ほか、歩行者が侵入するのを防ぐために一方通行の出口の場合でも「車両進入禁止」と併設して設置しなければならない[41]
325の2 自転車専用 自転車道または道路全体における自転車以外の通行を禁じるために設置される[42]
325の3 自転車及び歩行者専用 自転車が歩道を通行できることを示すために設置されるほか、自転車以外の車両が通行できないことを示すためにも設置される[43]
325の4 歩行者専用 車両の通行を禁止し、併せて歩行者の通行方法に関する制限を解除する標識[44]。普通自転車に徐行義務を課して通行させる場合は補助標識「車両の種類」に「自転車を除く」と記載して設置する[44]
326 一方通行 標識が示す方向とは反対方向に車両が通行することを禁止する。車両が二方向に通行するには十分な幅員がない道路や踏切、変則又は多枝の交差点や側道・副道・ロータリーなど道路構造が特殊な場合、ランプウェイなどで車両を一方向のみに流す場合に規制が実施される[45]。一方通行の道路の入口では片側の路端に横向きの標識を設置するが、広幅員な道路などで視認性が確保できない場合は路端の両側での設置や、大型の標識板や両面設置で対応する[46]。「始まり」の補助標識を附置する場合、左側の路端に設置する場合は「→」を、右側の路端に設置する場合は「ここから」を表記とする[45]。ただし、一方通行の入口で道路構造から明らかに規制が行われていると分かる場合は入口の標識を省略できる[45]。道路交通状況に応じては縦向きの標識を用いる[45]。一方通行の規制が行われた道路が他の道路と交差する場合、その交差する道路の側で指定方向外進行禁止の規制が行われている場合は「一方通行」の標識を省略することができる[45]。一方通行の終点部では「車両進入禁止(303)」を設置するが、その標識の視認性が十分で一方通行規制があることが明確である場合には補助標識、または「一方通行」の標識そのものを省略することができる[45]
326の2 自転車一方通行 標識が示す方向とは反対方向に自転車が通行することを禁止する。自転車交通量が多く、自転車が相互通行することで交通事故のおそれがある場所に設置される[47]。原則として片側にのみ自転車道が設置されている場合は実施してはならない[47]。必要に応じて、横向きのものは両面式で設置し、縦向きのものはオーバーハング方式によって設置する[47]
327 車両通行区分 車両通行帯が設けられた道路で、車両の通行区分を指定して交通の安全・円滑を図ると同時に騒音や振動などの交通公害を防止する[48]。規制の終点には終点標識を設置するが、道路標示による場合は終点標識の設置を省略できる[49]
327の2 特定の種類の車両の通行区分
327の3 けん引自動車の高速自動車国道通行区分
327の4 専用通行帯
327の4の2 普通自転車専用通行帯
327の5 路線バス等優先通行帯 路線バスなどが近づいてきた場合は、それ以外の自動車は速やかに当該の通行帯から出なければならない(渋滞で路線バスが近づいても出られなくなる場合ははじめから当該の通行帯に入ってはならない)[50]
327の6 けん引自動車の自動車専用道路第一通行帯通行指定区間 車両通行帯が設けられた自動車専用道路の本線車道で、重けん引車をけん引している自動車が第一通行帯を通行しなければならないことを示す[51]。高速自動車国道と接続している場合でその法定の通行区分と斉一化を図る必要がある場合や、高速自動車国道と接続していない場合でも必要に応じて規制が実施される[51]
327の7 進行方向別通行区分 交差点で進行する方向ごとに路面標示によって車両通行帯が区分されているが、交通量が多く路面標示が見えなくなるなど必要に応じて標識が設置される[52]。軽車両には適用されない[53]。オーバーヘッド式で車線ごとに標識を設置するのが原則であり、やむを得ない場合は一体型の標識を設置する[52]。時間によって進めない方向がある交差点では可変標識を用いなければならない[52]
327の8 原動機付自転車の右折方法(二段階) この標識がある交差点では車両通行帯が3未満の場合でも原付は二段階右折しなければならない[54]。この標識による規制の対象となる交差点は交通量が多い、車両通行帯の指定されている道路と交差する、道路構造が特殊な場合であり、いずれの場合も信号機による交通整理が行われていなければならない[55]。原付が二段階右折しなければならない交差点の50 - 100 m手前の左側に設置する[55]。2以上の交差点で指定する必要が特に必要な場合、始点標識を起点の交差点の50 - 100 m手前に設置し、交差点ごとにこの標識を設け、終点標識は最後の交差点から5 - 30 m過ぎた場所に設置する[56]
327の9 原動機付自転車の右折方法(小回り) この標識がある交差点では車両通行帯が3以上の場合でも原付は小回り右折しなければならない[57]。この標識による規制の対象となる交差点は三差路などの交差点で二段階右折のための滞留スペースが確保できない場合、特殊な交差点で二段階右折に適さない場合、スクランブル交差点の場合であり、いずれも信号機による交通整理が行われていなければならない[58]。原付が小回り右折しなければならない交差点の50 -100 m手前の左側に設置する[58]。2以上の交差点で指定する必要が特に必要な場合は327の8と同様に区間で設置することが可能[58]
327の10 環状の交差点における右回り通行
327の11 平行駐車 非舗装道路などで必要において道路標示の設置が困難な場合など必要に応じてこれらの道路標識の設置を行う[59]
327の12 直角駐車
327の13 斜め駐車
328 警笛鳴らせ
328の2 警笛区間
329 徐行 徐行(すぐ停止できるような速度で進行)しなければならない[60]。区間の前後において補助標識「始まり」「終わり」を附置した標識を設置するほか、補助標識「距離」の「ここから〇〇 m」と表示した補助標識を附置して終点標識を省略することもできる[61]。更新または新設する場合は原則として英字併記にものを使用しなければならない[61]
329の2 前方優先道路
330 一時停止 この標識がある交差点では停止線の直前(停止線が無いならば交差点の直前)で一時停止し、交差する道路を走行する車両の進行を妨げてはならない[62]。赤色の点滅信号も同様の意味である[62]。この標識を補完するために停止線の1.0 - 3.0 m手前に「止まれ」の路面標示を設けると効果的に規制できる[11]
331 歩行者通行止め 歩行者の通行を禁止する。設置場所は規制の区間または場所における前面または道路の中央に設置される[25]。歩道の中央を設置する場合を除いて、歩行者の動線を考慮して視認性が確保できる場所に設置しなければならない[25]
332 歩行者横断禁止 1974年(昭和49年)10月30日から東京都内で平仮名で「わたるな」と書かれた補助標識が設置されることとなったが、同年6月6日に当時6歳の少女が自動車にはねられ死亡した事故で子供には分かりづらいという問題を遺族が提起したことによる[63]。この「わたるな」の補助標識は2018年3月現在で27府県で設置されていた[64]が、2019年5月に滋賀県大津市で園児ら16人が死傷する事故を受けて2020年3月27日から標識様式中の「横断禁止」を「わたるな」と記載できるようになった[65]

指示標識[編集]

指示標識
番号 名称 様式 備考
401 並進可 普通自転車が他の普通自転車と併進することを認める[66]。観光地などにおける道路で設置されることを想定している[66]。区間で設置する標識であり、区間内ではおおむね400 mの間隔で設置する[66]
402 軌道敷内通行可 軌道敷内の通行を認めることで当該道路の交通容量を増大させることをねらう[67]。軌道敷を通行できる自動車を限定させる場合は補助標識「車両の種類」を用いる[67]
402の2 高齢運転者等標章自動車駐車可
403 駐車可 駐車が禁止されている場所や道路の左側端以外の場所での駐車を可能とする[68]。こうした場所での貨物の積卸や人の乗降が多い道路で、かつ他の車両の通行の用に供する車道幅員が3.5 m以上確保できる場合に設置する[68]。区間で駐車可を設置する場合は起点標識・終点標識のほか、100 - 200 m間隔で区間内標識(「区間内」の補助標識は省略しない)を設置する[68]。対象車両を限定させる場合は「〇〇に限る」の補助標識を設置し、道路標示によって区画された枠内で駐車させる場合は「枠内に限る」などと表示した補助標識を設置する[68]
403の2 高齢運転者等標章自動車停車可
404 停車可 駐停車が禁止されている場所や道路の左側端以外の場所での停車を可能とする[69]。設置場所や設置方法は「駐車可(403)」に準ずる[69]
405 優先道路
406 中央線 中央線の位置を示す。積雪寒冷地などで特に道路の中央線の位置を示す必要がある場合に設置される[70]。また恒常的に中央線を遷移させる(道路の中央部以外を中央線として指定する)場合は必要に応じて交差点から5 - 30 mの地点にこの標識を設置するほか、日や時間に応じて中央線を遷移する(リバーシブルレーン)場合は可変標識で設置する[71]
406の2 停止線
407 横断歩道
407の2 自転車横断帯
407の3 横断歩道・自転車横断帯
408 安全地帯 島状の施設が設けられていない場合において道路標示による安全地帯が設置されるが、この場合道路標識もセットで設置する[72]
409 規制予告 標識に示されている交通規制が前方で実施されていることを予告する[27]。409-Aタイプでは規制予告の標識内には規制のもととなる規制標識もしくは指示標識が表示され、規制の詳細が併記される[73]。409-Bタイプは交通規制が行われている場所付近の地図を載せ、その地図内には迂回路となる道路を矢印で示す[73]。409-Aタイプのもので車両通行区分の規制に関するものと、409-Bタイプ全般はオーバーハング式またはオーバーヘッド式により設置する[73]

補助標識[編集]


現行の補助標識は要点を得ない・文字が小さい傾向であるため、漢字一文字で表記する(例えば「平日のみ」を指定する場合は「平」)ような改善が必要という意見がある[74]

施工[編集]

道路標識の施工は、一般的な土木工事の施工と共通する部分は多い[75]。しかし、供用中の道路で施工する為、交通安全や施工管理に注意を払う必要がある[75]。準備工、基礎工、支柱や標識板の設置、件さを経て管理者に引き渡される[76]

準備工で現地調査や埋設物調査、支柱・基礎の構造の照査を行い承認を得る[76]

現地調査においては近接する標識との関係を調べ、視認性や整合性の確認も行われる[77]

基礎工では土木工事としては小規模になるが、供用中の道路の路肩で施工を行わなければならないことや数か所に点在していことから条件が厳しくなることが多い[78]


案内標識を部分的に修正する際は、新しい標示板を既存の標示板の上に重ね、ドリルなどで直接穴を開けて、ボルト等によって固定する[79]。従来はブラインドリベットが用いられてきたが、経年劣化による落下事故を防ぐためにボルトや緩み止めナットを用いるのが望ましくなった[79]。なお、修正する部分の面積が大きくなると経年劣化による影響も大きくなるため、なるべく面積を小さく抑える方が良い[79]

維持管理[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 尾島俊雄・高橋信之 2001, p. 10.
  2. ^ 尾島俊雄・高橋信之 2001, pp. 12–13.
  3. ^ 尾島俊雄・高橋信之 2001, p. 13.
  4. ^ a b 尾島俊雄・高橋信之 2001, p. 19.
  5. ^ 道路交通執務研究会・野下文生 2015, p. 50.
  6. ^ a b c d 勝又薫 2008, p. 8.
  7. ^ 本田弘之・岩田一成・倉林英男 2017, pp. 55–56.
  8. ^ 本田弘之・岩田一成・倉林英男 2017, pp. 56–57.
  9. ^ 本田弘之・岩田一成・倉林英男 2017, pp. 49–50.
  10. ^ 本田弘之・岩田一成・倉林英男 2017, p. 63.
  11. ^ a b 交通工学研究会 2018, p. 46.
  12. ^ a b c d e f こんな道路標識知っていますか?”. 国土交通省道路局. 2020年4月15日閲覧。
  13. ^ 交通工学研究会 2018, p. 234.
  14. ^ a b 浅井新一郎 1960, p. 397.
  15. ^ 交通工学研究会 2018, p. 170.
  16. ^ 全標協 2019, p. 199, I.
  17. ^ 警察庁 2020, p. 50.
  18. ^ 警察庁 2020, p. 57.
  19. ^ 似ている道路標識のおさらい|自動車保険のアクサダイレクト”. アクサダイレクト. 2020年4月15日閲覧。
  20. ^ a b 警察庁 2020, p. 51.
  21. ^ a b c d 警察庁 2020, p. 52.
  22. ^ a b c d 警察庁 2020, p. 53.
  23. ^ a b 警察庁 2020, p. 54.
  24. ^ a b c d 全標協 2019, p. 203, I.
  25. ^ a b c 全標協 2019, p. 205, I.
  26. ^ 全標協 2019, p. 208, I.
  27. ^ a b c d 全日本交通安全協会 2019, p. 94.
  28. ^ a b c 全標協 2019, p. 216, I.
  29. ^ a b 全日本交通安全協会 2019, p. 64.
  30. ^ a b 警察庁 2018, p. 87.
  31. ^ a b 警察庁 2018, p. 88.
  32. ^ a b 警察庁 2018, p. 89.
  33. ^ 全日本交通安全協会 2019, p. 67.
  34. ^ a b 全日本交通安全協会 2019, p. 68.
  35. ^ 警察庁 2018, p. 157.
  36. ^ a b c 警察庁 2018, p. 155.
  37. ^ a b c 警察庁 2018, p. 156.
  38. ^ 警察庁交通局交通企画課 1986, pp. 76–77.
  39. ^ a b c d e f g h i 全標協 2019, p. 218, I.
  40. ^ 全標協 2019, pp. 208–209, I.
  41. ^ 全標協 2019, p. 209, I.
  42. ^ 浅野信二郎 1970, pp. 6–7.
  43. ^ 浅野信二郎 1970, p. 7.
  44. ^ a b 全標協 2019, p. 210, I.
  45. ^ a b c d e f 警察庁 2018, p. 64.
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  64. ^ 八木拓郎 (2020年1月21日). “横断禁止標識に「わたるな」 子どものために平仮名で”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASN1P6KRMN1PUTIL038.html 2020年4月15日閲覧。 
  65. ^ 道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部を改正する命令等の制定及び一部の施行について(通達)』警察庁交通局、2020年3月27日https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20200327-1.pdf2020年6月13日閲覧 
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参考文献[編集]

書籍

  • 尾島俊雄・高橋信之『都市と車の共生』早稲田大学出版部、2001年1月15日。 
  • 道路交通執務研究会(編)、野下文生『執務資料道路交通法解説』(16-2訂版)東京法令出版、2015年2月27日。ISBN 978-4-8090-1322-5 
  • 日本道路協会『附属物(標識・照明)点検必携 ~標識・照明施設の点検に関する参考資料~』(初版)丸善出版、2017年7月10日。ISBN 978-4-88950-134-6 
  • 本田弘之・岩田一成・倉林英男『街の鋼橋サインを点検する 外国人にはどう見えるか』大修館書店、2017年8月10日。ISBN 978-4-469-21365-2 
  • 交通工学研究会『平面交差の計画と設計 基礎編 -計画・設計・交通信号制御の手引-』丸善出版、2018年11月15日。ISBN 978-4-905990-89-5 
  • 警察庁交通局『交通規制基準』(PDF)警察庁、2018年12月14日https://www.npa.go.jp/laws/notification/koutuu/kisei/kisei20181214-2.pdf 
  • 『わかる 身につく 交通教本』(第9改訂版)全日本交通安全協会、2019年4月1日。 
  • 『道路標識ハンドブック』(2019年度版)全国道路標識・標示業協会、2019年7月。 

記事

  • 浅井新一郎「道路標識令とその一部改正について」『道路』1960年、396-398頁。 
  • 浅野信二郎「道路交通法の改正について」『交通工学』第5巻第6号、1970年、3-9頁。 
  • 警察庁交通局交通企画課「道路交通法施行規則及び道路標識、区画線及び道路標示に関する命令の一部改正解説」『月刊交通』第17巻第12号、1986年12月、69-81頁。 
  • 上坂克巳「道路標識・標示に関する一考察」『月刊交通』第22巻第7号、1991年12月、78-93頁。 
  • 勝又薫「交通規制概論」『月刊交通』第39巻第7号、2008年7月、3-10頁。