利用者:132人目/1の分割
1の分割(partition of unity) あるいは単位の分割とは、位相空間上に定義される定数関数を、開被覆に従って分割する手法のことである。
概要
[編集]多様体のように局所座標系を貼り合わせて定義される位相空間において、その上で定義される関数やテンソルなどを用いるとき、関数やテンソルを局所座標系ごとに切り分けて扱えると、便利なことが多い。この切り分け方の 1つが、1の分割と呼ばれる手法である。
位相空間 X の開被覆 U = {Uk|k ∈ A} を取り、 X 上で定義された関数 f(x) の値を、それぞれの Uk 上では fk(x) という関数を用いて表すことを考える。 p ∈ X に対して、p ∈ Uk となる Uk が、1つしかない場合は、
- fk(p) = f(p)
と定義して問題無いが、p ∈ U1 ∩ U2 のように、2つの異なる近傍系の共通部分に入っているような場合は、
- f1(p) + f2(p) = f(p)
のように、 f(p) の値を f1(p) と f2(p) の値に分けるようにしたい。 3つ以上の近傍系が重なっている点でも、同様にそれぞれの関数 fk に分配したいというのが問題である。。
もし、こういった関数の組 {fk|k ∈ A} があれば、例えば、それぞれの Uk 上での積分を局所的に定義することにより、それらの和として X 全体での積分を与えることができたりする。
X 上の定数関数 f(x) ≡ 1 に対して、このような関数の組 {fk|k ∈ A} を与えることを 1の分割という。
定数関数 f(x) ≡ 1 に対してできていれば、f(x) が定数ではなく、もっと一般の関数を考える場合にも、 f(x) = 1 * f(x) という積を考えるなどして、1 の分割を行えば十分なことが多い。
多様体上の問題を局所的な Uk 上の問題にして考えたり、逆に、ユークリッド空間上で示されている定理を、各 Uk 上で考えて、X 全体の大域的な性質として拡張したい場合などに、このような 1の分割が威力を発揮することが多く、強力な道具の 1つとして用いられている。
定義
[編集]位相空間 X に対し、局所有限な開被覆 {Uk|k ∈ A} と、X 上に定義された連続関数の組 {fk|k ∈ A} があるとする。 A は添字の集合である。
関数 f の値が 0 ではない点の集合 S(f) = {p∈X|f(p)≠0} の閉包
- supp(f) := S(f)
を f の台という。
- supp(fk) ⊂ Uk
- 0 ≤ fk ≤ 1
を満たすとき、 {fk|k ∈ A} を、{Uk|k ∈ A} に従属する 1の分割という。
- fk は連続関数としたが、必要に応じて微分可能性を付け加える。