利用者:Akaniji/Wikipedia:出典を模倣しない
この文書の要旨:
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ウィキペディアは著作権の束縛のない自作の文面を持ち寄るのが原則であり、著作権で保護された原典のコピーはしないのが原則です。ではコピーでなければ、少し書き換えれば大丈夫かというと、そうではありません。「ですます調」を「である調」に書き換える等の軽微変更では複製とみなされます。軽微でなくとも、著作権を侵害しないように表現を変えたとしても、創作性のない部分のみを転記したとしても、原典の商品価値をなす主要部分を取込んで、原典と競合することは、不正競争にあたり、原典の営業上の利益を侵害し、創作投資意欲の減退を招き、社会的な不利益をもたらすものとして、不法行為に問われます。原典の成果にただ乗りするのではなく、自由競争の原理に則り、自分で新しく書き起こすのが肝心です。著作権が情報自体を保護しないのは確かにそのとおりですが、知財を保護する法令は著作権法だけではないのです。
著作権法以外の知財保護法
[編集]民法第709条「不法行為」
[編集]米国「」
[編集]サーバーのある米国の法令も、…。
EU「データベース権」
[編集]原典の著作者がEU内の国民だと、その文献はデータベース権で保護されています。
コピーでなくとも知財権の侵害となる例
[編集]軽微変更は複製とみなされる
[編集]- 例
- 「ですます調」を「である調」に書き換えても、複製の域を出ません。
営業上の利益を侵害すると、不法行為に問われる
[編集]- 例
- 章節順が、原典の目次の順序そのまま。営業上の利益侵害の程度によっては、不法行為に問われます。
major update構想
- はじめに:コピペ=無断転載→著作権侵害。「詳細はWikipedia:原典のコピーはしないを参照」とする。そして「ではコピーしなければ、少し書き換えれば大丈夫かというと、そうではありません」と続ける。知財を保護する法令は著作権法だけではありません。民法第709条の不法行為。不正競争防止法の「デッドコピー」(模倣)。米国連邦法(?)。
- だめな模倣一覧
- 字句変更等軽微変更=無断転載→著作権侵害→損害賠償等
- 例:「ですます調」→「である調」
- 情報のみ抽出するも、模倣顕著→営業上の利益侵害=不法行為→損害賠償等
- 例:章節順が、原典の目次の順序そのまま。←これがこの文書のメイン・ターゲット。
- 字句変更等軽微変更=無断転載→著作権侵害→損害賠償等
- どうすればいいか
- 百科事典風の文体・レイアウトに書き換えることの大切さ=出典の「模倣」を免れる
- 複数の文献を参照する:特定の文献に特有の情報だと、不法行為を問われる可能性がある。
- 複数の文献に同一の情報があることを示せれば、原典における情報自体の固有性を否定でき、不法行為の成立を難しくできる。
- 原著文献を参照する。原著文献の参照の仕方が解説文献と一緒だと、意味ないけど。
- 過去に学ぶ
- 判例に学ぶ(原典の創作性は否定されるも損害賠償命令に至った判例)
- 通勤大学法律コース事件
- ヨミウリ・オンライン事件
- (EUにおけるsui generis権(データベース権)侵害による損害賠償命令)
- (米国における不法行為による損害賠償命令)
- 削除事例に学ぶ
- 未成線事件
- 判例に学ぶ(原典の創作性は否定されるも損害賠償命令に至った判例)
- 脚注
- 参考文献
- 関連項目
なお、不正競争防止法の「商品形態模倣行為」からは、出版物は除外されています[1]。
ウィキペディアの記事を執筆する際、ひとつの出典に依拠しすぎないようにしましょう。著作権法が情報自体を保護しないのは確かにその通りですが、知的財産を保護する法律は著作権法だけではないのです。ひとつの出典から書きすぎると、その出典書籍の売上たる「営業上の利益」に悪影響を及ぼし、民法第709条の不法行為に抵触し、損害賠償のおそれが発生します。
まずい例
[編集]どうすればいいか
[編集]「この件に関しては山田(2010年、77頁)に詳しい。詳細は掲書を参照されたい。」と概要のみに留め、詳細は書き写さなければよいのです。読者に勉強の道筋を与えられる。それで十分ではありませんか。
例
[編集]現実世界の判例解説
[編集]通勤大学法律コース事件
[編集]法律書の転載案件。1991年~2002年に書かれた書籍3冊を元に、2002年の3冊に盗用されたと訴えた。3冊とも創作性が否定され、著作権侵害は認められなかった。1991年の書籍は古く、営業上の利益に悪影響を及ぼしていないとして、不法行為の成立は否定された。一方、他2冊については、出版からわずか数ヶ月後の盗作ということで、営業上の利益への悪影響が認定され、不法行為にあたると判示された。[2]
ヨミウリ・オンライン事件
[編集]読売新聞サイトの新聞記事見出し転載・直リンク案件。見出し自体の創作性は否定されたが、見出し掲載サービスによって読売新聞社が本来得ていたはずの「営業上の利益」(ライントピックスと類似のサービスを提供していたYahooはライセンス料を支払っていた)を損なったとして、不法行為が認定された。[3]
ウィキペディアでの削除審議例解説
[編集]未成線デッドコピー事件
[編集]古い本ですので、営業上の利益を侵害した、という主張は通らないでしょう。となれば、あとは創作性があるかどうか。したがって、本削除は、不法行為への懸念ではなく、著作権的侵害への懸念によって執行されたものです。編集著作物かどうかの判断を保留すると述べられてはいますが、「営業上の利益」を論拠にしていない以上、実質的には創作性を認定し、著作権の侵害であるという判断がなされたものと考えられます。
ノンフィクション戦記物デッドコピー案件
[編集]Wikipedia:井戸端/subj/書籍のプロット・シチュエーションを記事とすること。著作権の切れた画像についての扱い。
ノンフィクション戦記物に登場する歴史上の人物に関する人物記事作成。書籍を出どころとして報知的抄録しすぎて(ひとつの出典から書きすぎて)、新刊書籍の営業上の利益を侵害する可能性が懸念されました。原作者からの訴えもあり[1]、投稿者により即時削除依頼が提出されました。ただし、新刊書ではないので、削除する必要はないのではないか、という指摘もありました。
脚注
[編集]- ^ 日本書籍出版協会(2002年4月)『第1分科会報告書 出版者の権利について』26頁、2010年8月7日閲覧。
- ^ 山根崇邦(2007年)「判例研究 著作権侵害が認められない場合における一般不法行為の成否 通勤大学法律コース事件 知財高判平成18年3月15日平成17(ネ)10095等最高裁HP 原審:東京地判平成17年5月17日判時1950号147頁」『知的財産法政策学研究』18巻221頁
- ^ 山本隆司、井奈波朋子(2008年)『創作性のない表現をデッドコピーした場合における不法行為成立の可否』インフォテック法律事務所、2010年8月1日閲覧。
- ^ katamachi(2010年6月16日)「10年前に僕が作成した鉄道未成線資料400件がそのままWikipediaにパクられた話」『とれいん工房の汽車旅12ヵ月』2010年8月1日閲覧。