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利用者:Anonymous Powered/モウセンゴケ属

モウセンゴケ属
ハエを捕らえたイシモチソウ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ウツボカズラ目 Nepenthales
: モウセンゴケ科 Droseraceae
: モウセンゴケ属 Drosera
学名
Drosera L.
和名
モウセンゴケ属(毛氈苔属)

モウセンゴケ属(毛氈苔属、Drosera)は、ウツボカズラ目モウセンゴケ科に属する食虫植物の一属であり、湿原に多く生育する草本である。特徴として、葉の縁および表面に粘液滴を持つ腺毛を持ち、ハエなどの小型の昆虫を捕らえて栄養源とすることで、栄養分に乏しい酸性土壌である湿原に適応している。英語名は、葉の形と粘液滴を見立ててen:Sundew(太陽の露)、学名droseraは、ギリシャ語で「露」をあらわすdrososが語源となっている。また、日本語モウセンゴケは、群生地での赤い色で毛羽立った葉を緋毛氈に見立てたものである。

特徴

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本属の植物は、他の植物との競争が少ない、湿原等の酸性度が高く貧栄養の環境に適応する。形態は小型のロゼット状のまま成熟する種から、大型種では抽苔して数十cm程度の高さとなる種がある。さじ形、倒卵形等の葉の縁から表面にかけて腺毛を持ち、その先端はねばねばした粘液に覆われる。腺毛は昆虫などの小動物を粘りつけると同時に、腺毛や葉は湾曲を始め、包み込む形の傾性運動により獲物を巻き込んでいく。捕獲された小動物は、続いて分泌される各種の消化酵素により分解され、植物の栄養源となる。 傾性運動はモウセンゴケ科の他属であるムジナモ属ハエトリグサ属と共通するが、それに加えてねばねばした腺毛により小動物を効率的に捕獲するのは本属の大きな特徴のひとつである。

葉のメカニズムと捕獲機序

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成熟した葉に密生する腺毛の先端はややふくらみ、その細胞の隙間から粘液と消化酵素を分泌する。表面はクチクラ層で覆われているため、消化酵素による自己消化を防いでいる。

腺毛や葉を湾曲させ、獲物を包み込む傾性運動は、腺毛の先端の細胞群の刺激により生じた電位差の伝播により、柄の細胞群の膨圧の勾配が作られる一方、植物ホルモンであるインドール酢酸(オーキシン)による細胞の急速な伸張により起きる。腺毛の湾曲は10分-15分、やや遅れて葉身の湾曲は15-20分で終了し、獲物を抱え込む。以後、分泌細胞群が強い酸性の分泌液と、酸性条件下で強い活性を持つパーオキシダーゼエステラーゼ酸性フォスファターゼプロテアーゼ等の消化酵素を分泌し、獲物の分解が起きる。

栄養分の吸収は腺毛から行われる。ダーウィンは「植物の運動性」に強く興味を持ち、本属(モウセンゴケ)の研究を行っている。例として、葉の上に各種の物質を滴下した結果、タンパク質やアミノ酸に強く反応が見られることが確認されている[1]

ダーウィンの文献内に描かれたモウセンゴケのイラスト

生態

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他の植物との競争が少ない、栄養に乏しく酸性度が高い湿地に多く生育する。多くは一年草であるが、宿根するもの、ロゼットで冬越しするものもある。

分布と分類

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南極大陸を除く全世界的に分布する。170種以上が知られており、その半数近くがオーストラリアに分布する。

日本に分布する種

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北海道東北地方の冷涼な山地から南西諸島まで、日本全国の湿原・湿地に10種ほどが広く自生する。

  • Drosera rotundifolia モウセンゴケ
  • Drosera anglica Huds. ナガバノモウセンゴケ
  • Drosera binata Labill. サスマタモウセンゴケ
  • Drosera burmannii Vahl クルマバモウセンゴケ
  • Drosera indica L. ナガバノイシモチソウ
  • Drosera indica L. f. albiflora Makino シロバナナガバノイシモチソウ
  • Drosera pedata Pers. ヨツマタモウセンゴケ
  • Drosera peltata Thunb. イシモチソウ
  • Drosera spathulata Labill. コモウセンゴケ
  • Drosera tokaiensis (Komiya et C.Shibata) T.Nakam. et K.Ueda トウカイコモウセンゴケ

日本国外に分布する種

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日本国以外に分布する主な種を記す。

  • Drosera glanduligera 傾性運動が高速で起きることが確認されている。[2]


利用

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薬用および観賞用として利用されている。

脚注

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  1. ^ INSECTIVOROUS PLANTS The Complete Work of Charles Darwin Online, C. Darwin (1875)
  2. ^ Hartmeyer, I. & Hartmeyer, S., (2005) Drosera glanduligera: Der Sonnentau mit "Schnapp-Tentakeln", DAS TAUBLATT (GFP) 2005/2: 34-38

関連項目

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参考文献

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  • 近藤勝彦, 近藤誠宏「カラー版 食虫植物図鑑」家の光協会 2006年: ISBN-10: 4259561553

外部リンク

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