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利用者:Abukuma

  • 天津神と国津神
    1. ムスヒ・・・天降り神話を持ち、朝鮮三國の支配者起源神話と同系の神話の担い手。少数派ながら組織力、軍事力にすぐれて、土着勢力を取り込んでいく
    2. オオナムチ(土着勢力)イザナギ、イザナミ、スサノオ、ヒルメ、ヤマツミ、ワタツミ
      1. 「全国に残る神話や伝承、また神社の祭神を見ると圧倒的にオオナムチ系によって占められとり」
    3. 国津神の分化
      1. 天孫 天皇と同じ天の神で、すでに大和に住んでいる。
      2. 天神 天皇家と同じ征服者として先発隊として、天からくる。
      3. 地神 土着の集団であるが、天孫族に協力して征服を助ける。またはその支配を受け入れる。
  • 臣連制
  1. 雄略天皇の時から確認できる 稲荷山鉄剣 尊称としての表音仮名として二文字「意美」から制度的な姓(爵位)としての表意漢字としての一文字「臣」
  2. 臣、連に「上下尊卑関係はない」「身分、職掌の序列ではない」「氏族の自出こそが明らかにその類別の原理なのである。」
  3. ヤマト政権における組織化の原理は身分の上下や職掌の別ではなく、大王家との政治的親疎関係であり、それを当時の人々は血統の自出の差と受け取る
  4. 姓制度の実態は、大王家との政治的親疎関係の区別による氏の組織化
  1. 日本の古代氏族系譜の成立(弘仁私記序)
    1. 「天平勝宝以前は天下諸氏は一代毎に「本系(氏族系譜)」を朝廷に提出していた。」
    2. 「この制度の発端は允恭天皇による氏姓の正定にあり」
  2. 古代氏族系譜の目的
    1. 「姓制度の維持」
    2. 「現在の事故の朝廷内における地位を根拠づけるため」(365ページ)
    3. 「大和朝廷からの要請により義務的に作られてたもの、つまり私的な産物でなく、公的な産物だということになる。」
  3. 古代氏族系譜の体系性と構造
    1. 重層的(共同始祖を持つ)
    2. 神話伝説上の始祖
    3. 氏姓、職掌の起源
    4. 奉仕形式の文章
    5. 「日本の古代氏族系譜は始めからきっちりと体系化されているのである。その体系化とは、一般にもよく知られている、天皇系譜を一本の幹として全ての氏々をそれぞれその枝葉をなす系列のもとに収めている氏族系譜の構造のことである」
  4. 古代氏族系譜の時代区分
    1. 応神天皇朝前後で変化
      1. 共同系譜から単独系譜への変化
      2. 人名の変化、称号的なものから個人名的なものへ
      3. 尊称としての「命」の有無
      4. 通婚の範囲が同族内に限られる
      5. 国造任命期は仁徳天皇まで120例、以降は5例
      6. 変化は人名語尾ばかりでなく表記仮名の特徴や、言葉の意味用法などから区別できる
    2. 天皇系譜でも同じ変化
    3. 崇神天皇前後での変化(区分)
      1. 系譜が4系統に分かれる(別祖)分祖
      2. 国造本記や風土記の起源伝承が開化天皇以前にはほとんど見られない(1例のみ)
  5. 応神天皇朝以前の神人名の伝承性と規則性
    1. 応神以前の神人名は4世紀以前の時代から伝えられてきた貴重な文化遺産[1]
    2. 「系譜の人名、神名を土器のように扱う、形式的に分類してその分布を見る」
    3. 語尾に尊称が重複する(ネ、ミ、モリ、ヌシ、コリ、タラシ、ヒコ、ヒメ、ワケ、ヒ、オ)➕(命か神か尊)
    4. キミやヌシは新しい尊称、古くはワケやウシ、さらに古くはミコやオ(シ)
    5. 2字または3字の語尾は1字の語尾よりも新しい概念、派生されたもの、代表的なもの
      1. ネからネコ、タリネ(スクネ)、ヒコネ
      2. ミからオミ、キミ、ツミ、スミ、トミ(トメ)、ヒミ(ヒメ)
      3. ヒからヒコ、ヒメ、アビコ
      4. オからオミ、オシ(ウシ)
      5. ベからトベ、トミ
      6. キからキミ、
      7. チからモチ、マチ、ムチ
    6. 男女別の尊称
      1. キとミ(渡来系)
      2. オとメ(土着系)
      3. ヒキとヒミ(天孫系)からヒコとヒメへ
    7. カリスマに対する尊称
      1. 軍事(英雄)カリスマに対する「ネ」と「ヒ(コ)」
      2. 呪術カリスマに対する「ミ」と「ヒメ」、新しくは「ヌシ」
      3. 呪物的カリスマとしての「チ(ジ)」
      4. カリスマの第1人者に対する尊称としての「ミミ」や「オホネ」
      5. 軍事カリスマの長官と副官の区別としての「オホネ(大将)」と「スクネ(少将)」
    8. 天孫系と地神系の区別
      1. 「ヒ」と「ネ」
        1. 「ミ・ネ型は地神祇系の氏の伝承上の先祖名の主要なタイプ」(357ページ)「天神、天孫系の系譜にも広く濃密に分布している。」
      2. 「ヒコ」「ヒミ」と「オ」「ヂ」
    9. 姓「ワケ」の時代区分
      1. 応神以前60例、履中以降6例
  6. 稲荷山鉄剣 雄略天皇期 500年
    1. 上祖オオビコがまだ大王の系譜につながっていない(まだ天皇系譜は成立していない)
    2. 氏姓の表示がない
    3. 氏名の起源が見られない
  • ネコ(根子、根古、泥古、袮古、禰古)
呼び名 漢字名 地名 神社 文献
ヤマトネコ 大和根子

倭根子

オホタダネコ 意富多々泥古 河辺郡多田庄 多大神社
ヤマシロネコ 山背根子
ナニハネコ 難波根子
ミツイネコ 三井根子
  • タラシ、タリ、タル(応神以前の人名、」「応神より以降は孝徳朝に至るまで、「タラシ、タリ、タル」を含む人物が一人も登場しない」(塚口義信「大帯日比売考」注63
    • ミやネの「首長の称号の形容語として使われたもの」(363ページ)
呼び名 漢字名 時代 神社 文献
カツラギタルミ 葛城垂見宿禰 開化記
オホツツキタリネ 大筒木垂根 開化記
タケオシヤマタリネ 建忍山垂根 成務記
ヨサミアビコタルミ 依網吾彦男垂見 神功皇后
シマタリネ 嶋垂根 応神

タダ 田々 タダヒコ、オタダタリネ

  1. ^ 溝口睦子 著「日本古代氏族系譜の成立」 学習院学術研究叢書9. 学習院, 1982、351ページ