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利用者:BSscdd/利用者‐会話:BSscdd/ABC予想の改稿案2

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望月新一の試み  ~ たし算とかけ算を分離する手法

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京都大学数理解析研究所教授の望月新一は、ABC予想を証明するためには「数学の世界に混ざり合うように存在しているたし算とかけ算を分離する必要がある[1]」考察により、「かけ算は成立するけど、たし算が成立しない数学世界(舞台)を作ることで、たし算とかけ算を独立して扱う」考え方を出発点とする宇宙際タイヒミュラー理論(IUT)[2]によるABC予想の証明を提案[3]した。

望月は、ABC予想に現れる不等式について、IUT理論で「数の世界のたし算を固定しておいて、かけ算だけをタイヒミュラー的に伸び縮みさせる」ことで、不等式「deg Θ≦deg q+c 」の形に実現させる証明[4]を目指した。 

この望月のABC予想の証明の試みは、数学専門誌が査読を完了して論文を掲載したが、「一部の専門家は、著者の望月新一が算術上の重大な問題の解決に致命的な欠陥を修正しなかった」と指摘[5]しており、現在も議論が続いている。

査読論文について

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望月の証明試みは、以下の数学専門誌2誌が査読を完了して、論文を掲載している。

  • 2021年3月4日 京都大学数理解析研究所(RIMS)が編集する数学論文誌Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences(PRIMS)は、「ABC予想の弱い形」を証明する論文を掲載[6][注 1]した。
  • 2022年7月 東京工業大学が編集する数学論文誌Kodai Mathematical Journal(Kodai math J)は、「ABC予想の強い形」を証明する論文を掲載[8]した。

論文証明への懐疑について

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査読論文に先んじて2012年8月に論文予稿[9]が公開された後に、主に1)2)の数学的な懐疑の提示があった。このうち2)の指摘は、PRIMS誌による査読論文の掲載後も、証明への懐疑が提示されて議論が続いている。

1)「素数 "2 "で分割する悪い場所においては正しく機能しなくなる」ことによる数値的有効性の指摘

2012年10月ヴェッセリン・ディミトロフ[10]アクシェイ・ヴェンカテシュ[11])らは、素数 "2 "で分割する悪い場所においては正しく機能しなくなる数値的有効性の障害を指摘した。この指摘にたいして、非明示的な「定数」が現れる不等式(ABC予想の弱い形の証明)となる修正を実施の上で、2021年3月にPRIMS誌へ査読論文が掲載[12]された。
その後、ヴォイチェフ・ポロウスキ、南出新、星裕一郎、イヴァン・フェセンコ、望月新一らは、この数値的有効性の障害を、楕円曲線の 6 等分点を用いて回避する方法を提案し、2022年7月 Kodai math J誌は、非明示的な定数が現れない不等式による「ABC予想の強い形」を証明する論文[8]を掲載した。

2)証明の系3.12に反例があるとの指摘

2018年5月および2018年9月ペーター・ショルツェジェイコブ・スティックスは、望月の証明の系3.12の論理過程に反例があると主張[13]した。この指摘に対し望月は「反例では理論にいくつかの簡略化がおこなわれ、それらの簡略化が誤り」と反論[14][15]した。2020年4月 数学論文誌PRIMSは望月論文を受理するにあたり記者会見をおこない「ABC予想を証明した望月氏の論文が正しいものであるとの判断[16]」し、「内容に懐疑的な海外の数学者もいるが、望月教授自身が反論[17][18]もしており(ショルツェ教授からの)再反論もない」状況との認識[19]を表明した。2021年7月にペーター・ショルツェは、PRIMS掲載論文では系3.12の論理過程で、致命的な欠陥を修正しなかったと批判をするレビューをZentralblatt Math誌に寄稿[5]した[注 2]

論文掲載後のコンセンサスと今後への要望について

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望月の証明の試み[5]は、イギリスの科学誌ネイチャーは「数学的証明が出版となったが、一部の専門家は、著者の望月新一が算術上の重大な問題の解決に致命的な欠陥を修正しなかったと指摘」しており、「数学の世界では、雑誌の査読受理だけで終わらないことが多い。重要な結果は、それが正しいというコンセンサスが得られて初めて、真に認められた定理となるのだが、これを達成するには、論文が正式に発表されてから何年もかかることがある」と報じた[20]。それが定理となるコンセンサスは、まだ数学界で得られていない。また理論を分かりやすくして、現今の数学との違いを完全に言語化し新しい言語体系の構築するべきである等の今後の要望があり、望月は査読された理論の論理展開を詳しく解説するレポートを公開するなどの応対をおこなっている。

  • 日本放送協会制作のドキュメンタリー番組『NHKスペシャル』は、「現今の数学との違いをきちんと完全に言語化」し「理論を分かるようにしてほしい」との要望があり、一方、望月からは論理展開を詳しく解説するレポート[21]の公開で応対[22]を紹介[2]した。
なお、本項は望月の証明の試みのうちABC予想に関する情報である。他のディオファントス問題の解析等については、宇宙際タイヒミュラー理論を参照のこと。

脚注

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注釈

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  1. ^ 査読論文の概要[7]によると、望月新一は論文誌PRIMSの編集委員長であるが、編集委員長の投稿は編集より排除する取り決めにより、投稿日の2012年8月30日に 玉川安騎男を編集長(その後に柏原正樹が共同編集長で参加)とする特別編集委員会を設置され、望月を排除して論文の査読が審議された。
  2. ^ このペーター・ショルツェのレビューの批判には、PRIMS編集委員会が査読受理の記者会見の「望月反論に再反論がない」状況との認識で表明している「望月の反論[17][18]内容への数学的な再反論」は付されてない。

出典

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  1. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「:nhk1」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  2. ^ a b 日本放送協会. “数学者は宇宙をつなげるか?abc予想証明をめぐる数奇な物語(後編)スペシャル - NHK”. NHKスペシャル - NHK. 2022年7月30日閲覧。
  3. ^ 京都大学数理解析研究所 - プレプリント -”. www.kurims.kyoto-u.ac.jp. 2022年8月20日閲覧。
  4. ^ 加藤文元『宇宙と宇宙をつなぐ数学』KADOKAWA、2019年4月25日、197-201頁。ISBN 978-4044004170 
  5. ^ a b c Mochizuki, Shinichi Inter-universal Teichmüller theory. I: Construction of Hodge theaters.”. 2022年8月5日閲覧。
  6. ^ Volume 57, No. 1/2 (2021) Special issue on Inter-universal Teichmüller Theory| Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences | EMS Press” (英語). ems.press. 2022年8月4日閲覧。
  7. ^ “Preface to the Special Issue” (英語). Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences 57 (1): 1–1. (2021-03-04). doi:10.4171/prims/57-1-0. ISSN 0034-5318. https://ems.press/journals/prims/articles/201530. 
  8. ^ a b Mochizuki, Shinichi; Fesenko, Ivan; Hoshi, Yuichiro; Minamide, Arata; Porowski, Wojciech (2022-06). “Explicit estimates in inter-universal Teichmüller theory”. Kodai Mathematical Journal 45 (2): 175–236. doi:10.2996/kmj45201. ISSN 0386-5991. https://projecteuclid.org/journals/kodai-mathematical-journal/volume-45/issue-2/Explicit-estimates-in-inter-universal-Teichm%c3%bcller-theory/10.2996/kmj45201.full. 
  9. ^ 京都大学数理解析研究所 - プレプリント -”. www.kurims.kyoto-u.ac.jp. 2022年8月4日閲覧。
  10. ^ Dimitrov, Vesselin (2016-01-14). “Effectivity in Mochizuki's work on the $abc$-conjecture”. arXiv:1601.03572 [math]. http://arxiv.org/abs/1601.03572. 
  11. ^ ag.algebraic geometry - Philosophy behind Mochizuki's work on the ABC conjecture” (英語). MathOverflow. 2022年8月4日閲覧。
  12. ^ Volume 57, No. 1/2 (2021) Special issue on Inter-universal Teichmüller Theory| Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences | EMS Press” (英語). ems.press. 2022年8月4日閲覧。
  13. ^ Why abc is still a conjecture”. 2022年8月5日閲覧。
  14. ^ REPORT ON DISCUSSIONS, HELD DURING THE PERIOD MARCH 15 – 20, 2018, CONCERNING INTER-UNIVERSAL TEICHM ̈ULLER THEORY (IUTCH)”. 2022年8月5日閲覧。
  15. ^ COMMENTS ON THE MANUSCRIPT BY SCHOLZE-STIX CONCERNING INTER-UNIVERSAL TEICHM ̈ULLER THEORY”. 2022年8月5日閲覧。
  16. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年4月3日). “数学の難問「ABC予想」証明 望月京大教授の論文、学術誌に掲載(1/2ページ)”. 産経ニュース. 2022年8月4日閲覧。
  17. ^ a b COMMENTS ON THE MANUSCRIPT BY SCHOLZE-STIX CONCERNING INTER-UNIVERSAL TEICHM ̈ULLER THEORY”. 2022年8月6日閲覧。
  18. ^ a b REPORT ON DISCUSSIONS, HELD DURING THE PERIOD MARCH 15 – 20, 2018, CONCERNING INTER-UNIVERSAL TEICHM ̈ULLER THEORY (”. 2022年8月6日閲覧。
  19. ^ 望月教授「ABC予想」証明 斬新理論で数学界に「革命」 京大数理研「完全な論文」”. 毎日新聞. 2022年8月4日閲覧。
  20. ^ Castelvecchi, Davide (2020-04-03). “Mathematical proof that rocked number theory will be published” (英語). Nature 580 (7802): 177–177. doi:10.1038/d41586-020-00998-2. https://www.nature.com/articles/d41586-020-00998-2. 
  21. ^ ON THE ESSENTIAL LOGICAL STRUCTURE OF INTER-UNIVERSAL TEICHM ̈ULLER THEORY IN TERMS OF LOGICAL AND “∧”/LOGICAL OR “∨” RELATIONS: REPORT ON THE OCCASION OF THE PUBLICATION OF THE FOUR MAIN PAPERS ON INTER-UNIVERSAL TEICHM ̈ULLER THEORY”. 2022年8月5日閲覧。
  22. ^ 望月新一の最新情報”. www.kurims.kyoto-u.ac.jp. 2022年8月4日閲覧。

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