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利用者:132人目/コンパクト (数学)

数学において、位相空間がコンパクトであるとは、任意の開被覆に対し必ず有限部分開被覆が存在することをいう。

概要

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ユークリッド空間の部分集合がコンパクトであることは、点列コンパクトであること、有界閉集合であることと同値である。そして、この性質は最大値の定理など基本的で重要な定理を多く導くことができる。しかし、ユークリッド空間に限らず一般的な空間である位相空間においてでさえ、コンパクト性によって最大値の定理が示される。

すなわちユークリッド空間において基本的と思われていた定理は、実はコンパクトな位相空間という条件が緩い空間における定理であり、その一例としてユークリッド空間という特殊な空間があると考えることもできる。コンパクトであるという条件があれば、ユークリッド空間より遙かに対象が広い概念である位相空間というものを扱っているにも関わらず、ユークリッド空間に似た性質を備えることができのである。それゆえに、このコンパクトという概念は本質的であり、とても重要な概念といえる。

定義

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コンパクト性

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位相空間 M の任意の開被覆に対し細分として有限部分開被覆がとれるとき、 Mコンパクト(compact)であるという。

有限交叉性

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位相空間 M の部分集合族 N から有限個の元 S1, … SnN を任意に取るとき、常に 共通部分 S1, ∩ … ∩ Snにならない場合、 N有限交叉性(finite intersection property) を持つという。

位相空間 M の、有限交叉性を持つ任意の閉部分集合族 N に対し、 N に属する全ての部分集合の共通部分が空でないという事と、 M がコンパクトであることとは同値である。

これは、 コンパクト性の定義を双対的に言い換えただけのものである。

いろいろなコンパクト性

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コンパクトの定義では、細分を有限部分開被覆としたが、細分に課す条件をいろいろ取り替えることにより、コンパクトに近い性質をいろいろ定義できる。

  1. 細分として局所有限開被覆が取れるとき、 Mパラコンパクト(paracompact) であるという。
  2. 細分として星形有限開被覆が取れるとき、 M強パラコンパクト(strongly paracompact) であるという。
  3. 細分として可算有限開被覆が取れるとき、 Mリンデレーフ空間(Lindelof space) であるという。

条件を弱めたコンパクト性

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任意の可算開被覆に対し有限部分開被覆が取れるとき、 M可算コンパクト(countable compact) であるという。

任意の点 aM に対し、 a近傍 U で、 その閉包 Cl(U) がコンパクトであるとき、 M局所コンパクト(locally compact) であるという。

M が可算個のコンパクト集合の和であるとき、 Mσ コンパクト(σ-compact) であるという。

M の任意の点列が収束部分列をもつとき、 M点列コンパクト(sequentially compact) という。

M 上で定義された任意の実数値連続関数が有界となるとき擬コンパクト(pseudocompact) という。

コンパクト化

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位相空間がコンパクトでないときでも、コンパクトな位相空間に埋め込むことによって、コンパクト性を持たせることがしばしば行われる。このようにコンパクトな位相空間に埋め込むことを位相空間のコンパクト化(compactification) という。


性質

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M が 局所コンパクトなハウスドルフ空間であれば、 M に含まれない 1点 を付け加えることでコンパクト化ができる。