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利用者:Akaniji/糖度

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ブドウの糖度測定(屈折率計)
屈折率計による糖度測定

糖度(とうど)は、対象に含まれる糖類含量の目安となる指標を言い、一般に屈折率比重に基づく糖度計(sugar scale)による測定値を指す[1]。屈折率や比重は糖類以外の溶質でも変動することがあるため、混合物によっては、糖度は必ずしも糖類含量と相関しない。そもそもはワイン原料ブドウ成熟度の目安として考案されたものであり、ブリックス度、バリング度、エクスレ度、ボーメ度など地域によって異なる指標が用いられている[2]

屈折率に基づく糖度[編集]

デジタル糖度計の一種(屈折率計)

日本では屈折率に基づく糖度ブリックス度Brix degree)が多く用いられる。ブリックス度は、水溶液の屈折率が糖類の多寡により変動することを利用した指標であり、純粋なショ糖水溶液の屈折率を、そのショ糖濃度(wt%)と等しくなるように換算して定義された値である。例えば、純粋な10 % (w/w) ショ糖水溶液の屈折率は 1.040 であり、換算によりブリックス度は 10°Bx となる。屈折率によって糖類含量を把握する指標自体はBalling (1835年) による発案で[3]、当時は測定温度が 17.5℃であった。これを 15.5℃に変更して一般化したのがBrix (1854年) であり[3]、その後さらに 20℃に変更された。

バリング度もアフリカなど一部の地域では現役の糖度として用いられている。

比重に基づく糖度[編集]

エクスレ度測定用の浮秤(比重計)

ボーメ度[編集]

ワイン原料ブドウの糖度としてはこちらの方が歴史は古い。18世紀、フランスのBaumé(1768年)によってボーメ度が考案された。ボーメ度はブドウの糖が全てアルコール発酵した場合のアルコール濃度とほぼ等しくなるように設定された糖度であり、浮秤で測定される。比重は糖でなくとも変動するため、ボーメ度測定の浮秤は塩化ナトリウム水溶液によって定義・校正される。例えば、完全発酵してアルコール度が11度になることが予測される糖類含量のブドウのボーメ度は11°Bé であり、その比重は1.082、この比重になる塩化ナトリウム濃度は 11 %、同じ比重のショ糖水溶液の屈折率から導かれるブリックス度は20°Bxに相当する。

ボーメ度(°Bé)= 145 - 145/(D/Do)
(D: 華氏60度における試料溶液の比重。Do: 華氏60度における水の比重)[4]

エクスレ度[編集]

エクスレ度(Oechsle degree)は、ワイン原料ブドウの糖類含量を把握するための指標で、Oechsle (1836年) によって1820年代に考案された。尺度は比重に基づくもので、比重 1.100 のブドウ果汁のエクスレ度は 100°Oe であり、比重 1.150 のブドウ果汁のエクスレ度は 150°Oe である。ドイツで用いられている。比重からショ糖濃度への変換は次の式で行う。

ショ糖濃度(g/L)= (D-1) x 2000/16
(D: 比重)

旋光度に基づく糖度[編集]

国際糖度[編集]

屈折率に基づくために糖類以外の溶質を拾ってしまう問題があるため、旋光度に基づく国際糖度が定義されている。…。

測定の特異性[編集]

以上のように、糖類含量をより特異的に測定するために比重、屈折率、旋光度と、様々な方法が検討されてきた。近年では近赤外線分光法と呼ばれる手法を用いたものも考案されている。分子の官能基は、官能基の種類によってそれぞれ異なる波長の近赤外光を吸収する性質を持っている。ショ糖が吸収する波長の、透過性の高い近赤外光を果実に照射して光の吸収度合いを測定し、それをショ糖濃度として読み取れるようにしたものである。この方法では、透過性に優れた近赤外光を果実にそのまま照射するため、果汁を取り出す必要のない非破壊測定が可能であるというメリットがある。分光技術の発展から、携帯可能なサイズにまで小型化が進んでいる。

日本の法規制[編集]

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糖類含量が高ければその分水分活性が低下するため、保存料に頼らずとも微生物の繁殖を抑制できる。従って、日本では各種食品の糖度に応じて法規制を敷いている。

果実・果汁[編集]

ジャム類[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ここでは朝倉書店(2009)に準じ、「糖度計による示度」を定義とする。
  2. ^ Boultonら 1996、Ribereau-Gayonら 2001。
  3. ^ a b Hull 2010:6
  4. ^ Kearsley・Dziedzic 1995:132

参考文献[編集]

  • 朝倉書店、2009、「糖度」『栄養・生化学辞典』コトバンク、(2012年10月14日取得、http://kotobank.jp/word/%E7%B3%96%E5%BA%A6 )。
  • Boulton, R. B/Singleton, V. L/Bisson, L. F/Kunkee, R. E、1996、『Principles and practices of Winemaking』Chapman & Hall(ニューヨーク)。
  • Hornsey, Ian、2007、『The Chemistry and Biology of Winemaking』英国王立化学会、ISBN 978-0-85404-266-1
  • Hull, Peter、2010、『Glucose Syrups: Technology and Applications』John Wiley & Sons、ISBN 9781405175562
  • Kearsley, M. W/Dziedzic, S. Z、1995、『Handbook of Starch Hydrolysis Products and Their Derivatives』Springer、ISBN 9780751402698
  • Oechsle, Christian Ferdinand、1836、『Über den Gebrauch der Most- und Weinwaage』。
  • Ribereau-Gayon, P/Dubourdieu, D/Doneche, B/Lonvaud, A、2001、「The Grape and its Maturation」『Handbook of Enology, Volume 1, The Microbiology of Wine and Vinifications』John Wiley & Sons社、219~268ページ。

関連項目[編集]